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サンバーストとは?インディアンジュエリーに込められた意味と魅力

サンバーストに込められた意味
サンバーストに込められた意味

太陽の光が中心から放射状に広がるような力強い造形が印象的な「サンバースト」。

インディアンジュエリーの中でも象徴的なこのモチーフは、単なる装飾ではなく、ネイティブアメリカンが自然とともに生きる中で育んできた思想や祈りが形になったものです。

古くから太陽は、生命を育み、季節や時間の巡りを司る存在として、人々の暮らしや信仰の中心にありました。

サンバーストは、その太陽の力を身近に感じ、守りとして身に着けるために生まれた表現のひとつです。

 

特にナバホ族にとって太陽は、世界の調和を保ち、生きる力を与える重要な存在とされてきました。

サンバーストの中心から伸びる放射線は、生命力や再生、前へ進むためのエネルギーを象徴しており、身に着ける人の心を支えるお守りのような意味を持ちます。


シンプルな構成の中に、祈りや願いが込められている点こそが、このモチーフが長く受け継がれてきた理由です。

 

本記事では、サンバーストの由来や意味、そしてナバホ族との深い関わりに焦点を当て、このモチーフが持つ本来の価値と背景を丁寧に紐解いていきます。

見た目だけでは伝わらない、サンバーストの本質的な魅力を感じていただければ幸いです。

Lesson4 サンバースト

サンバースト以外のインディアンジュエリーモチーフ一覧はコチラ

インディアンジュエリーコースを学びたい方へ、インディアンの歴史から、インディアン達が大切にしているモチーフの意味の紹介。
サンバースト以外にもフェザーやココペリ、コーンメイデンなどそれぞれのモチーフに込められた意味とは?

インディアンジュエリーに見られるモチーフたちには、彼らの自然に対する感謝や尊敬、願い。家族や仲間たちを思う優しい心。強く生きるための教えが詰め込まれています。

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サンバーストとは?デザインと由来

サンバーストとは?
デザインと由来

サンバーストの意味を知るには、まずそのデザインと成り立ちを理解することが大切です。


サンバーストとは、太陽の光が中心から放射状に広がる様子を表したモチーフで、インディアンジュエリーの中でも広く知られています。とくにナバホのシルバージュエリーで多く用いられてきたデザインです。

 

 

このモチーフは、太陽そのものを写実的に描いたものではありません。

サンバーストは、太陽が持つ力や役割――生命を育て、癒し、世界へとエネルギーを行き渡らせる存在としての太陽を、抽象的な形で表現したものと考えられています。

中心から外側へ伸びる放射線は、光や恵み、力が広がっていく様子を象徴しています。

 

 

ネイティブアメリカンの世界観において、太陽は生命の源であり、自然の循環を司る神聖な存在です。

サンバーストは、その太陽のエネルギーを日常の中で身につけるための、いわば「目に見える祈り」としてジュエリーに落とし込まれてきました。

19世紀後半、ナバホが銀細工技法を取り入れるようになると、スタンプワークやカットワークによる放射状の表現が発展し、サンバーストはひとつの様式として定着していきます。太陽や光を抽象的な構成で表すこのデザインは、時代や作家ごとに解釈を変えながら、現在まで受け継がれています。

そのためサンバーストは、生命力や再生、前に進む力を象徴するモチーフとして、現代でも「身につけるお守り」のような存在として親しまれています。

放射状デザインの意味|なぜサンバーストは放射状なのか

サンバーストの意味を最も端的に表しているのが、中心から外側へ広がる放射状のデザインです。

この構成は、単に視覚的な印象を強めるための装飾ではなく、サンバーストというモチーフの本質そのものを形にしたものと言えます。

 

放射状とは、ひとつの中心点から力や光、エネルギーが四方八方へ広がっていく構造を指します。

サンバーストでは、中心が太陽を表し、そこから伸びる線が太陽の光や恵み、生命力の広がりを象徴しています。太陽はただ存在するだけでなく、光を放ち、世界を照らし、命を育てる存在であるという考え方が、この放射状の形に込められています。

 

インディアンジュエリーでは、太陽をそのまま描写するよりも、太陽の働きや力の流れを構造として表す表現が重視されてきました。

その結果、丸い太陽の形よりも、放射線を強調したサンバーストのデザインが発展していったと考えられています。

 

また、放射状の線が均等に外へ向かって広がる点も重要です。

これは、太陽の恵みが特定の誰かだけに向けられるものではなく、すべての人や世界へ等しく行き渡るという思想を反映しています。

サンバーストが「身につける祈り」として受け止められてきた背景には、こうした普遍性があります。

 

 

さらに、放射線の本数や角度、彫りの深さによって印象が大きく変わる点も、サンバーストの特徴です。

スタンプワークやカットワークによる表現には作家ごとの個性が反映され、同じサンバーストでもまったく異なる表情を見せます。

このことからも、放射状の構成は、意味と造形の両面を支えるサンバーストの核心的な要素だと言えるでしょう。

インディアンジュエリー①サンバースト

サンバーストの由来|ナバホと銀細工文化の関係

サンバーストの意味やデザインを理解したうえで、次に押さえておきたいのがその由来です。


サンバーストは、特定の部族が起源であると明確に断定できるモチーフではありません。

太陽そのものは、ナバホに限らず、多くのネイティブアメリカン部族に共通して神聖視されてきた存在であり、生命の源や自然の循環を象徴する重要な要素でした。

 

 

ただし、現在一般に知られているインディアンジュエリーのサンバースト表現は、ナバホの銀細工文化の中で様式として洗練されたものと考えられています。

 

19世紀後半、ナバホはメキシコ系銀細工師から銀の加工技術を学び、ジュエリー制作を本格的に発展させていきました。

それ以前は、貝や石、骨など自然素材による装身具が中心でしたが、シルバーという素材を得たことで、より複雑で象徴性の高い文様表現が可能になります。

 

この流れの中で、スタンプワークやカットワークといった技法が生まれ、太陽や雷、水といった自然現象が抽象的な文様として表現されるようになりました。

サンバーストもそのひとつで、放射状の刻みや切り込みによって、太陽の光やエネルギーの広がりを表す構成が、ナバホの銀細工文化の中で定着していきます。

 

重要なのは、サンバーストが「太陽の絵柄」として描かれたのではなく、太陽の働きや力の流れを、銀という素材と技法によって表現した構造的なモチーフである点です。

光を反射するシルバーに放射状の彫りやカットを施すことで、実際の光を受けて輝き、太陽の力を視覚的にも感じさせる表現が可能になりました。

 

 

 

このように、サンバーストはナバホの信仰や自然観と、19世紀以降に発展した銀細工技法が結びつくことで形づくられたモチーフです。

起源を一部族に限定することはできませんが、ナバホの銀細工文化の中で現在のサンバースト像が整えられ、広く知られる存在になったと捉えるのが、サンバーストの意味を理解するうえで最も自然な見方と言えるでしょう。

 

インディアンジュエリーにおけるサンバーストの意味

インディアンジュエリーにおけるサンバーストの意味

インディアンジュエリーにおけるサンバーストの意味は、太陽の力が世界へ放射される様子を象徴することにあります。サンバーストは、太陽そのものを描いたモチーフではなく、太陽が持つ生命力・癒し・再生のエネルギーが外へ向かって広がっていく姿を抽象的に表現したものです。

ネイティブアメリカンの世界観において、太陽は生命の源であり、自然の循環を支える神聖な存在です。作物を育て、季節を巡らせ、人の命を支える存在として、太陽は深い敬意とともに捉えられてきました。サンバーストは、その太陽の力を日常の中で身につけるための象徴として、ジュエリーに落とし込まれてきたと考えられています。

インディアンジュエリーでは、サンバーストは「強さ」や「活力」だけでなく、「癒し」や「再生」を意味するモチーフとしても解釈されます。中心から放射状に伸びる線は、太陽の恵みが一方向ではなく、すべての人や世界へ平等に行き渡ることを示しており、守護や祝福の意味合いも含まれています。

また、多くの部族で東から昇る朝日は「新しい始まり」や「良い変化の訪れ」を象徴するとされてきました。そのため、インディアンジュエリーのサンバーストには、前に進む力や、新しい一歩を後押しする意味が重ねられることもあります。人生の節目や転機に選ばれるモチーフとして親しまれてきた理由も、こうした考え方にあります。

以下に、インディアンジュエリーにおけるサンバーストの代表的な象徴と意味、その解説をまとめます。
太陽・生命の源

サンバーストは、太陽の光が放射状に広がる様子を表したモチーフで、生命を育み、世界を照らす存在としての太陽を象徴しています。ネイティブアメリカンにとって太陽は、自然の循環と命の根源を司る神聖な存在であり、サンバーストはその力を身につけるための象徴とされてきました。

生命力・活力

中心から外側へと広がる放射状の線は、太陽のエネルギーが世界へ行き渡る様子を表しています。サンバーストは、身につける人に活力や前に進む力を与えるモチーフとして解釈され、日常のお守りとしても親しまれてきました。

癒し・再生

太陽は、成長を促し、傷ついた大地や生命を再びよみがえらせる存在でもあります。そのためサンバーストは、癒しや再生の象徴としても扱われ、心身のバランスを整え、新たなサイクルへ導く意味が込められています。

守護・祝福

放射状に広がる光は、太陽の恵みが特定の誰かだけでなく、すべての人や世界へ平等に注がれることを示しています。サンバーストは、持ち主を守り、祝福する存在として、「身につける祈り」とも表現されるモチーフです。

新しい始まり・前向きな変化

ネイティブアメリカンの世界観では、東から昇る朝日は新しい始まりや良い変化を象徴します。サンバーストには、人生の節目や新たな一歩を後押しする意味が重ねられ、転機のお守りとして選ばれることも多いモチーフです。

このように、インディアンジュエリーにおけるサンバーストは、単なる装飾的な太陽モチーフではなく、太陽のエネルギーを身につけ、自然と調和して生きるための「目に見える祈り」として大切に受け継がれてきたモチーフです。生命力や再生、守護といった多層的な意味を持つサンバーストは、その背景を知ることで、インディアンジュエリーに込められた思想や世界観をより深く味わうことができるでしょう。

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部族ごとのサンバーストの表現と技法の違い

部族ごとのサンバーストの表現と
技法の違い

― ナバホ・ホピ・ズニに見る太陽モチーフの多様性 ―

サンバースト(太陽光線)モチーフは、インディアンジュエリーを象徴するデザインのひとつとして広く知られています。
中心から放射状に広がる光の表現は、一目で「太陽」を連想させ、力強さと神聖さを同時に感じさせるモチーフです。

とくにナバホ族のジュエリーで多く見られることから、「サンバースト=ナバホのモチーフ」という印象を持つ人も少なくありません。しかし、サンバーストの意味そのものは、特定の部族に限定されるものではありません。
太陽や光、力、癒しといった概念は、ネイティブアメリカンの多くの部族に共通する自然崇拝の一部であり、表現方法の違いとして各部族の個性が現れています。

ここでは、ナバホ・ホピ・ズニを中心に、サンバーストの部族ごとの表現の違いを見ていきます。

ナバホ族のサンバースト表現

ナバホ族のサンバーストは、最も「サンバーストらしい」表現として知られています。
スタンプワークやカットワークによって、中心から外へ向かって放射線を刻むデザインは、視覚的にも非常に分かりやすく、力強い印象を与えます。

 

ナバホにとって太陽は、生命力、癒し、再生、前へ進む力を象徴する存在です。サンバーストは、その太陽のエネルギーを構造そのものとして身につけるためのモチーフとして発展してきました。

 

 

重要なのは、ナバホのサンバーストが「模様」ではなく、意味を持った構成として成立している点です。


放射線の本数や角度、彫りの深さによって光の反射が変わり、実際に太陽光を受けて輝くことで、太陽の力を体感させるデザインになっています。

ナバホ族のサンバーストペンダント

ナバホ族のサンバーストを形づくる技法

― スタンプワークとチゼルワークの違い ―

 

ナバホ族のサンバーストは、「太陽光線モチーフ」という同じテーマでありながら、どの技法で表現されるかによって印象が大きく変わる点が特徴です。
とくに代表的なのが、スタンプワークとチゼルワーク。この二つは、サンバーストを「模様として見せるか」「光として感じさせるか」という、まったく異なるアプローチを取ります。

ここでは意味の解説よりも、見え方・作り方・似合うテイストという観点から、その違いを整理します。

スタンプワークのサンバースト

インディアンジュエリー一日体験コース

スタンプワーク(Stamp Work)は、ナバホ族を中心に発展したインディアンジュエリーの伝統技法のひとつで、金属の表面にタガネを用いて模様を打ち込み、装飾を施す方法です。

 

ジュエリー全体の印象を決定づける、非常に繊細で芸術性の高い技術として知られています。

 

この技法は19世紀後半から広まり、当初は身近な道具を自作したタガネで模様を打っていたため、同じ図案でも作り手によって微妙に表情が異なるという個性が生まれました。

熟練の職人によるスタンプワークは、一打一打が的確に配置され、美しいリズムや連続性を持った装飾が生み出されます。

サンバーストの場合、中心から外側へ向かって連続的に刻印を打ち、線や点を放射状に並べることで、太陽の光を表現します。

 

仕上がりは比較的フラットで、光そのものというよりも、「線や模様の連なり」で放射感を伝えるデザインになります。細かなスタンプが規則的に配置されることで、整った幾何学的なサンバーストになりやすいのも特徴です。

 

 

雰囲気としては、端正でクラシカル。
ターコイズなどのセンターストーンを囲むようにサンバーストを入れると、石を引き立てる額縁のような役割を果たし、全体を上品にまとめてくれます。きれいめな装いにも合わせやすく、ナバホジュエリーの王道とも言える表現です。

ナバホ族のスタンプワークサンバーストリング

ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスン1からオリジナルのタガネ(スタンプ)を作成し、バングルやリングなどを作成します。

チゼルワークのサンバースト

チゼルワークのサンバースト

ナバホで言うチゼルワークは、本来はスタンプワークの一種ですが、実際にはノミ状の工具で縁やラインを彫り込み、立体的なエッジを作る技法を指して使われることが多くなっています。

 

 

リングやバングルの側面、縁部分に斜めの刻みやギザギザの切り込みを入れることで、光を拾い、影を落とす。
この陰影のコントラストによって、太陽光線のような立体的な輝きを生み出します。

見た目の特徴は、エッジの立ち上がりの強さ。
フラットな中央面と、刻みの入った縁との対比によって、模様がなくてもサンバースト的な力強さを感じさせます。

 

 

雰囲気は、武骨でハンドメイド感が強く、どこかアンティークな佇まい。
光の当たり方によって表情が大きく変わるため、無地のシルバーであっても、十分な存在感を放ちます。デニムやレザーなど、ラフで男前なスタイルとの相性も抜群です。

Lesson4 サンバースト

ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスンでチゼルワークでのサンバーストジュエリーの制作を学べます

ホピ族のサンバースト表現

ホピ族のジュエリーでは、ナバホのように明確な放射構造のサンバーストはあまり見られません。
その代わりに用いられるのが、オーバーレイ技法による象徴的な太陽表現です。

オーバーレイとは、銀板を二重に重ね、上の板をくり抜いて下の板を見せる技法です。ホピ族はこの技法を用いて、太陽、雷雲、カチナなどのシンボルを、線と面の組み合わせで表現します。

ホピの太陽モチーフは、放射線を直接描かず、円や幾何学模様によって太陽の存在を示すことが多く、抽象的で精神性の高い表現が特徴です。
マットなシルバーといぶしのコントラストは落ち着いた印象を与え、ナバホの力強さとは対照的な、静けさや秩序を感じさせます。

 

ホピにおける太陽は、単なるエネルギー源ではなく、宇宙の秩序や季節の循環、祈りと深く結びついた存在です。そのため、ホピのサンバースト的表現は、「形」よりも「意味」を優先した象徴表現と言えるでしょう。

ホピ族で使われる技法

オーバーレイ技法

ホピ族のオーバーレイ

ホピ族のジュエリーを象徴するオーバーレイ技法は、1930年代頃にポール・スフキー(Paul Saufkie)らによって体系化されたとされる、高度な手仕事の技法です。


銀板を重ね、モチーフを浮かび上がらせるこの表現は、装飾性を前面に出すものではなく、ホピ族が受け継いできた思想や象徴を、構造として示すための技法として発展してきました。

オーバーレイで表現されるモチーフには、太陽、カチナ、雷雲など、ホピ族の世界観と深く結びついた伝統的なシンボルが多く見られます。これらはいずれも、自然の循環や祈り、宇宙の秩序を象徴する存在であり、ホピジュエリーの精神性を形づくる重要な要素です。

 

 

制作工程はすべて手作業で行われます。
まず2枚の銀板を用意し、上板に描いたデザインを細い刃の糸鋸で丁寧に切り抜いていきます。

次に、下板をいぶして黒く酸化させ、切り抜いた上板を銀ロウで高温溶接して重ね合わせます。

黒く沈んだ下地と明るい銀色の上板とのコントラストによって、モチーフがくっきりと浮かび上がります。

 

作家によっては、3枚、5枚と銀板を重ねる多層構造を用い、より強い立体感や奥行きを生み出すこともあります。

 

いずれの場合も、切り抜きの精度、酸化の加減、ロウ付け(溶接)の温度管理といった工程すべてに高い熟練が求められ、忍耐と集中力を要する技法であることに変わりはありません。

ホピ族のオーバーレイ作業風景

オーバーレイ技法自体はホピ族以外の作家にも用いられることがありますが、グラフィカルでマットな質感、象徴性を重視した静かな表現は、ホピ族の作品に特有のものです。

 

派手な装飾や過度な輝きを避け、意味と構造を優先する姿勢に、ホピ族ならではの美意識が表れています。

 

ホピ族のオーバーレイは、単なる銀細工の技法ではありません。
それは、祈りや思想、自然との関係性を、線と面の重なりとして可視化するための表現手段です。


同じ太陽モチーフであっても、力強く放射するナバホのサンバーストとは異なり、内省的で象徴的な太陽表現として、今も静かに受け継がれています。

ホピ族のオーバーレイ技法

ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスン7でホピ族のインレイ技法を習得できます。

ズニ族の太陽表現

ズニ族は、ターコイズやコーラル、シェル、ジェットなどを細かくカットしてはめ込むインレイ(象嵌)技法を得意とする部族です。


ナバホ族のように、スタンプワークで放射線を刻む典型的なサンバースト表現は多くありませんが、太陽そのものをテーマにしたジュエリーは、ズニ族の中でも重要なモチーフとして受け継がれてきました。

ズニ族のサンフェイス

ズニの太陽モチーフで代表的なのが、「サンフェイス(太陽の顔)」と呼ばれるデザインです。

丸い太陽の顔を中心に据え、その周囲へ放射状に色石を配置する構成は、見た目としてはサンバーストに非常に近く、放射する光を色彩によって表現した太陽モチーフと言えます。


この表現は、ナバホ族のように彫りや線で光を強調するものではありません。
ズニ族の太陽表現は、色の配置やリズム、グラデーションによって、太陽の恵みがやわらかく広がっていく様子を感じさせます。そのため、力強さよりも調和や親しみやすさが前面に出るのが特徴です。


カラフルで装飾性が高く、リングやバングル、ペンダント、ピアスなど幅広いアイテムに用いられ、日常の装いの中でも太陽モチーフを楽しめる点も、ズニ族のジュエリーならではの魅力と言えるでしょう。

ズニ族で使われる技法

インレイ技法

こうしたズニ族独自の太陽表現を支えているのが、インレイ(象嵌)技法です。
インレイとは、天然石を一つひとつ手作業でカット・研磨し、銀の土台に正確にはめ込んでいく高度な技法で、ズニ族のジュエリー文化を象徴する存在です。

使用される石は、ターコイズ、コーラル、シェル、ジェット、オパールなど多彩で、石の色味や質感そのものがデザインの要素となります。石の選別から成形、はめ込み、研磨に至るまで、すべてが繊細な手仕事によって行われ、わずかなズレも許されません。


ズニのインレイには、銀の溝や線で区切った枠に石を並べるチャンネルインレイ、砕いた石を敷き詰めるチップインレイ、そして小さな石片を組み合わせて絵を描くように構成するモザイクインレイなど、いくつかの表現方法があります。いずれも、色彩の配置によって意味や世界観を伝える点に共通性があります。


サンフェイスに代表されるズニ族の太陽モチーフは、このインレイ技法によってこそ成立する表現です。
線で光を描くのではなく、色そのものを光として扱う――それがズニ族のサンバースト的表現の本質と言えるでしょう。


ズニ族のインレイは、太陽や自然の恵みを、親しみやすく、身につけやすいかたちに変換する技法です。
同じ太陽モチーフであっても、ズニのジュエリーが放つ印象はどこか温かく、祝福に満ちています。その柔らかな光こそが、ズニ族の太陽表現の魅力なのです。

ズニ族のインレイインディアンジュエリー

ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスン11でズニ族のインレイ技法を習得できます。

ナバホ族のスタンプワークを体験してみよう!

インディアンジュエリー一日体験

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体験では『ナバホ族』が得意とするスタンプワークという技法を使いオリジナルのバングル制作を体験していただけます。

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現代ジュエリーに息づくサンバースト

現代ジュエリーに息づく
サンバースト

サンバーストは本来、太陽の力や癒し、守護を象徴するモチーフとして、インディアンジュエリーの中で育まれてきました。
ナバホ族の構造的な放射表現、ホピ族の象徴的なオーバーレイ、ズニ族の色彩による太陽表現――それぞれの文化の中で、サンバーストは異なるかたちを取りながら受け継がれてきました。

 

現代において、このサンバーストは大きく役割を広げています。
現在もネイティブアメリカンの作家たちは、伝統技法を基盤にしながら、彫りの強弱や余白、フォルムの簡略化などを通して、現代的な感覚を取り入れたサンバーストジュエリーを制作しています。そこには、太陽への敬意や自然観を残しつつも、日常に馴染む洗練された表現が見られます。

 

一方で、サンバーストはネイティブ文化の枠を超え、世界的なファッションモチーフとしても定着しました。
ヨーロッパや日本のジュエリーブランドでは、「Sunburst」「Sunray」といった名称で、放射状のデザインを取り入れたネックレスやピアスが展開され、ゴールドやダイヤモンドを用いたラグジュアリーな表現も増えています。

さらに、高級時計の文字盤にもサンバースト仕上げが用いられ、中心から外へ広がる繊細な放射加工によって、光の角度で表情が変わるデザインが楽しまれています。ここでは宗教的意味よりも、前向きさやエネルギー、明るさといった感覚的な価値が重視されています。

現代のサンバーストネックレス

 

また、現代のサンバーストデザインに共通するのが、ミニマル化と抽象化です。
すべての光線を描くのではなく、エッジやテクスチャー、わずかなラインによって放射感を表現する手法が主流となり、サンバーストは「意味を語るモチーフ」から「感性に委ねるデザイン」へと変化しています。

こうした流れの中で、現代のサンバーストが象徴するのは、必ずしも太陽信仰そのものではありません。
それは、自分を照らす光、新しい始まり、内側にあるエネルギーといった、個人の感覚に寄り添う象徴へとシフトしています。

 

伝統を理解したうえで選ぶサンバーストも、直感的に惹かれて身につけるサンバーストも、どちらも現代的な在り方です。
サンバーストは今もなお、時代とともに形を変えながら、身につける人それぞれの「光」を映すモチーフとして、ジュエリーの中で生き続けています。

日本での注目度とサンバーストジュエリーを手に入れるには?

日本での注目度と
サンバーストジュエリーを手に入れるには?

サンバーストジュエリーは近年、日本でもじわじわと注目を集めています。

ネイティブアメリカン文化に関心のある人々やコレクターをはじめ、自然観やスピリチュアルな世界観を大切にする層を中心に、
「太陽の力を感じられる、お守りのように身につけたいジュエリー」として人気が高まっています。

 

日本では、サンバーストモチーフのインディアンジュエリーをセレクトショップやヴィンテージ専門店などで購入することができます。
ナバホ族のスタンプワークやチゼルワークによるサンバーストは、存在感がありながらも日常に取り入れやすく、初めてインディアンジュエリーを選ぶ方にも支持されています。

 

また、個人でブランド活動を行っている作家さんから直接購入したり、オーダーで制作してもらうのも一つの選択肢です。
作家ごとの解釈や技法の違いによって、同じサンバーストでも表情が大きく異なるのは、このモチーフならではの魅力と言えるでしょう。

サンバーストのジュエリーを自分で作る

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“理想のサンバーストジュエリー”を形にしてみたいという方には、
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初心者の方でも、道具の使い方や基本的な彫金技法から丁寧に学ぶことができ、自分だけのオリジナルサンバーストジュエリーを制作することができます。

 

 

ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースでは、レッスンで、チゼルワークでのサンバーストジュエリーの制作を学べます。

チゼルワークと呼ばれるシンプルな直線のタガネで線や溝などを刻み込んでいくナバホ族の伝統的な技法を学んでいきます。


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太陽の力と守護を身につけるサンバーストジュエリー

太陽の力と守護を身につける
サンバーストジュエリー

サンバーストリング

サンバーストとは?まとめ

サンバーストとは

中心から放射状に広がる光を表現した、太陽モチーフの象徴的なデザインです。 インディアンジュエリーの中でもよく知られ、特にナバホ族のシルバージュエリーでは、 太陽の力・癒し・守護を示す意匠として大切に受け継がれてきました。

サンバーストは、太陽そのものを写実的に描くというより、太陽が放つエネルギーや恵みが世界へ広がっていく様子を、 放射状の構成で表したモチーフです。中心から伸びる光は、「生命力」「再生」「前へ進む力」を象徴し、 身に着ける人をそっと支える「祈りを形にしたお守り」のような存在として、今も多くの人に親しまれています。

サンバーストは、見た目の美しさだけで語られるモチーフではありません。
その放射状のデザインには、自然と共に生きてきたネイティブアメリカンの世界観や、太陽への敬意、祈りの感覚が込められています。
だからこそサンバーストは、単なる装飾を超え、身につける人の心や時間に寄り添うジュエリーとして、今も選ばれ続けているのです。

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インディアンジュエリーを深く学びたいあなたへ

インディアンジュエリーには、単なる装飾では語りきれない“物語”があります。

アメリカ南西部のネイティブアメリカンたちが代々受け継いできた技術と祈り。その一つひとつのジュエリーには、自然に対する感謝や、大切な人々への想い、そして自分自身の生き方への願いが込められています。

 

ココペリ、フェザー(羽根)、サンバースト(太陽)、コーンメイデン(とうもろこしの乙女)など…。

これらのモチーフには、それぞれに意味があり、長い歴史とともに語り継がれてきました。

 

 

インディアンジュエリーに見られるモチーフたちには、彼らの自然に対する感謝や尊敬、願い。家族や仲間たちを思う優しい心。強く生きるための教えが詰め込まれています。

 

これらのモチーフを知ることで、インディアンジュエリーがただの「民族的な装飾品」ではなく、”祈りやメッセージを込めたアートである”ことに気づくはずです。

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