
宝石デザイナーへの憧れを実現するには?理想を叶える近道=「ジュエリーCAD」の世界へご案内します!

ジュエリーといえば宝石!!
街を歩けば、ショーウィンドウに飾られた宝石の輝きが、ふと目に飛び込んでくることがあります。その一つひとつの美しさに、思わず足を止めて見入ってしまう。
「キラキラしたものって、なんだか心惹かれる。」
もしあなたがそう感じるなら、その美しい宝石たちをさらに魅力的なジュエリーへと仕立てる「宝石デザイナー」そして「ジュエリーデザイナー」という仕事に憧れを抱くのも自然なことではないでしょうか。
宝石のジュエリー、どうやって作るの?
憧れの宝石デザイナーが、どのようにしてあの美しいジュエリーを生み出しているのか気になりませんか?
宝石を支える緻密な構造、身につけた時の心地よさ、個性を引き出すデザイン。 それは、熟練の職人の手作業によるものだけではありません。
実は近年、多くの宝石デザイナーたちが、最先端のテクノロジーを駆使して、その創造性をさらに広げているのです。
宝石を支える緻密な構造、身につけた時の心地よさ、個性を引き出すデザイン。 それは、熟練の職人の手作業によるものだけではありません。
実は近年、多くの宝石デザイナーたちが、最先端のテクノロジーを駆使して、その創造性をさらに広げているのです。

そのテクノロジーこそが、「ジュエリーCAD(キャド)」と呼ばれるコンピューター設計システム。
「え、?!ジュエリーをコンピューターで作るの?」
驚いた方もいるかもしれません!
街で見たあの輝きの裏側には、気の遠くなるような手作業の積み重ねがあったことは間違いなく、磨いたり石を留めたりすることは「人の手で」行うことになることには変わりはないのですが・・・


ジュエリーCADを使いこなすことで、宝石デザイナーは、これまで以上に自由な発想を形にし、より効率的に、そしてより精密に、理想のジュエリーを生み出すことができるようになるのです。

前置きが長くなりましたが、今回の記事では、ジュエリーメイキングを教え、ブランド立ち上げをサポートするラヴァーグジュエリースクールの講師が、「宝石デザイナー」として活躍するためにジュエリーCADがどのように役立つかをご紹介していきます。
ハワイアンジュエリーブランド PUA ALLY(プアアリ)とジュエリーCAD

クオリティの高いブランドであるために
私たちラヴァーグジュエリースクールの講師も運営に参加するハワイアンジュエリーブランド「プアアリ」は、おかげさまで今年20周年を迎えることができました。
お客様の想いに寄り添い、ハワイの自然や文化を呼び起こすデザインを追求してきた私たち。
長く愛されるブランドとして成長できた背景には、深くて輝きが強い手彫りの技術はもちろんのこと、ジュエリーCADを積極的に商品開発に取り入れ、常にクオリティの高いジュエリーを提供してきたことにあると自負しています。

お客様にとっての「一生モノ」になり得るブライダルジュエリーをお求めいただく機会も多く、特に”宝石を使ったエンゲージリング“の開発では、CADの有用性が大いに発揮されています。
1点1点、手作りのイメージが強いハワインジュエリーですが、私たちが実際にCADをどのように活用して、商品開発を行っているのかをご紹介します。
試作〜商品化までのプロセス
イメージとして、実際に商品化されたPUA ALLYのエンゲージリングの画像でイメージを膨らませながら見ていきましょう。
まず、宝石の大きさを考慮しながら配置やバランスを調整し、「レンダリング」(※)で完成イメージを確認します。

(※上の画像のように、3Dモデルのデータを、光や影、質感などを当てはめてリアルな画像に変換したもの。宝石を留めている様子も再現できます。)

(↑データ一つで様々な見え方に変換できる)
このようにCADの画面では、できあがりのイメージを確認できるメリットもさることながら、二次元のスケッチ、ジュエリーデザイン画の基本である「三面図」と異なり360度様々な角度からデザインを確認できるため、辻褄が合わない部分や意図しないラインなどを実際の金属にする前に見つけることができます。
では、完成までをSTEPごとに見ていきましょう。
STEP 1. CADデータ上の確認プロセス
まず第一歩目、CADでデザイナーの指示やイメージに沿ったデータを作成します。


STEP 2. 試作品の造形
レンダリングでデザインを検証した後、試作品の造形に入ります。造形機(3Dプリンター)にデータを読み込ませ、樹脂などの素材で「立体物」を作成します。

造形物を確認したら、さらに調整が必要な部分を洗い出し STEP3 修正~のプロセスへ・・・
このリングの試作では、デザインに軽やかさを出す為に「腕の幅を細くする」変更がありました。
STEP 3. 修正 ⇔ 試作のプロセス

※ロストワックス技法は、ワックスや樹脂の原型を石膏で固めた後、熱で原型を溶かして石膏の中から排出して中に空洞を作り、そこに溶かした金属を流し込み鋳造する技法です。
ブラッシュアップを経て完成
シルバーで鋳造したら、磨き→石留→完成まで行います。 この時に加工上の問題点があれば、データに変更を加え、STEP3を反復し、最終形を決定。
このリングでは、石枠を改善しました。

量産する場合は、最終データを数%大きくして造形。
シルバーに鋳造したものを磨き、量産用の型をとります。
プアアリでは、オーダーが入ったらこの型を使用してプラチナやゴールドの高額地金に鋳造していきます。
プアアリでは、オーダーが入ったらこの型を使用してプラチナやゴールドの高額地金に鋳造していきます。
手作業での試作との比較
では、もしこの工程が手作業で行われていたとしたらどうでしょうか?

熟練した職人が、宝石を留めるための土台となる枠を金属やワックス素材から一つひとつ製作します。
宝石を支える爪も繊細な手作業で取り付け、それらを指輪のアームと組み合わせることで、ようやく一つのジュエリーの形が見えてきます。
何年も経験を積んだ熟練の職人であれば、左右対称で美しいジュエリーを作り上げることも不可能ではありません。
何年も経験を積んだ熟練の職人であれば、左右対称で美しいジュエリーを作り上げることも不可能ではありません。
では、手作業で完成した試作品に、例えば宝石を留める爪の太さや宝石の大きさを変更する必要が生じたとしたら?
2つのアプローチを改めて比較してみましょう。
2つのアプローチを改めて比較してみましょう。
【手作業】

手作業の場合、それはほぼ「一からのやり直し」を意味します。
新しく素材を用意し、土台の枠から作り直し、爪の位置や形状もすべて修正しなければなりません。
これには膨大な時間と手間がかかるだけでなく、材料のロスも避けられませんよね。
新しく素材を用意し、土台の枠から作り直し、爪の位置や形状もすべて修正しなければなりません。
これには膨大な時間と手間がかかるだけでなく、材料のロスも避けられませんよね。
【CAD】

CADであればデータの寸法を数ミリ単位で変更したり、宝石の大きさを入れ替えたりすることも簡単にできます。
金属に置き換える前にデータを修正することで、材料や工賃の無駄をカット。
さらに、CADでは寸法やシルエットを微妙に変えた複数のデザイン案を並行して検討することも難しくありません。
金属に置き換える前にデータを修正することで、材料や工賃の無駄をカット。
さらに、CADでは寸法やシルエットを微妙に変えた複数のデザイン案を並行して検討することも難しくありません。
CADによる商品開発のメリットまとめ
【CADのメリット】
・手戻りの少なさ
・デザインのアレンジのしやすさ
・複数のデザイン案を効率的に検討可能
・手戻りの少なさ
・デザインのアレンジのしやすさ
・複数のデザイン案を効率的に検討可能

このように、CADは、宝石デザイナーが Trial & Error を繰り返しながら、理想のジュエリーを追求するための強力なツールとなります。
ブランド運営や商品開発の現場では、美しいデザインを生み出すだけでなく、効率性や実現可能性も重要な要素です。美しい宝石のデザインはもとより、それをいかに効率的に、そして高品質に製品化していくか。『CAD』は、その両立を可能にするツールと言えます。
宝石デザイナーがCADをどう活用できるか
エンゲージリングを例に挙げましたが、もちろん他の宝石ジュエリーデザイン、特に宝石を多用したモデルの商品開発にもCADは大いに役立ちます。例えば、複数の宝石を組み合わせたネックレスや、複雑な石留めの構造を持つピアスなど、手作業では非常に困難なデザインも、CADを用いることで正確に、そして効率的に実現できます。

新しいコレクションのデザイン
トレンドや市場のニーズに合わせて、様々な宝石の形状、サイズ、配置をCAD上でシミュレーション。
複数のデザイン案を迅速に作成し、比較検討することで、より魅力的なデザインを選択することができる。
手描きでは難しい複雑な構造や、細部の装飾も正確に表現が可能。

既存商品の改良
CADデータをもとに、過去のデザインを簡単に修正・改良。
宝石の種類や留め方を変更したり、サイズ調整を行ったりするのも容易。
顧客からのフィードバックや売れ筋データを参考に、より魅力的な商品へとブラッシュアップできる。

顧客からのカスタムオーダーへの対応
お客様の要望をCAD上で忠実に再現し、具体的なイメージを共有しながらデザインを詰めることができる。
宝石の選定、配置、留め方など、細部に至るまでお客様のこだわりを反映させることが可能。
完成品のイメージを事前に確認できるため、お客様の満足度向上にも繋がる。
効率的なブランド運営をしつつ、デザイナーのイマジネーションやセンスを最大限に活かせることが、想像できたでしょうか。
実は宝石を扱うハイブランドの多くも、CADを駆使してジュエリーを製作しています。
CADという強力なツールを使いこなすことは、現代の宝石デザイナーにとっても大きな武器となります。
宝石デザイナーの第一歩を踏み出す
私たちラヴァーグジュエリースクールは、恵比寿でジュエリーCADを教え始めて20年になります。
ブランド運営の経験を活かし、基礎から現場で求められる実践的な知識までを常にブラッシュアップしながら指導しています。
特に、データ作成だけで終わらない「CAD総合コース」では、実際に金属(シルバーやゴールド、プラチナ)になってからの磨き、石留めなどの仕上げにトライできることは、データ作成のフィードバックを重ね、デザイナーとして独り立ちできる応用力を身につけることができます。
ブランド運営の経験を活かし、基礎から現場で求められる実践的な知識までを常にブラッシュアップしながら指導しています。
特に、データ作成だけで終わらない「CAD総合コース」では、実際に金属(シルバーやゴールド、プラチナ)になってからの磨き、石留めなどの仕上げにトライできることは、データ作成のフィードバックを重ね、デザイナーとして独り立ちできる応用力を身につけることができます。

現場経験豊富な講師陣による指導、商品開発の視点を取り入れたカリキュラム構成、そしてアントレプレナーコース(ブランド立ち上げコース)との組み合わせにより、効率的に宝石ジュエリーブランドを立ち上げることができる環境がここにあります。
このコンテンツを通して、個人ブランドがCADを味方につけることで、大企業にはない柔軟性やスピード感を発揮し、独自の道を切り拓く可能性があることが、お分かりいただけたかと思います。実際にジュエリーCADを学んだラヴァーグ生徒は、ブランドを最短で立ち上げられている方たちが多いです。
固定観念にとらわれず、自由な発想で新しい価値を生み出すことができるのが、個人ブランドの強みです。CADというツールを使いこなすことで、その可能性はさらに大きく広がることを、私たちスクール講師も「宝石デザイナー」や「ジュエリーブランド立ち上げ」を目指す方へ伝えていきたい。
テクノロジーと美的センスの融合から生まれるジュエリーの可能性にこれからも期待しています。