ABOUT Designer's News
ライター : Yuiko Nakanishi
【一つのブランドが形になるまでの それぞれの物語】
このDesigner’s NEWSでは、いつか自分のブランドを持って好きな事を仕事にしていきたいと、LaVagueジュエリースクールに入学し、制作技法・ブランド運営のノウハウを学んで夢の一歩目を踏み出した方達を取材し、どんなきっかけで、どんな想いでジュエリーという世界で生きていくのか。一人一人のお話しを皆さんにご紹介していきます。
POPUP INFO
New Jewelry NEXT
2018.3.16(FRI)-3.18(SUN)
ここ3年ほど、取材を通して様々な合同展示販売会に足を運んでいく中で、規模が縮小してしまったり、逆に分野を広げすぎて学園祭のようになってしまったと少し寂しさを感じるイベントが目立ってきた昨今。
その中で【New Jewelry 】は着実に成長を重ね、洗練されていく印象を受ける数少ないイベントの一つ。
New Jewelryという名前の通り、新しく斬新。
既存の素材に捕らわれず、沢山のアイディアが込められた 装飾品の作り手たちが集い、 お客様とデザイナーを繋ぐ場として2010年から始まり、現在8年目を迎えた。
昔このイベントでよく見かけた常連ブランド達は、現在ではNew Jewelryの枠を超えて本当に様々なセレクトショップやWEB媒体で多く見かける。
お客として足を運ぶ人たちも、本当にジュエリーが好きな方達が多く、見て選ぶポイントが鋭い。
そんな方達と出会い、育ててもらったりチャンスを与えてもらえる場所がNew Jewelry なのだと感じる。
毎回装飾が楽しみな会場、新しい作り手たち、本気でジュエリーを楽しんでいる人達。
そんな少し特別な空間のなか、LaVagueからも力をつけた新しいブランドが今回デビューイベントとして参加することとなった。
PICK UP BRAND
【ERINA IMADA JEWELRY】
今回、取材にご協力いただいたのはERINA IMADA JEWELRYデザイナー兼クラフトパーソンの今田恵理奈さん。
彼女には、今年の3月にこことは別の記事でインタビューをさせていただきました。
その時は、「どうしてLaVagueジュエリースクールに入学したのか」を聞かせていただき、こんな方達に選ばれていますよーとご紹介するコラム。
今田さんは広島から、LaVagueに通うために上京してきてくれました。
なぜそこまで?
「そんな甘い世界じゃないってわかっているんですけど、人生は一度きり。好きな事を仕事にして生きていきたくて。」と少しはにかみながら答えてくれました。
それまでの人生で振り返ると、小さい頃にお祖母ちゃんからビーズやトールペイント・ミシンを教えてもらったり、高校時代にドール服の制作に夢中になったことから「自分はモノづくりが好き」と気付いたそう。
大学に進学し、いよいよ就職活動の時期に入ってもなかなか自分が働きたいと思う場所がみつからず、色々探していた時にLaVagueジュエリースクールに辿り着いたそうです。
ここで学んだ人達は、自分のブランドを立ち上げて仕事にしている人が沢山いるんだ。
自分もそういった生き方をしたい。
そう思ってからはるばる東京へ見学に来て、即決でLaVagueに入学することとなりました。
そんな彼女の思いを聞いて、なんだか込みあがるものを感じた私でした。
そのインタビュー中に今回のNew Jewelry NEXTへの出店が決まったことを知り、是非デビューイベントを取材させてほしいとお願いして、この記事を書くこととなったのです。
早速ですが、ジュエリー制作を始めて約1年。
現在ブランドとしてスタートをきれる形となり、お客様と実際に対面して接客をする場はどうでしたか?
Instagram、WEBサイト等で拝見したことのあるブランド様も多数出展されていて、ご一緒できるのが嬉しい反面、とても緊張しました。
New Jewelryのお客様は、ジュエリーに対する意識が自分の中で完成されている方が多いと考えているので(自分の肌にはゴールドが似合うけどシルバーは似合わない、指が太いので華奢なものはあまりつけない…等)、まだ手さぐり状態の私にとって、お客様の求める接客や商品を提案するというのが難しかったです。
この課題は今後、色んなイベントに参加して鍛えていこうと考えています。今回初めてのイベントでしたが、幅広い年齢層の方から、お褒めの言葉をいただき、商品をみていただいて、とても励みになりました。
そういえば、会場には同じLaVague出身のPlus Jewelの山崎さんがいらっしゃいましたね。先輩から色々お話を聞けたりしましたか?
今までLaVagueでお見かけしたことはあるけど、実際にお話しした事はなくて。
百貨店への出展や、パールの仕入れ等、色々普段はなかなか聞けないようなことをお話ししてくださって、勉強になりました。
山崎さんのブランドはLaVagueに入る前から知っていたので、お話し出来て嬉しかったです。
笑顔が素敵な気さくな方で、ブランドオーナーのお人柄も、お客様に支持される大切なポイントなんだなぁと感じました。
今回会場でお会いして、あぁもう立派な貫禄が出てきているなぁとしみじみしてしまいました。
そんな先輩が同じ会場だと、少し心強かったり安心しますよね。
話は変わってこのディスプレイ、とっても綺麗にまとまっていて見やすくてとてもいいと思います!!どんな風にイメージを固めていったのですか?
什器は頭の中で色々イメージはしていたものの、迷って迷って完成するのが凄くギリギリになってしまいました。
父親に木製のキューブを沢山作って送ってもらったり、母親から「これディスプレイにつかう?!」とラインが来たり。笑
家族も協力してくれました。
展示会前は百貨店をぶらぶらして、どんな什器をどんな配置で並べているか色々見て回りました。今回は白黒グレーの、シンプルでクールな感じになったと思うのですが、今後はもう少し柔らかい、暖かいイメージのものも作ってみたいなと考えています。
こうやって見ると、今田さんの作品はシンプルな母体の中に一つ面白い要素がプラスされたすごく良い意味で「ありそうだけど、どこにもない」タイプのモードなシルバーラインと、綺麗で独特な雰囲気を持つ石を集めたラインとありますね。
デザインを形にしていく中で、何が根っこになっていると思いますか?
わたしは実は普段から毎日ジュエリーを身に付けるタイプではなくて。
集めたり、見たりするのは大好きだけど、実際は「めんどくさい」「そこまで気が回らない」「つけていて気になる」っていう理由で実際には身に付けない。
そういう方も多数いらっしゃるとおもうんです。だからこそ、普段ジュエリーを身に付けない方にも気楽に安心して使っていただけるように、シンプルかつ丈夫で、何処か個性的な要素を持ったデザインを心掛けています。
天然石のリングに関しては、数か月に一回開催される大規模な天然石のマーケットで石を買い付けすることが多いです。
おおぶりなサイズや、珍しい石が好きで、「これは天然石なの?初めて見た」と仰られるお客様も多くいらっしゃいました。
高価な石に拘らず、見た目がかわいい、色が綺麗、そんな感じでフィーリングで石を選んでいます。
デザインは、雑誌を立ち読みしたり、百貨店をぶらぶらしたり、電車の中で可愛いアクセサリーをつけている人がいたらじーっと観察したり(笑)、あとはとにかく海外のストリートファッションのInstagramアカウントをみるのが大好きで。
そこからなにか得ているのかなと思います。
今田さんの中で、このNew Jewelry NEXTで刺激になった方はいらっしゃいましたか?
隣のブースで出展されている方が、いろいろとお話ししてくださって、それが一番印象に残っています。
ちいさなお子様がいらっしゃる方だったのですが、母親として、そしてブランドオーナーとして、努力されている姿がとても素敵だなと感じました。
その方はブランドコンセプトや、什器など、すごくこだわりを持っている方で。イベントで出展するときは、オーダーメイドで作ったお洋服を、「衣装」として必ず身に着けるようにされているそうなんです。
試着用の鏡もオリジナルで、とても作品の雰囲気に合っていて。私には到底思いつかなかったような細やかなこだわりに、感銘を受けました。
とてもいい方の隣で、良かったですね!
初めてのデビューイベントでは、そうやってERINA IMADA JEWELRYと他ブランドとの比較で「良かったところ」やきっと新しく見つかった「今後の課題」が出てきたのではないかなと思います。
このイベントを通して、どんな成長に繋がったと思いますか?
個性豊かなブランドを沢山見比べることによって、他ブランドと自分のブランドとはどう違うか、どこが足りていなかったか、明確な違いを感じることができました。
良かったところは正直、自分ではわからなくて、、、。次回こそは必ず見つけたいと思っています。笑
今後の課題は、「コンセプトをしっかり作り込む」ことです。
お客様とデザイナーが直接お話しできるせっかくの機会なのに、コンセプトをしっかり伝える事が出来ず、勿体無かったなって。
見た目の可愛さだけじゃなくて、オススメのポイントを言葉にして伝える事によって、商品に付加価値がつくとおもうし、より一層気に入ってもらえると思うので。今後はそれが課題です!
それが自分の中で明確になっただけでも、成長への大きな収穫だと思いますよ!
最後に、これからが本番でスタート地点に立った段階だと思います。これから5年・10年後にERINA IMADA JEWELRYを通して自分自身、どんな成長をしてどんな女性になっていき たいと思いますか?
年齢が上がるにつれて、自然とより「本物志向」で「高品質」なジュエリーを求めるようになってくるとおもうので、自分自身納得して、強い自信をもってお客様に勧めることができるジュエリーを追求したいです。
もっとお客様と会話して、どういうものが求められているのかを見極めたい。
そして、作品に知性をふきこめることができたらなと考えています。
そのためには、お客様のこころに語り掛けるコンセプトが必要で。
すっと頭に入ってくる文章を考えたり、なにか素敵な物語と紐づけたり。彫金や石の知識だけじゃなくて、どんなことにもアンテナをはって、幅広い情報と柔らかい頭をもった女性になりたいです。
ERINA IMADA JEWELRの成長を楽しみに、陰ながら見守らせていただきますね。
今田さんが好きな事で自信を持って生きていける事、心から応援しています!
- 今田 恵理奈
- 広島県出身
幼少期に祖母から教えてもらったビーズやトールペイント、ミシン。
高校時代にはドール服制作に夢中になる。
モノづくりがずっと身近で好きな事を仕事にしていくため、ジュエリー制作を学びに東京へ上京。
現在ERINA IMADA JEWELRYを立ち上げ、様々なイベントに出店活動中。 - http://www.erina-imada.com/