
ABOUT Designer's News
【ジュエリーデザイナーという仕事】
このDesigners NEWSでは、いつか自分のブランドを持って好きな事を仕事にしていきたいと、LaVagueジュエリースクールで制作技法・ブランド運営のノウハウを学び、夢の一歩目を踏み出した方達をご紹介しています。
どんなきっかけで、どんな想いでジュエリーを作っていくのか。この仕事を生業としていく一人一人の物語を皆さんにお伺いしました。
今回は、ERI HORI JEWELRYの堀 江里さんにお話しを伺いました。

PICK UP BRAND
【ERI HORI JEWELRY】

今回のデザイナーズニュースは、竹田が記事を書かせていただきました!
初めてのインタビュー取材をさせていただいたデザイナーさんは、
ERI HORI JEWELRYの堀 江里さんです。
LaVagueジュエリースクールの先輩でもあるTOMOMI’ S JEWELRYの清水さんのアクセサリー店「Piegare salon」で行われた展示会『piegare vol.3 spring』に参加されるということで、中西先生と共にお邪魔させていただきました。
堀さんがジュエリーを初めた経緯や今後のブランド活動について、お話しを伺ってきましたので、最後までお楽しみくださいませ!
ERI HORI JEWELRY interview
【ジュエリーデザイナーという仕事】
私の両親の話ですが、両親はジュエリーが好きで海外に行けば天然石(ルース)を買ってくるほどで、二十歳の時には、そのルースの中から父が指輪を作ってくれました。
そんなこともあり、自宅にはよく「宝石商」が出入りし、70年80年代に作られた指輪が数多くあったのでとても身近な存在でした。
それらが私の手元にきたことで、ジュエリーに対する興味・関心はさらに高まりました。
彫金との出会いは、まもなく60歳という年齢を目前にして「この先いったい何をしたいのか」とたびたび自問するようになり、勤めていた会社近くのカルチャーセンターを覗いたことが始まりですが、半年ほどでやめてしまいました。
でもそこで体験したことは、単なる趣味にしたくないという強い思いが生まれて、彫金に対し真剣に向き合うことを決意させてくれました。



始めて通った彫金教室のカリキュラムと比較検討しました。
その違いは歴然としていて、一つ一つの課題で習得する技法が明確で、最後にはここまで制作できるということがわかり、とても魅力でした。
カリキュラムは具体的に取り組む課題の要点がわかりやすく、それは決め手となる要因の一つでした。
また、見学では工房に漂っていた空気・机に向かう姿勢・音に引き込まれ、真剣な姿勢に思わず覗きたくなる雰囲気、「みんな何を作っているのかな」と素通りできない風景がそこにはありました。
そしてもう一つの決め手は、アントレプレナーコースがあったことです。
ブランディングを学びながら技術の習得もできるならばと入学を決めました。

彫金はほぼ初心者の私には全てが初めてのことばかりで、前半課題を進行中に目にした後半の課題を制作している生徒さんの姿に、「私にこれと同じ事ができるのか」という不安がつきまといました。
ですが、課題が終わるたびに大きな感動と達成感が得られ、気付くと少しずつ課題が進んでいました。
同時に積み重ねられていく技法がどれも大切に思え、それに伴い工具の使い方にも慣れ始めたことで、「これらを積み重ねていけば、最後の課題に到達する!」という自信と意欲が湧きました。
そして通い始めて再認識したのが、先生方が本物の「職人」であることです。先生方の手元を見られるのは、何とも得難い時間でした。
生徒皆さんも目標を持ってここに来られているのが手に取るようにわかり、真剣に作業に集中している姿勢はとても良い刺激でしたし、ジュエリーの世界を知らない私にとっては情報交換ができたというのも何より大きかったと思います。


彫金の自由課題の制作中に壁にぶつかることがあり、自分の技術ではこの形が出来上がるか不安になったことがありました。その時、工房内に蝋が溶けるにおいがしてきて、蝋(ワックス)を削り溶かし制作している生徒さんがいました。
それがアンティークジュエリーコースへの入り口となりました。
当然制作活動をする上で引き出しが増えたので、大きな強みになっていることは間違いありません。
そのアンティークジュエリーコースで忘れられないのが、印台を使ってのリング制作(石付き)です。4個ほど作っても思い通りの形にはならず、やり直しを繰り返しました。
その経験があったからこそ、今では石を見ると出来上がりイメージが描けるようになりました。

CADは憧れていました。
そこにラヴァーグでiPadCADソフトを使ってのコースが作られることを知り、飛びついてしまいました。
それまでの彫金・ワックスでは私の手からは正確な「線・図形」を表現できないと限界を感じていたので、やってみるしかないと決断しました。
実際出来上がったものは実に緻密で、彫金・ワックスの風合いとは違った表情を見せてくれました。1㎜も狂わず図面通りに出来上がりを見た時の感動は忘れられません。
それから、制作してみたかったものの代表は「パヴェ」と「スクウェア(2mm)のミル留め」です。
今回作ったのは課題の応用になりますが、作図するだけではなく実際に造形→鋳造と出して結果を見ないと自分の作業が正解なのか分からず、そこが苦労した点です。
ただ、図面上で出来たと思って業者に提出しても、「造形不良になる」と指摘箇所があり2・3回再提出したものもありました。
そこで随分勉強させていただきました。
0.1㎜の世界ですが、“好きかも“という実感もあります。
しかしまだ手探りの段階なので、ここからは商品としてiPadCADをどう取り入れていくのかは大きな課題となりました。
CADは憧れていました。
そこにラヴァーグでiPadCADソフトを使ってのコースが作られることを知り、飛びついてしまいました。
それまでの彫金・ワックスでは私の手からは正確な「線・図形」を表現できないと限界を感じていたので、やってみるしかないと決断しました。
実際出来上がったものは実に緻密で、彫金・ワックスの風合いとは違った表情を見せてくれました。1㎜も狂わず図面通りに出来上がりを見た時の感動は忘れられません。
それから、制作してみたかったものの代表は「パヴェ」と「スクウェア(2mm)のミル留め」です。
今回作ったのは課題の応用になりますが、作図するだけではなく実際に造形→鋳造と出して結果を見ないと自分の作業が正解なのか分からず、そこが苦労した点です。
ただ、図面上で出来たと思って業者に提出しても、「造形不良になる」と指摘箇所があり2・3回再提出したものもありました。
そこで随分勉強させていただきました。
0.1㎜の世界ですが、“好きかも“という実感もあります。
しかしまだ手探りの段階なので、ここからは商品としてiPadCADをどう取り入れていくのかは大きな課題となりました。




【ブランドを立ち上げてから】
『piegare vol.3 spring 展』は、ラヴァーグの先輩であるTOMOMI‘S JEWELRYの清水さんに一年ほど前になるのでしょうか、御徒町で偶然ご一緒する機会があり、何気ない会話の中で出展のお話がありました。

清水さんのギャラリー『Piegare salon』は駅近の住宅街の中に在ることもあり、チラシを見てきてくださる方も多く見受けられ、その中でも印象に残っているのは、「職場にあったチラシを見て来ました」と職場のお友達二人で来てくださった方です。
天然石の色味にこだわった指輪を矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)いくつもの指輪を試してくださり、「色味がきれい、とても指につけやすい」というお声をいただきました。
そのお二人の臆することなく目に留まった指輪を手にとる様子に、見るだけではなく実際に指にはめていただかなければ、お客様には伝わらないなのだと実感した次第です。
今回の展示会にあたり、準備を整えるのに必死でしたが、制作をする上で確実な目的があるのはとても大切なのだということも痛感しました。
終えてからは、「接客」は自分のブランドに対しての評価をいただける場なのだと、改めて認識しました。
これからの方向性を改めて見直すこと、さらなる可能性を探ろうと思います。

結婚して二人の子供も手が離れたので、働き始めて仕事帰りに寄ったデパートで「タンザナイト」の指輪が目に入り、それは引き込まれるかのようにその魅力に取りつかれ、気が付いたら指にはめていました。
当時普段身に着けていたジュエリーは結婚指輪くらいだったので、色石の指輪を自ら購入するのは初めてということもあり、いつ着けたらよいのか迷いましたが、小粒なので仕事中も邪魔にならず、見ているだけで元気づけられるお守りアイテムとなっていきました。
そんな経験から、お客様と共にずっと寄り添っていけるような「穏やかな・豊かな」存在になれたら嬉しいです。
『ジュエリーを身に着けることでいつもより素敵な自分になる、いつでもどこでも着けていられる、そして普段のくらしがに穏やかにゆったりと時が流れるように、心に潤いを』 この思いを忘れることなく制作に向かうことで、私自身が魅了されたタンザナイトのように、お客様にも私のブランドで出会ってほしいと願っています。
これからブランドを成長させていくために多少の変化はみられると思いますが、今こだわっているのは個性ある石の選別とその留め方です。
タブレットストーンとランダムカットを多く取り入れていますが、どの石にも個性があり使い手によってさまざまな表情がみられるのは、とても面白いと思います。
現在カラーコーディネートの勉強をしているので、少しずつ+エッセンスとしてお客様にお話しできたらとも考えています。




ブランドを立ち上げたことで、制作に責任感が生まれています。
また、ONLINEだけの販売には限界があると感じているので、まずお客様にブランドを知っていただき、手に取っていただくための手段を考えなくてはと思っています。
分野は違いますが、クリエイターとして活動をしている友人と更なる活動範囲を広げる意味で、共に展示会をと企画中です。

私がジュエリー制作を始めるときは60歳目前だったので、友人に「今更初めても・・・」という話をしたところ、『やりたいと思った時がチャンス!やらない理由はないでしょ』と言われました。
これからデザイナーとしてブランドを立上げようとしている方に、"諦めずに思い続けること"と"思った時に一歩を踏み出す勇気!"を大切にしてもらいたいと思います。


ー編集後記ー
ご両親の天然石好きがきっかけで、ジュエリーの魅力に目覚めたという堀さん。
今となってはとても貴重な70~80年代のジュエリー、職人技が卓越してい時代のものを触れてきたとなったら、ジュエリーに魅了もされてしまう気持ちもわかります!そんな素敵なジュエリーを自ら作り、身に着ける事ができるとなったら気持ちも高まりますね。
とはいえ、新しい世界に飛び込むのは、たくさんの不安や恐れがあるもの。
それは好きなことであってもです。
数年後、数十年後の自分がどうなっているか、正しい道なのか、他にも選択肢があるのか・・・
誰にもわかりません。
ですが、それらの不安を撥ね退けブランド立上げまでこれたのは、ご友人からの背中を押してくれた一言には信頼と絆を感じさせられました。


今回の展示会も清水さんとの偶然の再会からという、人との繋がりからでした。
いつ何がきっかけで進展するのかわからないものですが、堀さんのお人柄と"きっかけ"に直面しても挑む勇気があったからこそ、前に進めているのだと実感しました。
そしてなんといっても、とても研究熱心な堀さん!
"諦めない"という強い気持ちと、LaVagueでの課題作製から現在に至るまで"どうすればできるのか?"の追求心があったからこそスキルが身に付き、新しい石留めを開発されました。
さらに、お客様の事を考え『カラーコーディネート』について勉強をされたりと、チャレンジを楽しみながら一歩一歩進むバイタリティーは尊敬であり、私自身が「見習わなければ!!」と痛感しました。
人との関わりを大切にし、相手視点で物事を考え努力する中で作らるERI HORI JEWELRYは、きっとお客様の心を穏やかにし人生を共に歩み続けてくれるものとなるでしょう。
これからのブランド活動を陰ながら応援します!

PICK UP BRAND'S
- ERI HORI JEWELRY
- CURA JEWELRY
- TOMOMI.S JEWELRY
- Welina -Mayuko Jimbo Jewelry-
- AYA KIYOSHIMA JEWELRY
- SHIIHA
- AVATE
- tsumugi jewelry
- TOUMEINA
- NUIHERE
- EARTHRISE(SHOP OPEN STORY)
- Figue Sucree
- Sizuku Jewelry
- MIWAKO JEWELRY
- KAZAMI JEWELRY
- MARIE JEWELRY
- ERINA IMADA JEWELRY
- Double Moon Jewelry
- EARTEO
- plus. jewel
- 堀 江里
- 学生時代に染色・織物を専攻し、卒業後友人3人で絹織物(主に着物)/タペストリー・ベッドカバー等(主にインテリア)を制作し“三人展”を開く。
織物工房に約一年ほど勤めその後退職。自宅にアトリエを作り、主にオーダーでの作品制作と羊毛・綿糸の染色販売に取り組む。
結婚後は、夫の転勤にともない名古屋・九州・東京と転々と居を移し染色・織物の活動は休止。
2019年に退職後、ラヴァーグに入学し、その後ブランドを立ち上げる。 - https://erihori.thebase.in/