ジュエリーデザインとデザイナーの歴史

ジュエリーデザインとデザイナーの歴史
ジュエリーの歴史は人の歴史と同じ長さがあるといわれるくらい、人と切り離せないものです。最愛の人に贈り物として購入された名高いもの、世界中の王室がコレクションとして受け継いでいるものなど、さまざまな歴史と偉大なジュエリーが存在します。
そんな歴史を築いてきたジュエリーデザインは、名立たるデザイナーや職人たちが手掛けてきました。これらのジュエリーデザインは流行を生み、現代でも受け継がれるジュエリーデザインになっていったのです。

では、ジュエリーの歴史において、どのようなデザインの流行があったのか、そこから受け継がれた職人の技術、そして名高いブランドとそのデザイナーの歴史はどうのような物語があったのでしょうか?
ぜひ最後までお楽しみください。
 -目次-

ジュエリーデザインとデザイナーの歴史
 - 目次 -

◆ ジュエリーデザインの流行や様式の歴史
  〇ガーランド仕様
  〇アール・ヌーヴォー
  〇アール・デコ
  〇考古学様式
  〇ジャポニスム
◆ 歴史的ジュエリーが誇る技術
  〇パヴェ・セッティング
  〇インヴィジブル・セッティング
◆ ジュエリーブランドとデザイナーの歴史
  〇世界5大ジュエラー:CARTIER(カルティエ)の歴史
  〇グランサンク:Mellerio dits Meller (メレリオ・ディ・メレ―)の歴史
  〇コスチュームジュエリー:DIOR(ディオール)の歴史
◆ ジュエリーデザイナーになるには?
〇ジュエリーデザインの流行や様式の歴史
〇歴史的ジュエリーが誇る技術
〇ジュエリーブランドとデザイナーの歴史
〇ジュエリーデザイナーになるには?

 ジュエリーデザインの流行や様式の歴史

ジュエリーデザインの
流行と様式の歴史

いつの時代も自分を輝かせるための装飾品として愛されてきたジュエリー。
元は、権力や高貴さ、神々の祝福の象徴とされ、ヨーロッパでのジュエリー文化は約3000年前から存在しているといわれているそうです。長い歴史と共にデザインは変わり、女性たちに限らず男性をも魅了してきました。その中で生まれたジュエリーデザインは、現代にも受け継がれています。
歴史の中で、どのような様式や流行のジュエリーデザインがあったのか、時代背景と共にお楽しみください。
●ガーランド様式
ガーランド様式は、様式化した花と葉の模様を連続してつなぐデザインのことで、日本では花綱(はなづな)と呼ばれています。 古くはギリシャ、ローマの時代から勝者への冠のデザインをはじめとして広く使われ、18世紀末、マリー・アントワネットが愛好したことで有名です。この時代に、貴族文化への回帰する動きがあり「伝統的で貴族的なジュエリー」へのリバイバルが起こり、ガーランドモチーフの他にリボンモチーフやローレルリースをモチーフにしたジュエリーが生み出されました。

そして、20世紀初頭にプラチナの加工が自由になったのを利用して、カルティエやショーメなどパリの宝石商や英国の宝石商が細いプラチナ線を多用して作った、異常なまでに繊細な花綱模様の作品が作られました。
ガーランド様式のストマッカ―ジュエリー
ドレスの胸の部分に縫い付けて使用するジュエリーのストマッカーは、身分の印としての頭上のティアラに次ぐほど、ヨーロッパで流行してました。

多くの女性たちが自分の最高の宝石をストマッカ―やティアラにするためにとっておいたそうです。
ここにある「ガーランドスタイル」は、月桂樹とボウノット(蝶々結び)に結んだリボン、フェストゥーン(花綱飾り)を組み合わせから、ルイ16世時代のアートにインスピレーションを受けているといわれています。
そして、ダイヤモンドのカットとプラチナの使用によって当世風に仕上げられています。
ジュエリーの歴史 ガーランド様式
CHAUMET(ショーメ)『スタイルストマッカ―』
画像参照元サイト: https://www.albionart.com/jewel/
●アール・ヌーヴォー
1890年~1910年代にかけてフランスを中心に流行したあらゆる分野の芸術運動のことをアール・ヌーヴォーといいます。これは、フランス語で"新しい芸術"という意味です。その芸術運動の思想とは、産業革命により簡素なデザインによる大量生産が増えたことによる反発として、高いデザイン性や職人の手で作り出されるということに重きをおくというものでした。

ジュエリーの世界では日本の美術工芸品がパリで大人気となった『ジャポニズム』は、このころからでした。されらに中近東などの文物からも多大な影響を受け、デザイン面では流れるような曲線、左右非対称、奇抜な植物などの有機的なモチーフが作られるようになり、これまでの西欧美術とは異なる作風が特徴的です。
そして、宝石などの金銭的な価値を重視せず、美であることを第一とし、いろいろな種類のエナメルを用いた、美しい作品が多く見られます。
昆虫モチーフが19世紀に人気の頂点に達すると、豪華に貴石がセットされていきました。これに反発し、ルネ・ラリックによって先導されたアール・ヌーヴォーのアーティストたちは、素材価値の小さい素材を用いて新たな昆虫ジュエリーを創造したのです。

昆虫のボディにダイヤモンドとサファイアをセットし、その羽に自然を模した色合いのプリカジュールエナメルで「ウィンドウ(窓)」をあしらいました。この組み合わせにより、昆虫のはかない美しさを表現しています。
ジュエリーの歴史 アール・ヌーヴォ
BOUCHERON(ブシュロン)『蝉のブローチ』
画像参照元サイト: https://www.albionart.com/jewel/
昆虫モチーフが19世紀に人気の頂点に達すると、豪華に貴石がセットされていきました。これに反発し、ルネ・ラリックによって先導されたアール・ヌーヴォーのアーティストたちは、素材価値の小さい素材を用いて新たな昆虫ジュエリーを創造したのです。

昆虫のボディにダイヤモンドとサファイアをセットし、その羽に自然を模した色合いのプリカジュールエナメルで「ウィンドウ(窓)」をあしらいました。この組み合わせにより、昆虫のはかない美しさを表現しています。
●アール・デコ
1910年代から1930年代にかけて、西欧で流行した多くの分野にまたがる芸術や装飾の新しいデザイン様式ことをいいます。
社会に出て働く女性が増えたことにより、女性の自立や社会的地位の向上、そして意識改革などから、特にジュエリーデザインにおいて大きな影響を与えられたと考えられ、働く女性が使えるデザインとなっていきました。

幾何学模様と直線とを生かしたシンプルかつ大胆なデザインのものが中心で、ユニセックスモチーフや大胆でカラフルな宝石を配しているものが多いです。白さを強調したデザインが主流だったので、プラチナ・ホワイトゴールド・シルバーなどが用いられ、現代のジュエリーの始まりとも言える作品が多くありました。
このカルティエのティアラは、ごくわずかなティアラが製作されていた時代に、最も重要なジュエリーメゾンによってデザインされた素晴らしいアール・デコの作品です。
先端に向かってテーパーされたその"モニュメント的なタワー"すなわち「パイロン(エジプト寺院の塔門)」が示すように、それは古代エジプトへの参照と組み合わせた戦後の時代の幾何学デザインとなっています。バゲットとして知られる新しいカット技術が施されたダイヤモンドをふんだんに使用し、幾何学的なモチーフとなっています。

そしてこのティアラは、いくつかのフィッティングを含むことにより、ネックラインや襟を飾る様々なクリップ、あるいはフォーマルドレス用のブローチ、さらにバングルに変換することができました。
そしてダイヤモンドの白さにより、ドレスのどんな色にも合わせることができ、アレンジも楽しめるものとなっています。
ジュエリーの歴史 アール・デコ
CARTIER(カルティエ)『ダイヤモンド・ティアラ』
画像参照元サイト: https://www.albionart.com/jewel/
このカルティエのティアラは、ごくわずかなティアラが製作されていた時代に、最も重要なジュエリーメゾンによってデザインされた素晴らしいアール・デコの作品です。
先端に向かってテーパーされたその"モニュメント的なタワー"すなわち「パイロン(エジプト寺院の塔門)」が示すように、それは古代エジプトへの参照と組み合わせた戦後の時代の幾何学デザインとなっています。バゲットとして知られる新しいカット技術が施されたダイヤモンドをふんだんに使用し、幾何学的なモチーフとなっています。

そしてこのティアラは、いくつかのフィッティングを含むことにより、ネックラインや襟を飾る様々なクリップ、あるいはフォーマルドレス用のブローチ、さらにバングルに変換することができました。
そしてダイヤモンドの白さにより、ドレスのどんな色にも合わせることができ、アレンジも楽しめるものとなっています。
●考古学様式
さまざまな文明や遺品からヒントを得たものを考古学様式、別名でヒストリシズムとも呼ばれます。
ジュエリーに限られるものではなく、過去に存在した文明の遺品などからデザインのアイディアを得れた作品の総称です。ジュエリーには時代や国を問わず膨大な遺品があり、それを利用した作品は多くあります。歴史的には、19世紀半ばにローマのカステラー二一族が、エトルリア人や遊牧民族のジュエリーを模したことに始まりました。その後、エジプト・ケルト・スキタイなどをはじめとする多くの文明からアイディアを得た作品があります。
アウグスト・カステラーニは、宝飾品と装飾美術品で世界的な評価を得られ、「イタリア考古学風ジュエリー」を流行させました。
このトリプティックでカステラーニは、ローマの最も偉大な宗教的モニュメントをミニアチュールに精密に写しました。

この鮮やかな色彩と輝く金のトリプティックは、ルイジ・ポディオの監修によって制作され、カステラーニの最高傑作のひとつです。ビザンチンの宗教精神を表す、聖母の神聖な美しさと、キリストの主としての荘厳さを再現し、極めてシンプルなセッティングで仕上げられています。
ジュエリーの歴史 考古学様式
CASTELLANI(カステラーニ)『トリプティック ペンダント』
画像参照元サイト: https://www.albionart.com/jewel/
アウグスト・カステラーニは、宝飾品と装飾美術品で世界的な評価を得られ、「イタリア考古学風ジュエリー」を流行させました。
このトリプティックでカステラーニは、ローマの最も偉大な宗教的モニュメントをミニアチュールに精密に写しました。

この鮮やかな色彩と輝く金のトリプティックは、ルイジ・ポディオの監修によって制作され、カステラーニの最高傑作のひとつです。ビザンチンの宗教精神を表す、聖母の神聖な美しさと、キリストの主としての荘厳さを再現し、極めてシンプルなセッティングで仕上げられています。
●ジャポニズム
ゴッホ:タンギー爺さん
ゴッホ『タンギー爺さん』
画像参照元サイト: https://artmuseum.jpn.org/japonismetop.html
ジュエリーの分野だけの限らず芸術全般に渡り、19世紀末から20世紀初頭にかけて日本の工芸や絵画などに影響を受けた西洋芸術の総称です。
特にパリにおけるジャポニズムの人気の高さは尋常ではないレベルに到達し、エドガー・ドガやゴッホなどの絵画には浮世絵や掛け軸などが描かれました。

ジュエリーの分野では、根付や鍔(つば)にほどこされた見事な彫刻と見たこともない合金の美しさが、同時代の作家たちに新しいジュエリー制作のインスピレーションとして影響を与えました。
デザインとしては左右非対称の造形や曲線の多用、そして奇抜な生物などがあり、技法も七宝や漆(うるし)、蒔絵(まきえ)などが取り入れられていました。
ゴッホ:タンギー爺さん
ゴッホ『タンギー爺さん』
画像参照元サイト: https://artmuseum.jpn.org/japonismetop.html
ジュエリーの歴史 ジャポニスム
FALIZE(ファリーズ)『エナメル・ディスクを用いたネックレス』
画像参照元サイト: https://www.albionart.com/jewel/
アレクシス・ファリーズによる日本美術の発見でクロワゾネ技法のエナメルを施したジュエリーが創造され、そこから新たなインスピレーションを与えられたのです。
このクロワゾネ技法とは、仕切られた枠の中へエナメルを流し込む方法で、「仕切り壁」の意味を持つ「クロワゾネ」と呼ばれるようになりました。

クロワゾネ技法によるネックレスで人々が感動させられたのは、自然から引き出された大胆さと独創性で表現された植物と動物のモチーフだけではなく、エナメル細工における東洋のクロワゾネ技法に対するファリーズの熟練技によるものでもした。
金属の表面にロウ付けされた細い繊細なワイヤーが異なったカラーのエナメルを区切る技法で作り、それらのエナメルは何度も火入れをすることで、最終的な研磨の後に色を強めてあらわれます。
そして、5点の両面ペンダントは似ているように見えるが、全部で10点の異なったものとなっています。
エキゾティックなものとファンタスティックなものを結び付けたファリーズの作品は、この時代の最も独創的なジュエリーのひとつとなっています。

 歴史的ジュエリーが誇る技術

 歴史的ジュエリーが誇る技術

アール・ヌーヴォの時代からジュエリー制作時の石留めで使われていたパヴェ・セッティン。そして、VAN CLEEF & ARPELS(ヴァン クリーフ&アーペル)が生み出したとされるインヴィジブル・セッティング。
長い歴史の中で作り上げられてきた技術に、どのような歴史があったのかをご紹介します。
●パヴェ・セッティング
『パヴェ』とは、フランス語で道路などの"敷石"のことを示します。そして、ヨーロッパの古い都市で見られる石畳のように、ジュエリーデザインの表面に隙間なくダイヤモンドやカラーストーンなどの宝石をびっしりと留めていく石留め技法のことをパヴェ・セッティングと呼びます。
この技法は、宝石と宝石の隙間をいかに少なくするか、そして宝石を留める爪をどのようにして小さく目立たなくできるかが重要になり、見た目の美しさが決まります。
CAHUMET(ショーメ)『LAURIER Collection ネックレス』
CAHUMET(ショーメ)『LAURIER Collection ネックレス』 画像参照元サイト:https://www.chaumet.com/jp_ja/laurier-necklace-083504
1900年代のプラチナを使用したジュエリーが最高水準にあった頃、ヨーロッパのパヴェ・セッティングが施された作品は、隙間なく宝石だけに見えるほど爪も小さく素晴らしいものだったといわれています。
その美しさを劣化させることなく受継がれるジュエリーにできたのは、プラチナの特徴でもある耐久性が高く非常に加工がしやすい金属だからこそになります。このことからプラチナは、時として技術を要する形の細かい物の制作に向いているのです。

白い地金素材が銀しかなかったころにも細かい作りのものはありましたが、パヴェ・セッティングの技法はジュエリーにプラチナが使用し始められた事によって、繊細な細工が可能となり発展していった技術ともいわれています。
CAHUMET(ショーメ)『LAURIER Collection ネックレス』
CAHUMET(ショーメ)『LAURIER Collection ネックレス』 画像参照元サイト:https://www.chaumet.com/jp_ja/laurier-necklace-083504
●インヴィジブル・セッティング
グランサンクでもあるVAN CLEEF & ARPELS(ヴァン クリーフ&アーペル)が生み出したといわれる大胆な創造力と技術力を象徴する技法、それがインヴィジブル・セッティングです。

1933年に独自の石留め『ミステリーセッティング™』として特許を取得し、貴石の美しさを引き出す革新的なセッティング方法として、今や世界に知られています。( 特許の関係で、『インヴィジブル・セッティング(目に見えないセッティング)』という名称で流通している。)
インヴィジブルセッティングのアトゥール ミステリユー ネックレス
VANCLEEF&ARPELS(ヴァンクリーフ&アーペル)
『アトゥール ミステリユー ネックレス』
画像参照元サイト: https://www.vancleefarpels.com/jp/ja/collections/high-jewelry/thematic-collections/legend-of-diamonds/25-mystery-set-jewels/on-the-creations-fluid-motifs-combine-with-sparkling-stones.html#atours-mysterieux
当初使用されていたインヴィジブル・セッティングは、宝石の側面に溝を彫り、その溝に金属のワイヤーを通して固定するものだったそうです。

現在では技術も発展し、その秘密を握るゴールドのレールには、細心の注意を払ってカットされた石が1つずつはめ込まれています。貴石をインヴィジブル・セッティングで組み合わせることにより、流れるような曲線と鮮やかな色彩の総合作用を活かし、軽やかさと躍動感を与えることができるのです。

貴石の多くはルビーですが、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドも用いられました。
インヴィジブルセッティングのアトゥール ミステリユー ネックレス
VANCLEEF&ARPELS(ヴァンクリーフ&アーペル)
『アトゥール ミステリユー ネックレス』
画像参照元サイト: https://www.vancleefarpels.com/jp/ja/collections/high-jewelry/thematic-collections/legend-of-diamonds/25-mystery-set-jewels/on-the-creations-fluid-motifs-combine-with-sparkling-stones.html#atours-mysterieux

 ジュエリーブランドとデザイナーの歴史

ジュエリーブランドと
デザイナーの歴史

名立たるジュエリーブランドが世界中で誕生し、そのデザイナーたちは生きた時代の世相を取り入れながら、確固たるスタイルでデザインをしてきました。
世界的に知名度や人気があり長い歴史を持つ老舗のハイジュエリーブランドとなる「世界5大ジュエラー」、フランス高級宝飾協会が認めたパリ5大宝飾店の「グランサンク」、そして、デザイン性に富み貴金属や宝石を使わずに作られた「コスチュームジュエリーを扱ったジュエラー」、これらからジュエリーブランドをピックアップし、ジュエリーとそのデザイナーが生み出した歴史あるジュエリーにどのような物語があるのかをご紹介します。
●世界5大ジュエラー:CARTIER(カルティエ)の歴史
●世界5大ジュエラー
 CARTIER(カルティエ)の歴史
1847年にルイ・フランソワ・カルティエが師匠のアトリエを引き継ぐ形で創業し、100年以上の長きにわたり時代の変化を取り込みながら名品を製作してきたフランスの宝石商です。
1899年、現在のラ・ペ通りに転居したカルティエが最初に取り組んだデザインが、プラチナを使ったガーランド様式のジュエリーでした。これこそがジュエリーの歴史にカルティエの名前を残す代表作となったのです。
その時代では、新しい貴金属のプラチナを使用することで細い線の爪で宝石を留められるようになったことにより、それまでぼってりと重かったジュエリーが繊細かつ軽快なものとなりました。この時代のカルティエが作り上げたプラチナ細工は、ジュエリー史上最も見事な作品のひとつに入り、現代にいたっても復元はできていないほどのクオリティだといわれています。
初代パンテール模様の時計
初代パンテール模様の時計
画像参照元サイト:https://quillandpad.com/2015/08/04/why-is-the-panther-cartiers-pet-animal-thank-jeanne-toussaint/
ルイ・フランソワ・カルティエの孫にあたる3兄弟が、パリ、ロンドン、ニューヨークの3大都市の店舗を仕切っていた1910年~1940年間こそが、カルティエの最も輝かしい時代であり、宝石商の頂点の時代ともなるのです。

そこでルイ・カルティエによって誕生したのが、ダイヤモンドとオニキスを組み合わせたパンテール模様(ヒョウ柄)のブラスレットウォッチでした。
このパンテール模様は、プラチナ細工の技術があったらからこそのデザインです。
初代パンテール模様の時計
CARTIER(カルティエ)『初代パンテール模様の時計』
画像参照元サイト:https://quillandpad.com/2015/08/04/why-is-the-panther-cartiers-pet-animal-thank-jeanne-toussaint/
ジュエリーデザインとデザイナーの歴史
CARTIER(カルティエ)『パンテール ドゥ カルティエ リング』
画像参照元サイト:https://www.cartier.jp/
このパンテールが誕生したきっかけは、ベルギー出身の女性デザイナーと出会いからになります。その女性がオート・ジョワイユ(特注宝石製作)界に君臨し、後にカルティエハイジュエリー部門の最高責任者となるジャンヌ・トゥーサンです。

当時には珍しく、女性として毛皮を好むファッションやエレガントな青い瞳、スリムな外見、そして凛々しくしなやかな立ち振る舞いを備えつつ、貪欲なアクティブさと厳しい世界を自立して生き抜く彼女の姿は"まるで豹のようだ"と、ルイ・カルティエが愛称を込めて『パンテール』と呼んでいました。
ルイ・カルティエが彼女のために、自らデザインしたオニキスとダイヤモンドで象ったパンテールを贈り物にしたとのことです。
このデザインが元となり一世を風靡したこのジュエリーは、パンテール・シリーズとして流行しました。
●グランサンク:Mellerio dits Meller (メレリオ・ディ・メレ―)の歴史
●グランサンク
 Mellerio dits Meller (メレリオ・ディ・メレ―)の歴史
「メレリオ・ディ・メレー」はパリの5大宝飾店『グランサンク』の一つにも数えられる名門ジュエラーです。ルイ13世の頃の1613年にジュエラーとして登録され、最古のジュエラーとも言われています。また、他のブランドと違い資本家(投資会社)の買収を受けず、創業から15代にもつづき今もなお一族に引き継がれている老舗名門ジュエラーです。

メレリオ・ディ・メレーを店舗として創業したのはジャン・バティスト・メレリオ。イタリア出身の金細工職人だったため、デザインにイタリアらしさを残しています。メレリオ・カットとよばれる卵形をした石のカットが特徴で、ジュエリーはファッションの中で更に美しく見せるための装身具であることに徹し、主張し過ぎない正統的なデザインが多く、フランス王室ご用達の宝石商です。
そして、創業者のジャン・バティスト・メレリオは、自社の職人育成にも力をいれていて後世に繋がる有名になった職人や作家を育てていたそうです。
MELLERIO dits MELLERのペンダント&ブローチ
Mellerio dits Meller(メレリオ・ディ・メレー)『ブローチ&ペンダント』
画像参照元サイト:https://antique-gallery-soleil.com/products/detail.php?product_id=4450
メレリオ・ディ・メレ―は、"モードの王妃"として当時の宮廷ファッションに絶大な影響を与えた王妃マリー・アントワネットに愛されたジュエリーとしても有名です。
その事実を証拠付けるできごとがあったのです。証拠となるものが、下の写真のブレスレットになります。

この発端は1780年頃、宝石商であるジャン・バティスト・メレリオがヴェルサイユ宮殿の門の前で、宮殿に住む待女たちに宝石やジュエリーを見せていたところ、王妃マリー・アントワネットがメレリオのブレスレットを気に入り、購入したそうです。
そして1786年、マリー・アントワネットがブラディ伯爵夫人に、そのブレスレットをプレゼントとして贈ったのです。それから時を経て何人かの手に渡り、カステルバジャック男爵夫人が所有した後、その後の行方が分からなくなってしまいました。
ジュエリーデザインとデザイナーの歴史
マリーアントワネットが購入したカメオのブレスレット
画像参照元サイト:https://www.elle.com/jp/wedding/wedding-celebrity/g29452490/celebrityjewelrymaison-19-1016/?slide=1
それから200年余りたった頃、ブレスレットが見付かったのです!
2014年に、メディアに掲載されたメゾンの記事とブレスレットの写真を見た男性から「母親がオークションで購入したブレスレットです」とメレリオ・ディ・メレーに連絡が入りました。この連絡を機に調査されたところ、このブレスレットがオークションで売られた際の所有者が、カステルバジャック男爵夫人であったことが判明しました。

現在は、マリー・アントワネットとメレリオ・ディ・メレーの絆を結ぶこのブレスレットをメレリオ・ディ・メレーが買取り、所有されています。
今回の出来事のように、歴史において長い年月がたってから明らかになる事や新たな真実が判明することもあります。このような出来事もジュエリーの歴史の魅力の一つだと思います。
●コスチュームジュエリー:DIOR(ディオール)の歴史
●コスチュームジュエリー
 DIOR(ディオール)の歴史
美術品のディーラーという経験と経て、クリスチャン・ディオールは1946年にメゾンを創設します。その翌年1947年にデザイナーとしてデビューしました。
そして40歳を超えたころに、細いウエストで裾広がりのスカートといった女性的でエレガントなシルエットが特徴の通称『ニュールック』という優美なスタイルを確立しました。このドレスに合わせたコスチュームジュエリーの製作もされております。1952年には、ミッチェル・メイヤーなどのデザイナーを迎え、ダイヤのような輝きをもつラインストーンと様々な素材を組み合わせたデザインを立て続けに発表し成功を納めたのです。
それから5年後の1957年、クリスチャン・ディオールは52歳の若さで亡くなりました。
しかし、現代も優秀なデザイナー達によりディオールの意思は、受け継がれ続けています。それは、多くの方々に愛されている続けているブランドだからといえるのでないでしょうか。
ミッチェル・メイヤーが制作したイヤリングとネックレス
ミッチェル・メイヤー製作のイヤリング/ネックレス
画像参照元サイト:https://www.fashionsnap.com/article/ysl-nat-review/
その優秀なデザイナーの一人だったのが、イヴ・サンローランです。
彼は、17歳でファッションデザイナー養成学校に入学し、すぐに頭角を現します。IWS(国際羊毛事務局)主催のデザインコンクールで"カクテルドレス"を発表し、ドレス部門最優秀賞を受賞します。 このコンクールでの入賞がきっかけで、当時VOGUEのディレクターだったミッシェル・デブリュノフがクリスチャン・ディオールに紹介し、1955年ディオールに就職しました。

その後、才能に感銘を受けたクリスチャン・ディオールにより後継者として育てられます。その2年後に急逝してしまったクリスチャン・ディオールの代わりに、21歳の若さで主任デザイナーとなったイヴ・サンローランは、初コレクションで"トラぺーズ・ライン(スカートの裾のラインがちょうど膝にかかるくらいの台形のデザイン)"を発表し、翌日に新聞で見出しに出るほどの大好評を得て、ニーマン・マーカス賞を受賞したことにより、ディオールの窮地を救ったのです。
それからディオールを離れ、62年に自身のメゾンを創設しました。66年には若い世代の感性に合わせた「モンドリアン・ルック」や「サファリ・ルック」など革新的ファッションデザインを発表したのです。
イヴサンローランのネックレス(1983年春夏オートクチュールコレクション)
SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)のピアス(1983年春夏オートクチュールコレクション)
画像参照元サイト:https://www.fashionsnap.com/article/ysl-nat-review/
コスチュームジュエリーでは、"アクセサリーは衣服を、そして女性を変容させる"という考えから、貴金属・真珠・宝石は使わずに木材・珊瑚・貝殻・メタル・ラインストーン・ビーズ・羽・セラミックなどを大胆に多用され、素材の組み合わせと想像力において際限がないことを表現してました。そのジュエリーは、奇抜ながら華麗さと優美さを持ち合わせたものとなっています。
この奇抜な発想は、ディオールの意思を受け継いだ後継者だったことをうかがわせるジュエリーに感じます。
いかがでしたでしょうか?
宝飾の素晴らしいもさることながら、ジュエリーデザインのコンセプトや込めた思いをしることで、より特別なものに感じますね。そして、『過去に起こったことは、同じようにして、その後の時代にも繰り返し起こる。』ともいいますが、流行もそうです!
偉大な方々が突き上げたジュエリーの歴史から、これからのデザインの参考にしてみてはいかがでしょうか?

ジュエリーCAD総合コースの特徴

 ジュエリーデザイナーになるには?

ジュエリーの長い歴史の中で、時代ごとの文化や流行などから新たなジュエリーデザインが生まれ、その美しさは人々を魅了してきました。そんなジュエリーデザインの多くは、古代と同じ宝石・形状・そしてモチーフを反映し、現代で新たな発展をしつづけています。 歴史を築いてきたジュエリーデザインは、ジュエリーメゾンはもちろん、そのデザイナーや職人たちが手掛けてきたものです。
ジュエリーCADスクールの卒業生
そして"自分もいつかジュエリーデザイナーになりたい"、"ジュエリーブランドを立ち上げて活躍したい"と思われている方もいらっしゃるかと思います。

そんな憧れや夢を叶えられるようLaVagueジュエリースクールには、ジュエリーを作れるようになるのはもちろん、最短距離で売る為に必要なスキルを学び、ブランド運営のノウハウを分かりやすく体系的にまとめたコースがあります。

それが ジュエリーCAD総合コースアントレプレナーコース です。
ジュエリーCAD総合コースの特徴
ジュエリーデザインについての授業風景
ジュエリーが好きで作りたいデザインをカタチにする時、手作業が苦手な方。
すでにジュエリーデザイナーとして活動していて、制作を職人さんに依頼するも細かいニュアンスがうまく伝わらず、希望通りにいかない等で苦戦されている方もいらっしゃるかと思います。

そんに方々におすすめなのがジュエリーCAD総合コースなのです!
『歴史的ジュエリーが誇る技術』にありましたパヴェ・セッティングは、彫金技術を応用すれば制作は可能です。しかし、そこまでの技術を身に着けるには、基礎はもちろん様々な技術の習得と経験、そして知識が必要となります。彫金経験がある方でも苦戦される方が多いほどの難易度なのです。

そんな難しい技術が必要なデザインでも、ジュエリーCADなら熟練の技術がなくても作成できます。
ジュエリーCADスクールで制作したペアリング
ジュエリーCADで必要なのは、"金属になる上で必要な強度をもった厚みであるか"と、"コマンド機能について"です。
この2つができていれば、写真のようなリングを"ジュエリーCADを今日から始めた人"だろうと"長年の経験者"だろうと、同じものが作れてしますのです。
『歴史的ジュエリーが誇る技術』にありましたパヴェ・セッティングは、彫金技術を応用すれば制作は可能です。しかし、そこまでの技術を身に着けるには、基礎はもちろん様々な技術の習得と経験、そして知識が必要となります。彫金経験がある方でも苦戦される方が多いほどの難易度なのです。

そんな難しい技術が必要なデザインでも、ジュエリーCADなら熟練の技術がなくても作成できます。
ジュエリーCADで必要なのは、"金属になる上で必要な強度をもった厚みであるか"と、"コマンド機能について"です。この2つができていれば、写真のようなリングを"ジュエリーCADを今日から始めた人"だろうと"長年の経験者"だろうと、同じものが作れてしますのです。
ジュエリーCADスクールで制作したペアリング
このように熟練の技術が必要だったジュエリーを簡単に作ることが出来るようになってしまうので、一からジュエリー制作を学べることができます。そして、自分の持っている技術の範囲でしか商品を作ることが出来なかった方にも簡単に思い描いたジュエリーをカタチにすることができるのです。
CAD総合+アントレを受講されていた
生徒さんのインタビュー記事
この先の人生、何があるかわからない、
やりたいと思ったときが初め時!
好きなジュエリーの世界へ挑んだ生徒の藤本さん。
ジュエリー制作を一から学び、サイドビジネスとしてブランド立上げから現在の活動について、お話しを伺いました。
アントレプレナーコースの特徴
『ブランドを立ち上げる』という目標を、しっかり現実にするために必要な5講座がセットになっているコースです。リアルタイムでブランド運営を進めるプロフェッショナル達が、マンツーマンで必要なスキルを伝授します。
1回目の講座を受講して、学びが無いと感じたら『全額返金システム』も完備! 一歩目が踏み出しやすく、それだけ私たちにとって自信があるコースになっています。
ラヴァーグジュエリースクール 学校長松尾琢磨
STEP1
ブランド運営とは?
導入講座
ロゴ講座
STEP2
ブランドロゴ
名刺類作成講座
写真撮影講座
STEP3
魅せる撮影ノウハウ
写真撮影講座
画像加工講座
STEP4
販売戦略に必須の
画像加工講座
ジュエリーデザインとデザイナーの歴史
STEP5
オフィシャルサイト
作成講座
ジュエリーCAD総合コース と
アントレプレナーコース
修了のブランド活動
一からCADとジュエリー制作について学び、ブランド運営未経験からスタートをさせ、
カリキュラム修了後も商品制作を続ける卒業生ブランドをご紹介します。
〈*画僧またはブランド名をクリックで、ブランドのインスタグラムへ移動できます〉
〈*画像をタップするとブランドのインスタグラムへ移動できます〉
デザイナー自ら天然石の選別と買付けを行い、一点モノを中心に、永く身につけられるジュエリーを生み出し続けているブランド。
CAD造形やWAX技法を用いた、それぞれの石の特徴を活かした枠とリングのカスタマイズオーダーが人気。
東京を拠点に、神戸、京都、札幌などの百貨店でのPOPUPに毎月コンスタントに呼ばれるなど、東京だけでなく日本各地にファンの多いブランドとして活躍中。
天然石の美しさを引き立てる、ミニマルでアンティークテイストなジュエリー。
宝石鑑別を学んだデザイナーがその確かな目で買い付けた宝石を使用。 デザイン性の高さと確かな加工技術を兼ね備え、婚約指輪や結婚指輪のオーダーメイドを中心に活動中。
2021年のNew Jewelry Tokyo出展や2022年新宿伊勢丹でのLimited Shopオープンなど、目の肥えたジュエラーや百貨店バイヤーからも注目されるブランド。
ジュエリーは古代から人々を美しさで魅了し、文化や信仰、富の象徴として重要な役割を果たしてきました。また、贈り物や特別な瞬間に身に着けられたりすることで、人との繋がりの象徴にもなります。

そして、愛や友情、記憶との結びつきを強調するのがジュエリーデザインであり、美しさだけではなく、その意味やストーリーが重要なのです。

ジュエリーデザイナーという職業は、技術的なスキルや金属・石の特性などを学びながら、独自のセンスを生み出します。そしてなによりも、人々の心にも触れることができる職業でもあるのです。デザインをしたジュエリーを誰かが身に着け、その美しさや意味に触れた瞬間に特別なものになり、受け継がれていくことでしょう。

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