インディアンジュエリーの世界で、古くから人々に敬われ、深い精神性を宿すモチーフのひとつが「メディスンホイール(Medicine Wheel)」です。
メディスンホイールとは、北米先住民の神話や信仰に登場する「生命の輪」「癒しと調和の象徴」であり、宇宙・自然・人間がひとつにつながるという思想を表しています。円形のデザインは、生命の循環や四方位(東西南北)、四季、人生の四段階(誕生・成長・成熟・再生)などを象徴し、バランスと調和をもたらすスピリチュアルな力があると信じられてきました。
その造形は、部族ごとに異なる意味と物語を持ち、ナバホ族、ズニ族、ホピ族などが独自の美意識で表現しています。銀細工、インレイ、スタンプワークなどの技法によって作られるメディスンホイールのジュエリーは、単なる装飾品ではなく、「心と身体のバランス」「自然との調和」「先祖とのつながり」を感じるためのお守りのような存在です。
この記事では、メディスンホイールの起源や精神的な意味をはじめ、部族ごとの解釈の違い、現代インディアンジュエリーにおけるデザインの進化、そして日本での人気や購入方法までを詳しく解説します。
古代から受け継がれてきたメディスンホイールの哲学と美しさを通して、インディアンジュエリーが語る「自然と魂の調和」の世界に触れてみてください。
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メディスンホイールとは?神話と起源
メディスンホイールとは?
精霊の姿と起源
インディアンジュエリーのモチーフとしても非常に人気が高く、円形のデザインの中に放射状の線(スポーク)を持ち、中心から四方へ広がるその形は、宇宙・自然・人間のつながりを表しています。
古来より、自然界のリズムや生命の循環を理解し、心身の調和を取り戻すための「癒しの象徴」として、祈りや儀式に用いられてきました。
なぜメディスンホイールが「調和」や「再生」の象徴として大切にされているのかというと、ネイティブアメリカンの文化や信仰において、円は「すべてがつながり、巡り、戻ってくる」という宇宙の法則を示すからです。
輪の中には、人間と自然、過去と未来、肉体と魂といったあらゆる存在が調和しており、そのバランスを保つことこそが幸福や癒しにつながると考えられています。
こうした背景から、インディアンジュエリーに描かれるメディスンホイールは「生命の循環」「自然との調和」「心の安定」「癒し」「守護」といった願いを込める象徴として愛されています。
メディスンホイールのモチーフは、単なる装飾にとどまらず、身につける人の内面を整え、魂と自然の調和を導くスピリチュアルな存在として受け継がれてきました。
ですので、メディスンホイールがどんな意味を持ち、どんな世界観に基づいているのかを知ることで、ジュエリーとしての魅力や奥に息づく精神性を、より深く感じることができるでしょう。
メディスンホイールにまつわる歴史と神話
太古から続く「生命の輪」の歴史
円形に石を並べ、中心から放射状に伸びる線(スポーク)を持つその構造は、太陽の動きや星の位置と密接に関係しており、天体観測所や儀式の場として使われていたと考えられています。
有名な例が、アメリカ・ワイオミング州の「ビッグホーン・メディスンホイール」。
直径約24メートルの巨大な円に28本のスポークが放射し、夏至の日の出や特定の星の位置と正確に重なるよう配置されています。
これは古代の人々が自然と宇宙のリズムを深く理解し、「天と地をつなぐ場所」としてこの円を築いたことを物語っています。
こうした石造りのメディスンホイールは、カナダのアルバータ州などでも数多く発見されており、その歴史はおよそ5,000年前まで遡るとも言われています。
祈りの場であり、季節の移ろいや生命の循環を祝う聖地でもあったのです。
▲ワイオミング州のビッグホーン メディスン ホイール
神話に息づく「癒しと調和」の象徴
円は「命の循環」「すべてのつながり」「調和」を表し、中心は「創造の源」「自己の核」、そして放射線(スポーク)は「方向性」「成長」「変化」を示します。
先住民の神話では、この輪は自然と人間、そして宇宙をつなぐ“聖なる地図”とされています。
四方位(東・南・西・北)はそれぞれに色や季節、動物、人生の段階が対応しており、東は春と誕生、南は夏と成長、西は秋と熟成、北は冬と知恵や再生を象徴します。
また、「Burnt Face(焼けた顔の男)」という有名な伝承では、顔に傷を負った若者が山へこもり、孤独の祈りと癒しの中で再生を果たした後、メディスンホイールを築いたと語られます。
これは、人間が苦しみを乗り越え、自然との調和の中で新たに生まれ変わる物語でもあります。
現代に息づくスピリチュアルな輪
銀細工やターコイズ、インレイ技法などを用いて表現されたメディスンホイールのジュエリーは、身につける人に「心の安定」や「自然との一体感」をもたらすお守りのような存在です。
その円形は、過去・現在・未来、そして人と自然、命と宇宙をつなぐ“永遠の絆”を象徴しています。
何千年もの時を越えて受け継がれるメディスンホイールの哲学は、今もなお、私たちに「調和して生きることの大切さ」を静かに語りかけているのです。
インディアンジュエリーにおけるメディスンホイールの意味
インディアンジュエリーにおけるメディスンホイールの意味
メディスンホイールは、東・南・西・北の四方位を中心に構成され、 それぞれが季節・色・要素・人生の段階を表しています。 東=春と誕生、南=夏と成長、西=秋と熟成、北=冬と知恵・再生。 これらの方向が調和することで、自然と人間、心と身体のバランスが保たれると考えられています。
円の形は「始まりも終わりもない永遠の流れ」を意味します。 すべての生命は輪の中でつながり、誕生・成長・老い・死・再生というサイクルを繰り返すとされています。 この輪は、人間が自然の一部として生き、宇宙のリズムと共に存在することを象徴しています。
「Medicine(メディスン)」という言葉には、西洋的な薬という意味だけでなく、 精神・身体・魂を癒す「神聖な力」という概念が込められています。 メディスンホイールは、心の不調和を整え、自己を癒し再生するための象徴として用いられてきました。
ホイールの中心は「自己」や「創造の源」を表し、そこから四方へ放射する線は世界とのつながりを意味します。 すべての方向と要素が均等に配置されることで、宇宙の秩序と調和が生まれると信じられてきました。 そのため、メディスンホイールは「すべての存在が等しく尊い」という全体的な世界観の象徴でもあります。
メディスンホイールは、人生の旅路を示すスピリチュアルな地図としても使われてきました。 輪を時計回りに進むことは、経験を積み、知恵を得て、魂を高める成長のプロセスを意味します。 自然の法則に沿って歩むことで、人は自らの内なる「調和」と「覚醒」に近づくとされています。
部族ごとのメディスンホイールの表現と技法の違い
部族ごとのメディスンホイール表現と
技法の違い
ここでは代表的なホピ族、ズニ族、ナバホ族のメディスンホイール表現と、それぞれの技法について詳しく解説します。
ホピ族のメディスンホイール表現
彼らのジュエリーに息づくメディスンホイールは、単なる幾何学模様ではなく、宇宙と生命の調和を表す神聖な形です。
この神聖なシンボルは、輪の中心から放射状に広がる線によって、四方位や季節、そして生命の循環を表現しています。
それは、太陽の光が地上へ降り注ぎ、万物に命を与えるというホピ族の世界観そのものを象徴しているのです。
二枚の銀板を重ね、上の板を切り抜き、下の板を黒く燻すことで、文様をくっきりと浮かび上がらせるこの技法は、光と影のコントラストが魅力です。
ディスンホイールの円環や放射線もこの技法で描かれ、その陰影の美しさが神聖な静けさを生み出します。
モチーフとしては、四方位や調和を表す円に加え、イーグルフェザー(羽根)、水や稲妻などの自然のモチーフが組み合わされることも多く、一つひとつの線や模様に、民族としての祈りや精神的メッセージが込められています。
ホピ族にとって、メディスンホイールは装飾を超えた祈りの形です。
銀の中に宿る光と影、その線の奥には、自然の循環の中にある命の尊さを語り、何世代にもわたり受け継がれてきた調和の心が息づいています。
ホピ族で使われる技法
オーバーレイ技法
二枚の銀板を重ねて模様を表現するこの技法は、繊細さと立体感を兼ね備え、ホピ族が大切にしてきた「調和」「循環」「祈り」という哲学をジュエリーの中に宿らせます。
制作の工程は、まず上に重ねる銀板に円や放射線、十字などのモチーフを丁寧に切り抜くことから始まります。
これらは太陽の光や四方位、命の輪を象徴しており、デザインの一つひとつに意味が込められています。 切り抜かれた上板と、下板をぴったりと重ね合わせ、熱で溶接してひとつの板にします。
その後、下になる銀板に硫化処理(燻し)を施し、深みのある黒を出すことで陰影をつけ、 最後に表面を滑らかに研磨して光沢を与えることで、銀の輝きと黒い背景が美しいコントラストを生み出します。
オーバーレイ技法で描かれたメディスンホイールは、光と影が交錯する中に「命の循環」や「宇宙の秩序」を映し出します。
円の中に刻まれた放射線は、太陽の力や自然界の息吹を象徴し、 見る角度によって異なる表情を見せるその陰影は、まるで生きているかのように静かに語りかけてきます。
この技法を通じて表現されるメディスンホイールは、単なる装飾ではなく、 ホピ族にとっての「祈りの形」「自然との約束」「精神の輪」そのものです。
手作業でしか生み出せない微妙な曲線や彫りの深さが、職人の息づかいと信仰を伝え、 機械では決して再現できない温もりを感じさせます。
オーバーレイによるメディスンホイールは、見る者に静かな感動と深い安らぎをもたらします。
それはホピ族の人々が何世代にもわたって守り続けてきた、「銀に宿る祈りの芸術」。
光と影の間に息づくその輪は、時を越えて今も、生命の調和と美の象徴として輝き続けています。
ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスン7でホピ族のインレイ技法を習得できます。
ズニ族のメディスンホイール表現
彼らは自然界に宿るすべての色を、命の息吹や精霊の力としてとらえ、その想いをジュエリーの中に閉じ込めてきました。ズニ族のメディスンホイールは、まさに色彩と光の調和の中に生きています。
ズニ族は「インレイ(象嵌細工)」の技法を用い、ターコイズやカラーストーンを銀の台座に正確に嵌め込み、カラフルなメディスンホイールを表現します。
特に、四方位を表す赤・黄・黒・白といった色石で輪を構成するのが特徴です。
この細密な色分けと模様には、精霊の力を呼び込み、身につける者を守るという意味合いが込められています。
ズニの人々は、輪の中心に「生命と調和の力」を宿すと信じており、その円環は世界の秩序とつながりを象徴しています。
彼らが生み出すメディスンホイールは、色石の繊細な輝きによって四方位や季節、命の循環を描き出します。
小さな石をひとつずつ組み合わせる作業は、祈りの儀式にも似た静かな集中の時間であり、石の配置と光の反射がつくり出すリズムの中に、ズニ族の美意識と精神文化が息づいています。
ズニ族にとって、メディスンホイールは自然と精霊、そして人とのつながりを表す神聖な象徴です。
それは色と光で紡がれた祈りの輪であり、身につける者に調和と守護のエネルギーを授ける存在でもあります。
静かに輝くそのジュエリーの中には、ズニの人々が何世代にもわたって守り続けてきた「美と信仰のかたち」が確かに息づいているのです。
ズニ族で使われる技法
インレイ技法
色と形を組み合わせることで豊かなデザイン性を生み出すこの技法は、ズニ族が大切にしてきた「自然の調和」や「生命の循環」を表すモチーフ――メディスンホイールを表現するのに理想的な手段です。
制作はまず、銀などの台座に合わせて、ターコイズやコーラル、ジェット、マザーオブパールなどの素材を、髪の毛ほどの誤差も許されない精度でカットすることから始まります。
それぞれの石がまるでモザイク画のようにぴったりと嵌め込まれ、職人の手によってひとつずつ丁寧に磨かれていきます。
その過程はまさに祈りのような集中の作業であり、石の配置や色の組み合わせに、ズニの人々の精神と願いが込められていきます。
インレイ技法の魅力は、色彩によって世界観を自由に表現できる点にあります。
ズニ族のメディスンホイールでは、赤・黄・黒・白といった四方位を象徴する色の石を用い、中央にはターコイズを据えて「精霊の力」や「大地とのつながり」を表します。
石の輝きが作り出す輪は、生命の流れや宇宙の秩序を象徴し、まるで自然そのものが光を放っているような美しさを見せます。
インレイによって描かれたメディスンホイールは、見る者に強い印象を残します。
細密な石の配置と色の対比が織りなすデザインは、単なるジュエリーを超え、ズニ族の信仰や自然観を映し出す“祈りのアート”そのものです。
ひとつとして同じ作品はなく、手作業で生み出されるわずかな差異が、それぞれの輪に命を吹き込んでいます。
ズニ族のインレイジュエリーに宿るメディスンホイールは、色彩の調和の中に、自然・精霊・人間のつながりを描き出す美の結晶です。 その光の輪は、遥かな時を越えて今も、ズニ族が信じ続けてきた「生命の調和」の物語を静かに語りかけています。
ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースではレッスン11でズニ族のインレイ技法を習得できます。
ナバホ族のメディスンホイール表現
ナバホ族のジュエリーは、単なる装飾品ではなく、身につける人を守り導く“祈りの象徴”であり、彼らのメディスンホイールは、力強さと温もりを併せ持つ「守護の輪」として表現されます。
ナバホ族は、伝統的なシルバー細工とターコイズ(トルコ石)を組み合わせる大胆なスタイルで、四方位を示す十字や円のモチーフを力強く表現します。
デザインの特徴は、中央に大粒のターコイズを配し、その周囲を厚みのある銀の輪や放射線状の刻印で囲む構成です。
これは、まるで大地の中心から生命の光が広がるようです。
この構成は、ナバホ族が信仰の中で重んじる“四方位”と“循環”の思想を、そのまま形にしたものです。
彼らが用いるのは、スタンプワークといった伝統的な銀細工技法です。
ひとつひとつの刻印を丁寧に打ち込み、厚みのある銀に立体感を持たせることで、重厚ながらも温かみのある仕上がりになります。
ターコイズの鮮やかな青と銀の輝きが織りなすコントラストは、ナバホ族の暮らす大地と空の色そのものであり、そこには自然と共に生きる彼らの誇りが宿っています。
ナバホ族にとってメディスンホイールは、世界と自分をつなぐ聖なる象徴です。
重厚な銀と石の中に込められた祈りの力は、身につける者を包み込み、穏やかな守護のエネルギーをもたらしてくれます。
ナバホ族のメディスンホイールは、まさに「力と祈りの輪」として、今も多くの人々の心を惹きつけてやみません。
ナバホ族で使われる技法
スタンプワーク技法
銀細工の世界では最も古くから受け継がれる手法のひとつであり、 ジュエリー全体の印象を決定づける、繊細で芸術性の高い技術として知られています。
この技法は19世紀後半から広まり、当初は身近な道具を自作したタガネで模様を打っていたため、 同じ図案でも作り手によって微妙に表情が異なるという個性が生まれました。
熟練の職人によるスタンプワークは、一打一打が的確に配置され、 金属の表面に美しいリズムと連続性をもたらします。
メディスンホイールのジュエリーにおいて、スタンプワークは非常に重要な役割を果たします。 円や十字を中心に放射状の模様を打ち込むことで、四方位や太陽、風、山、星など、 自然や宇宙の象徴を織り交ぜた装飾が施されます。
スタンプワークは基本的に平面的な加工ですが、打ち込みの深さや角度、 リズムのとり方によって光と影のコントラストが生まれ、立体感と奥行きを感じさせます。
この陰影の妙によって、メディスンホイールの神聖な存在感や、 自然との一体感が銀の表面に浮かび上がるのです。
スタンプワークは、ナバホ族の感性と精神性を色濃く反映した技法です。
そこには、自然への畏敬、生命の循環への祈り、そして人と世界のつながりへの信念が刻まれています。
シンプルな中に強さと意味を宿すこの技法は、 まさに伝統と芸術が融合した「ナバホ族の心のかたち」といえるでしょう。
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現代ジュエリーに息づくメディスンホイール
現代ジュエリーに息づく
メディスンホイール
元々は儀式的な構造物として部族社会で用いられてきましたが、現代ではジュエリーという身につけられるアート作品を通して、日常的にその精神を表現する手段となっています。
このように、メディスンホイールをモチーフとした現代ジュエリーは、装飾性のみならず「スピリチュアルな意味」「文化的アイデンティティ」「生命の調和への願い」を持つ媒体として機能しているのです。
現代的な表現の変化と多様化
伝統的な銀やターコイズを用いたジュエリーに加え、ステンレススチール、ゴールドプレート、カラーストーン、レジン等の素材を用いた作品も登場し、表現の幅が広がりました。図案も過去の円形と放射線から発展し、ミニマルな線画、抽象的な形状、シンボリックな四分割カラー、あるいはツリーや羽根といったハイブリッドなモチーフとの融合など、現代の感覚にあわせた解釈がなされています。
これらの変化により、メディスンホイールモチーフのジュエリーは「伝統的な意味を宿すアート作品」から「普段使いできるコンテンポラリーアクセサリー」まで幅広く位置付けられていますが、その反面、「意味の軽薄化」や「文化的文脈の脱落」といった課題も存在します。
現代ジュエリーが担う意義と留意点
新しい世代が伝統的な技法を用いながらモチーフを再解釈することで、文化が生き続けるのです。
また、先住民族の文化や精神性を身に着けることで、個人のルーツや価値観を表現する手段となり、文化的アイデンティティを表明する役割も果たします。
さらに、このシンボルが先住民族文化を知らない人々にも「四方位」「循環」「調和」といった普遍的テーマを提示し、異文化との対話と理解を促進する手段ともなりえます。多くの作品では「守護」「癒し」「バランスを保つ」意味合いが意図されており、着用者にとって“お守り”的な価値も持ちます。
ただし、このような利点がある一方で、モチーフの商用化や文化的意味の誤用といった課題も指摘されています。
たとえば「メディスンホイールは単に四色の円である」というステレオタイプ化は、本来の部族文化それぞれの深い意味と結びついていない場合があります。
現代においてメディスンホイールモチーフのジュエリーを選ぶ際は、作家や部族の背景を確認し、先住民族自身またはその文化への尊重を持つ作家から制作されているかをチェックすることが重要です。
また、技法や素材の質を見極め、四方位の色や輪・中心の意味など、その作品がどのような解釈をしているか、モチーフの意味を理解することが、着用時の満足度を高める鍵となります。
文化的適切性、すなわちモチーフが尊敬をもって用いられているか、文化の流用ではないかを意識することも重要です。
メディスンホイールのモチーフは、古代から続く先住民族の宇宙観、自然観、生命観を体現する存在であり、現代のジュエリーにおいても、その意味を新たな形で問う機会を与えてくれます。伝統技法という土台のうえに立ち、現代的なデザインや素材を取り入れた作品は、装飾を超えた「語るアート」として価値を持ちます。
ジュエリーとして身に着けるだけでなく、その背景にある物語や文化を知ることが、モチーフをより豊かに心に残す鍵となるでしょう。
日本での注目度とメディスンホイールのジュエリーを手に入れるには?
日本での注目度と
メディスンホイールのジュエリーを手に入れるには?
メディスンホイールをモチーフにしたインディアンジュエリーは、近年、日本でも静かに注目を集めています。
ネイティブアメリカンの精神性や自然との調和を大切にする世界観に共感する人々、
スピリチュアルなアイテムを好む層、そしてアート性の高いハンドクラフトジュエリーを愛するコレクターたちの間で、
「身につけるお守り」としての人気が高まっています。
メディスンホイールは、四方位や生命の循環を象徴する神聖なシンボルであり、
持つ人の心を整え、バランスをもたらす意味を込めたデザインとして支持されています。
近年では、ホピ族・ズニ族・ナバホ族の伝統的な技法で作られた作品だけでなく、
現代的な解釈を取り入れたアーティスト作品も増えており、ファッションの一部として取り入れる人も多くなっています。
日本では、メディスンホイールモチーフのジュエリーを
セレクトショップやヴィンテージ専門店、インディアンジュエリー専門店などで購入することができます。
また、国内外のアーティストがオンラインで販売している作品も多く、
個人で活動するクラフト作家やインディペンデントブランドから直接オーダーするのも人気の方法です。
装飾としてだけでなく、心の拠り所やライフスタイルの象徴として選ばれるメディスンホイールジュエリー。
その静かなブームは、単なる流行ではなく、「自分と世界のつながり」を感じたいという
現代の人々の感性と深く共鳴しているのかもしれません。
そして、自分自身の手で“理想のメディスンホイールジュエリー”を作ってみたいという方には、
ラヴァーグジュエリースクールのインディアンジュエリーコースがおすすめです。
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さらに、ラヴァーグではジュエリーブランドの立ち上げサポートも行っているため、学びを深めて「作家デビュー」を目指すことも可能です。
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「生命と宇宙の調和」示す神聖なメディスンホイール
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メディスンホイールとは?まとめ
メディスンホイールとは、
ネイティブアメリカンの文化や信仰において、「生命の輪」や「四方位の調和」を象徴する神聖なシンボルです。 北米の広い地域で古代から受け継がれ、自然とのつながり・心と体のバランス・宇宙の秩序を表す形として尊ばれてきました。
円形の中に十字や放射線を描いた形で表されるメディスンホイールは、東西南北・季節・人生の循環などを意味します。 人と自然、魂と世界のつながりを示すこのシンボルは、儀式や祈りの場でも用いられ、 現代ではインディアンジュエリーのモチーフとしても人気が高く、 「心の調和を保つお守り」や「生きる力の象徴」として多くの人に愛されています。
メディスン(Medicine)の意味
つまりメディスンホイールは、「生命を癒し、調和をもたらすための知恵の輪」なのです。
「生命の輪」「調和」「再生」といった普遍的なテーマを内包し、身につける人の心に静かな力と安らぎをもたらすモチーフとして、今も多くの人に愛されています。
あなたもぜひ、自分だけのメディスンホイールジュエリーを通して、その円が描く“生命のつながり”と“祈りの美”に触れてみてください。
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インディアンジュエリーを深く学びたいあなたへ
インディアンジュエリーには、単なる装飾では語りきれない“物語”があります。
アメリカ南西部のネイティブアメリカンたちが代々受け継いできた技術と祈り。その一つひとつのジュエリーには、自然に対する感謝や、大切な人々への想い、そして自分自身の生き方への願いが込められています。
メディスンホイール、ココペリ、フェザー(羽根)、サンバースト(太陽)、コーンメイデン(とうもろこしの乙女)など…。
これらのモチーフには、それぞれに意味があり、長い歴史とともに語り継がれてきました。
インディアンジュエリーに見られるモチーフたちには、彼らの自然に対する感謝や尊敬、願い。家族や仲間たちを思う優しい心。強く生きるための教えが詰め込まれています。
これらのモチーフを知ることで、インディアンジュエリーがただの「民族的な装飾品」ではなく、”祈りやメッセージを込めたアートである”ことに気づくはずです。
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