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宝石の耐久性と特性

宝石
宝石には、それぞれの美しさがあるように、それらに伴う耐久性と弱点もあります。
どんなに大切にしていたとしても、扱い方を誤れば傷つけてしまったり、アクセサリーを作成中に割れてしまったりということも起こりかねます。
宝石の美しさを保つために大切なのが、耐久性の要因となる硬度靭性(じんせい)安定性と、個々の宝石の特性です。

耐久性と特性を考慮して、宝石のトラブルを防げられるよう記事にまとめましたので、是非参考にしてみてください。

宝石の耐久性 -硬度-

宝石の耐久性で知っている方も多いかと思いますが宝石の耐久性には傷や摩耗にどれだけ抵抗力があるかを示す最適な指標となる硬度があります。
19世紀にドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モース博士が考案した尺度が普及し「モース硬度」と呼ばれるようになりました。このモース硬度は、石と石とを擦り合わせたときの傷のつき方から「引っ掻いた時に傷のつきにくさ」を硬度1~10の尺度で表したものになり、”引っ掻き硬度”などとも称されています。

下記にモース硬度と性質を一覧にまとめました。ここで注意しないといけないことは、モース硬度が高いからといって壊れないわけではありません
また、硬度2の石と硬度4の石を比べた場合、モース硬度が2倍だという考え方はしないので気を付けましょう。

宝石のモース硬度・性質

モース硬度 10:  ダイヤモンド宝石の硬度10ダイヤモンド
性質:天然物の中で最も硬い
モース硬度 10:  ダイヤモンド宝石の硬度10ダイヤモンド
性質:天然物の中で最も硬い
モース硬度 9:ルビー、サファイヤ宝石の硬度9ルビー
性質:ダイヤ以外の宝石には傷つけられない
モース硬度 9:ルビー、サファイヤ宝石の硬度9ルビー
性質:ダイヤ以外の宝石には傷つけられない
モース硬度 8:トパーズ、スピネル 宝石の硬度8トパーズ
性質:やすりで傷がつかない
モース硬度 8:トパーズ、スピネル 宝石の硬度8トパーズ
性質:やすりで傷がつかない
モース硬度 7:クォーツ、ガーネット 宝石の硬度7クォーツ
性質:やすりでわずかに傷がつく
モース硬度 7:クォーツ、ガーネット 宝石の硬度7クォーツ
性質:やすりでわずかに傷がつく
モース硬度 6:ラピスラズリ、ペリドット 宝石の硬度6ラピスラズリ
性質:やすりで傷がつく/窓ガラスよりやや硬い
モース硬度 6:ラピスラズリ、ペリドット 宝石の硬度6ラピスラズリ
性質:やすりで傷がつく/窓ガラスよりやや硬い
モース硬度 5:オパール、ジルコン 宝石の硬度5オパール
性質:窓ガラスとほぼ同じ硬さ
モース硬度 4:オパール、ジルコン 宝石の硬度5オパール
性質:窓ガラスとほぼ同じ硬さ
モース硬度 4:マラカイト、孔雀石 宝石の硬度4孔雀石
性質:ナイフでわずかに傷がつく
モース硬度 8:マラカイト、孔雀石 宝石の硬度4孔雀石
性質:ナイフでわずかに傷がつく
モース硬度 3:真珠、珊瑚、アンバー 宝石の硬度3真珠
性質:ナイフで傷がつく
モース硬度 3:真珠、珊瑚、アンバー 宝石の硬度3真珠
性質:ナイフで傷がつく
モース硬度 2:石膏 宝石の硬度2石膏
性質:爪でもわずかに傷がつく
モース硬度 2:石膏 宝石の硬度2石膏
性質:爪でもわずかに傷がつく
モース硬度 1:タルク タルク
性質:爪でも簡単に傷がつく
モース硬度 1:タルク タルク
性質:爪でも簡単 に傷がつく
下記のグラフは、モース硬度を棒グラフで表したものになります。ルビーやサファイアはモース硬度9ですが、モース硬度10のダイヤモンドとの差は大きく、その何倍も硬いといった特徴があります。
この特性から、ダイヤモンドに引っ掻き傷をつけられるのは、ダイヤモンドだけになります。
硬度グラフ
硬度は7以上あるものが良いといわれ、硬度が7以下のものは傷がつきやすいとされているので大切に取扱う必要があります。
オパール・ムーンストーン・パールなどの、宝石は摩耗性が低いとされているのでイヤリングピアスペンダントとして着用することがおすすめです。

硬度が低い宝石を指輪に配置する場合は、他のアイテムと比べて傷つきやすいので、どのような台座にセッティングされているかが重要なポイントになります。均等に力が加わるように留められる爪留めか、ガードル部分を完全に囲って留める覆輪留めがおすすめです。

宝石の耐久性 -靭性(じんせい)-

靭性とは、宝石の原子の結合の仕方やそれらの結合の強さによって宝石が持つ割れや欠けに対する抵抗力の「衝撃に対しての目安」を表します。硬度との違いは、硬度は日常的につく傷のつきにくさ、靭性は落としたときや他のものとぶつけたときの衝撃に対する耐久性の高さであり、必ずしも一致しないということです。
この靭性と関わる要因のひとつが「劈開(へきかい)」です。劈開とは、一定方向の平面に沿って割れやすい特性のことをいいます。

もうひとつの要因が「結晶構造」です。結晶構造は、複雑に絡み合っていれば衝撃に対して弱い方向が決まっていないめ割れにくいといった特性がありますが、結晶構造の並びが規則的な場合は衝撃に強い方向と弱い方向ができてしまうので注意が必要です。

 下記の一覧は、靭性の高い宝石から脆い宝石までを高・中・低・脆の4段階で一覧にしています。靭性で割れやすい宝石に入るエメラルド、トパーズ、トルマリン、ペリドット、オパールなどは、 超音波での洗浄は厳禁なので注意しましょう。
● 靭性:高
・カーボナイト
・サファイア、ルビー
・クリソベリル
・翡翠
宝石のルビー
● 靭性:中
・クォーツ
・アクアマリン
・ガーネット
・ロードナイト
・真珠
宝石のアクアマリン
● 靭性:低
・トルマリン
・ターコイズ
・マラカイト
・ジルコン
・ラピス ラズリ
・珊瑚
宝石のラピスラズリ
● 靭性:脆
・エメラルド
・ペリドット
・トパーズ
・ムーンストーン
・アンバー (琥珀)
・オパール
宝石のエメラル

宝石の耐久性 -安定性-

宝石が化学製品・光・温度・湿度の変化に対していかに耐えることができるかを安定性といいます。
安定性による損傷原因は宝石の特性によって異なり、ジュエリーの保管方法や使用方法に気を付ければ損傷することなく美しい状態で楽しむことができます。
原因1:温度変化
温度が極度の高温から低温に変化すると劈開が生じたり、すでに破損している部分が広がる原因となります。
このことを熱衝撃といいます。
熱衝撃が生じやすい宝石は、タンザナイト・オパール・アイオライトなどになります。
耐久性の損傷原因になる熱衝撃
原因2:湿度変化
周囲の湿度の影響を受けやすい宝石もあり、注意しなければならないのがオパールです。
オパールは微量の水を含んでおり、乾燥や急激な温度変化に弱い性質がありあります。乾燥すると亀裂が生じ、割れる原因になります。
水に長時間さらしてしまうと損傷してしまう宝石もあり、アンバー・アジュライト・マラカイトなどになります。
耐久性の損傷原因の湿度変化
原因3:光や熱の下での長時間放置
直射日光があたる場所に長時間放置すると退色や変化をしてしまう宝石があり、アメシスト・シトリン・トルコ石は注意が必要です。
有機素材の宝石(アンバー・真珠・サンゴなど)は直射日光や熱に長時間さらされると損傷することがあります。
エメラルドは、熱に触れると損傷してしまうので注意しましょう。
耐久性の損傷原因になる直射日光
原因4:化学薬品やその他の物質との接触
真珠のように繊細で多孔質の宝石は、塩素や香水・化粧品の影響で損傷や変色させてしまう原因になります。
トルコ石は、油などのさまざまな液体を吸収しやすいため変色する原因になります。
耐久性の損傷原因になる香水とオイル
美しい宝石を長く保つために、改めて宝石の耐久性や特性に気を付けてみてください。
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