MIWAKO JEWELRYインタビュー ~佐々尾 美和子~

佐々尾 美和子

ABOUT Designer's News

【一つのブランドが形になるまでの それぞれの物語】

このDesigner’s NEWSでは、いつか自分のブランドを持って好きな事を仕事にしていきたいと、LaVagueジュエリースクールに入学し、制作技法・ブランド運営のノウハウを学んで夢の一歩目を踏み出した方達を取材し、どんなきっかけで、どんな想いでジュエリーという世界で生きていくのか。一人一人のお話しを皆さんにご紹介していきます。

佐々尾 美和子

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【MIWAKO JEWELRY】

佐々尾 美和子

今回、取材をさせていただいたのはMIWAKO JEWELRYデザイナーの佐々尾 美和子さん。

MIWAKO JEWELRYは毎年12月に開催されるジュエリーデザイナー・作家による新ブランド・新作発表の場である2018年のDesigner’s FESTAでブランドとしてデビューを飾りました。
それまでジュエリー経験がなかったにも関わらず、8カ月という短期間でブランドを立ち上げ、その年の一般来場者から良いと思ったブランドへの投票で見事1位に選ばれグランプリを獲得。

驚異的なスピードで期待の新ブランドとして頭角を現したのがMIWAKO JEWELRYでした。

デザイナー兼クラフトマンとして代表を務める佐々尾さんは、ジュエリーを本格的に始める前は日本大手メーカーのシンガポール支社でバリバリ働くキャリアウーマンでした。

海外で働きたいという夢を叶えて、順風満帆だったはずの佐々尾さんですが、そのすべてを手放してでもジュエリーの道を選んだ理由とは何だったのでしょう?

MIWAKO JEWELRYがどんな想いで立ち上げられたジュエリーブランドなのか、詳しくお話を伺いました。

MIWAKO JEWELRY interview

【ジュエリーとの出会い】

ーー佐々尾さんがジュエリーを好きになったきっかけは?

ジュエリーを買うようになったのは、20歳を過ぎてから。
20歳の誕生日に大親友がプレゼントしてくれたイニシャル入りのネックレスがきっかけでした。
華奢なラインで首元を綺麗に見せてくれるそのネックレスは今でも本当に宝物で、次に自分で購入したのはそのネックレスに似合うシンプルなピアスでした。

ただ、いつまでも買おうとしなかったのはリング。
わたしの手は節がなくて、短いし、赤ちゃんみたいな手って言われるし、本当に手が嫌いだったんです(笑)。だから恥ずかしくてリングの試着はできず仕舞いでした。

佐々尾 美和子

でもある時、すごく華奢で可愛いリングに出会ったんです。
どうしても着けてみたくなって、思い切って初めて指輪を試着した時、嫌いだったはずの手が少し綺麗に見えたんです。
指がなんとなく細く長く見えるような 、、そんな気がしました。
それがきっかけでリングもつけ始めるようになりました。ネックレスやピアスより、リングの方が自分の視界に入るので、身に付けるたびにふっと手に目が行き「かわいい〜」と眺めてしまうほどリングに夢中になっていきました。

佐々尾 美和子

嫌いだった手だけど、毎日眺めてしまうんです。毎日の平凡な日常に少しわくわくをプラスしてくれたジュエリー。
そして何より身に付けることによって自分に自信を与えてくれたジュエリー。そんなジュエリーの魅力にすっかりハマり、次第にわたしのジュエリーコレクションは増えていきました。

ある時、海外で働きたい!と思っていた長年の夢叶ってシンガポールで仕事が決まり移住することになったのですが、毎日ジュエリーをつけている中でシンガポール人によく聞かれるんです。

「あなたのジュエリーはとても素敵だけどやっぱりメイド・イン・ジャパンよね?」って。
買ってきてほしいと頼まれたり、日本のジュエリーブランドのウェブサイトを見ていて日本語が読めないから代わりにオーダーしてほしい、と色んな子に頼まれることがすごく多かったのです。

東南アジアでは、日本にあるような華奢なラインのファッションジュエリーはまだまだ進出しておらず、どちらかというと大ぶりでゴージャスなジュエリーが多く、わたし自身シンガポールでジュエリーを購入したことはありませんでした。

高価なハイジュエリーか、安価なシルバーアクセサリーか・・派手か地味か・・・。なかなかわたしが好きなジュエリーのラインはシンガポールにはありませんでした。

ふと、自分が好きなジュエリーを自分で作って、それらをシンガポールで売れたら楽しいだろうな〜!・・なんて思うようになりました。

忙しい毎日にも、どこか明るい気持ちにさせてくれたり、自分に自信を与えてくれたり、平凡な日常に楽しさを与えてくれるジュエリー。そんなジュエリーを作ってみたい!!
日に日に、その想いは高まりました。

ーー大切な友人からのプレゼントが好きの始まりだなんて、とても素敵なきっかけ。
シンガポールでも周りのニーズと自身の気持ちが重なって、自然と好きから「作ってみたい!」に変化していったのですね。

【ブランドを立ち上げて広がった世界】

ーー実際に作りたいと思ってからは?

27歳頃色々調べ出した時は、全くの無知識なのでジュエリー制作といってもどうやって作るのかも知らない当時、色々調べてヒットしたのがラヴァーグジュエリースクールでした。

しかもパソコンでジュエリーデザインが作れちゃうCADなんてものが存在するのも初めて知って、海外志向の私は、今後将来どの国にいてもパソコンさえあればできるような仕事が理想だったので、これだ!!と思いました。

そして2017年2月、一時帰国の際にスクールを見学し、ブランド立ち上げを全面的にサポートしてくれるアントレプレナーコース、ウェブ制作やイラレ・フォトショップの知識を学べるコースもあり、万が一ジュエリーで成功しなかった時も役に立つ知識も学べる事が非常に魅力的でした。

すぐに仕事が辞めれる環境でなかったし、日本に帰国するのは大きな決断。
具体的に掛かる費用なども調べて、そこから1年後にスクールに通うことをようやく決断しました。

本当はもう少しお金を貯めてから計画的に・・・と思っていましたが、その時仕事が結構いっぱいいっぱいだったのもあり、勢いで退職しちゃいました。
今までの人生、結構勢いで全て進んできたので、もうやるしかない!なんとかなるか〜!っていう気持ちで私はジュエリーブランド立ち上げの第一歩を踏み出しました(笑)。

佐々尾 美和子
佐々尾 美和子
ーーいや、でも本当に勢いとかノリって大事ですよね。笑
最近自分は慎重に石橋叩きすぎて、石橋壊すタイプだわって思いました。
笑 先に進めないっていうね。 とはいえ、実際は退職してから不安になったりはしませんでしたか??

不安よりも、私の将来はこの会社でキャリアを積むことじゃない!ジュエリーブランドの立ち上げに早く挑戦してみたい!っていう気持ちが強くて、辞めた時の不安は全くなかったです。結構忙しかった仕事なので、辞めた後はストレスフリーで毎日天国みたいでした(笑)

辞めてから日本に本帰国するまで3ヶ月ほどあったのですが、その間は旅行したり、引越しの準備をしたり、充実しつつもあっという間に過ぎてしまいました。日本に本帰国してからはジュエリーの勉強を始めました。

前職はジュエリーとは無関係の仕事だったので、ジュエリーについて深く勉強しなければいけないと思い、ジュエリーコーディネーター試験用の本を買って勉強したり、貴石・半貴石の本を買ったり。

勢いで生きてきているので、なんとかなる精神で今も頑張っています(笑)。

ーーでも、やり始めてからブランド立ち上げまでが本当に早かったですよね!
ブランドとして活動し始めてから、周りの反応はどうでしたか?

日本に本帰国すると同時に周りにジュエリーのデザインを勉強することは公言していましたが、ブランドとしての立ち上げを発表した時は、ここまで本気でやっているとは思わなかった!と皆んなに驚かれました。

昔から知っているけど今はそこまで頻繁に会うこともなくなってしまった古い友人が、久しぶりに個人的に連絡をくれて、私のジュエリーのファンになったのでいつか絶対に買いたいとわざわざ連絡をしてくれたり、周りの反応は予想以上に良くて本当に嬉しかったです。

ーー佐々尾さんはいつもニコニコしてその場を明るくしてくれるから、周りの皆さんも心から応援してくれる人たちが沢山いるんだろうなぁって感じてます。 初オーダーの思い出とかってありましたか?

初めてのオーダーは、友人の元彼でした(笑)。

『え、ほんとに買ってくれるん?!』って思わず言ってしまったくらいびっくりしたのと同時に、嬉しさがこみ上げてきました。

訳あって別れてしまった2人ですが、彼女も彼も私のブランド立ち上げをずっと応援してくれていました。

初めての展示会にその彼女が来てくれた際に、元彼に『みわこのジュエリーブランドがオープンしたよ!』と報告してくれたんです。

佐々尾 美和子

そして彼女が試着してすごく気に入ってくれたリングの写真を元彼に送っていたらしく、彼女が帰った後になんと元彼がわざわざ私の展示会に来てくれて、彼女が気に入ったリングを買いたいと言ってきたんです。

 

それが初めてのオーダーでした。

リングはサイズを合わせて彼女にそのままプレゼントしといてくれと頼まれて、彼はお会計を済ませて帰って行きました。そのことを彼女に報告すると、彼女は号泣。なんとまあドラマチックな展開。(笑)

私の作ったリングが、どんな形であれ誰かのかけがえのない思い出の1つになるんだと思うと、胸が熱くなりました。
これからも私のジュエリーのファンになってくださった方1人1人のストーリーに寄り添いながら、その方々の人生の思い出の一部になるような、そんなジュエリーを作りたい。

そう思わせてくれた瞬間でもありました。

ーーなんですか、その映画作れそうなくらい素敵すぎるエピソードは…!
ジュエリーって本当に誰かの一生ものを作る仕事で、それをリアルに実感できる初オーダーとなりましたね。
佐々尾 美和子

【独立起業するということ】

ーー本当に素敵なストーリーもあり、なんだかとっても新しい仕事を楽しみつつ、エモーショナルに過ごしているように思えます。実際にブランドとして立ち上げてからの思っていたこととのギャップってありましたか?

立ち上げた後は、良い意味で周りの見る目が劇的に変わりました。あ、この子本気なんだなって思ってもらえたと思うし、飲み友達だった仲間が結果的に仕事仲間になったり。色んな面で協力してくれる人がとても増えました。

ーー意識が変わるのは結構大きな変化ですね。会社員時代との大きな違いはなんですか?

何をするにも一から全て自分で動かないといけないし、全ての責任を自分一人で背負わなければいけない。と同時に、時間をかけて自分の思い通りに、納得する通りに、事を進めることができ、自分のペースを保つことができる。
会社に守られている反面、会社に縛られていた時代。今は自分自身を自分で守りながら、やりたいように生きている。お給料の安定しない今の私は不安も大きいけど、精神面は会社員時代よりもリラックスしています。

ーー責任は大きいけれど、どこまでも自由で自分次第ってことですね!
今後は当初の予定通り、シンガポールへ活動を広げていくのですか?

はい。6月からシンガポールに戻ることが決まっています。
シンガポールを拠点とし、日本とシンガポールの2拠点で活動できるよう、まずは知名度を上げ色んな展示会に積極的に参加したいと思っています。
まだ未定ですが、日本とシンガポール共に大手百貨店のバイヤーの方と知り合えたので、今後は百貨店への展示会を頻繁にできたらと思っています。

ーー日本でやるべき土台作りは全てそろったって感じですね!
本当に佐々尾さんは夢の実現力というか、やりたいって思ったことを叶える力がとっても強いなって感じます。
佐々尾 美和子
ーー改めて、今自分で切り開いたジュエリーデザイナーという道に対してどう感じていますか?

とにかく毎日が楽しいです。
まだまだ立ち上げたばかりで売上もそこまで経っていないですが、それでも毎日が楽しく充実しています。そして展示会を通して、身近な家族や友人がすごく応援してくれていることを肌で感じることができ、人と人とのつながりを深く実感しています。

佐々尾 美和子
ーー今、同じように夢を実現させたいと思っている方へアドバイスを贈るとしたら?

私は仕事を辞めて今の道を歩むことを決意しましたが、週5で働きながらブランドを立ち上げている人が何人もいることにびっくりしました。

起業・副業したいと少しでも思うならば、まずはすぐに行動する。
作品がゼロでも、ブランドを立ち上げるんだと周りに公言する。
何より大切なのは本気度だと思います。

本気でブランドを立ち上げるんだと周りに伝えることで必要な情報は後からでもついて来ると思います。

「私は退屈よりも大失敗を選ぶわ。」高齢でありながらもモード界にカムバックした時のココシャネルの言葉です。この言葉がすごくかっこよくて、私自身も退屈に毎日過ごすよりも大失敗するくらいの覚悟で何かに挑戦したいと強く思いました。

思い立ったらすぐ行動!そして本気で取り組むこと。もしブランド起業に慎重になり過ぎて躊躇している女性がいたらそう伝えたいです。

佐々尾さん、本当に今日は色々なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
シンガポールでの活躍も心から期待しています。

沢山の人の大切な想い出を形にしていって、また色んなエピソードを聞かせてくださいね!
【なりたい自分になっている人たちの共通点】 ー編集後記ー

新しく出会う人の中で、会って10秒くらいで「あ、この人はきっと上手くいくな」って直感で感じる瞬間がごく稀に訪れます。
なんて言うんでしょう。身なりが綺麗だからとか、顔やスタイルの良い美人だからとか、そういう外見的なことよりも、もっと内面的なものが溢れているのが感じられる感覚。

 

うーん。。。なんて言えばもっと分かりやすく伝えられるのだろう?とむず痒い感覚を解消できずにいます。
でも、そういう人に出会う瞬間共通しているのは、自然と気持ちがワクワクしていること。

 

なんで今こんなことを書いているかというと、佐々尾さんと初めて会った時もやっぱり感じたことだったんですよね。

 

顔を合わせる前にメールで何通かやり取りをしていて、感じの良いしっかりした人だなぁという印象を持っていたのもあったのかもしれないけど、対面した時は海外ドラマのヒロインが目の前に現れたような感じで、なんかこの人キラキラ・ハキハキしてる…!って思ったのを覚えています。

 

「あ、この人はきっと大丈夫。」って思わせる何かがあったんですよね。
あれが噂のオーラってやつだったのかしら?と。

 

暫くしてから本格的に帰国し、毎日のように顔を合わせるようになってからは、あのキラキラの正体が少しずつ分かったような気がしてきました。

 

佐々尾さんはきちんと自分自信との約束を守ろうとする人なんだなって。
理解するのも、物覚えも元々人より倍速で出来てしまうような優秀な人だけど、それに驕らず毎日きちんとコツコツ積み重ねていくことが出来る人でした。

 

一つ一つを自分のスキルとして吸収していき、成長を実感できているからこそ、自信に繋がっていくのでしょう。あのキラキラの正体は今まで築いてきた自分への信頼と、確かな自信だったのかも。

 

それは、天性のものではなく、誰にでも意識次第で出来ることなのかもしれません。

 

しかも、実行している本人たちは努力しているなんて一かけらも思ってないんです。
楽しいから・好きだからやってること。成長したいし、知りたいからやっていること。
ただシンプルにそれだけ。

佐々尾 美和子
佐々尾 美和子
佐々尾 美和子

なりたい自分になれる人って、自分に素直になれた人・自分自信との約束を守れた人・自分を信用してあげられてる人なのかなってここ最近よく感じます。

 

失敗を恐れて固まってしまったり、何かをいつも難しく考えてしまいがちだけど、もっともっと肩の力を抜いていいのかもしれません。
今まで会ってきたキラキラしている人たちは、「人生、楽しんだもん勝ち」って言葉が似合う人たちばっかりだなって。羽みたいに自由に飛び回ってる気がします。

 

まだ出会って1年経つかどうかくらいだけど、ハイスピードでどんどん成果をだしていく佐々尾さんの姿を傍で見ている私は、なんだか海外のサクセスドラマをリアルタイムで見ているような感覚です。

 

さて、これから舞台はシンガポールに移ってシーズン2の開幕です。
きっとジュエリーを通して、沢山の人々の物語が彼女の人生を豊かにして行くのと同時に、沢山の思い出を形にしていってくれるのでしょう。
そんな幸せなお土産話を聞かせてもらうことを楽しみに、これからも陰ながら応援していきたいなと思っている女性の一人です。

 

yuico

佐々尾 美和子MIWAKO JEWELRYロゴ

佐々尾 美和子
1989年生まれ
2014年から 4年間シンガポールに在住
2018年 4月 日本に帰国し、ジュエリーデザイナーとしての活動を始める
2018年 12月 MIWAKO JEWELRY として、ブランドを本格的にスタート
2019年 6月 シンガポールに移住予定
https://www.miwako-jewelry.com/

清水 悠花

yuico
2014年からライターとしてジュエリーデザイナーの活動取材を手掛ける。
インスタのおすすめ検索が大体猫まみれ。
唐揚げに目がない。

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