LaVague  東京の彫金教室・Lavague Jewelryスクール【東京・渋谷区・恵比寿】

大人の趣味で豊かな人生を。30代後半から始めたハワイアンジュエリー制作

大人から始めた趣味が
人生を豊かにしてくれた。

今回お話を伺う田村佳之さんは、普段は会社員として働きながら、休日はハワイアンジュエリーを基点に様々な彫りの技術を追求+展開する腕利きの作家さん。

力強いダイナミックな彫りから、繊細で緻密な彫りまで、巧みな技術の幅を広げ、追及していく姿は、まさに研究者。今では、様々な彫職人さん達との交流を深め、生涯のライフワークとなっています。
そんな彼が、この彫り(エングレービング)の世界に出会ったきっかけから、成長の過程と今に至るまでのお話を伺いました。

家と会社の往復の日々や、休日に打ち込めることがない。今の人生に刺激がない。そんな方に読んでもらいたい、一人の男性の人生がガラッと変わったエピソードです。
記事作成:中西 由衣子

田村さんが受講したコース

ハワイアンジュエリー総合コース

第1章 ハワイアンジュエリーとの突然の出会い

田村さん、本日はよろしくお願いします! 田村さんって、もうラヴァーグに通い始めてどのくらいでしたっけ?
入学したのは39歳の6月だったから、今年でもう9年経ちますね。
9年…!もうそんなに経つのですねぇ。
来年で10周年ですね~。
この9年間色々な思い出がありますね。
田村さんは確か、ラヴァーグに来る前から趣味でほぼ独学でジュエリー制作されてましたよね?きっかけは?
きっかけは東急ハンズによく行っていて、今はもう無くなってしまいましたが、池袋店も渋谷店もジュエリーの彫金コーナーが充実していたんですよ。
そこでアートクレイシルバー(銀粘土)のデモンストレーションが開催されているのを見て「あ、なんか面白そうだなぁ」と思って触り始めたのが最初でした。
あ、じゃぁ最初は銀粘土からだったのですね。
そうですね。
そこから、店員さんに色々聞いていくうちに、ロストワックスという存在を教えてもらって、家で作業しては店員さんに教えてもらってを繰り返していましたね。
私も御徒町の敷居が高かった頃は東急ハンズの店員さんに工具や材料を買うときにお世話になっていました。懐かしい。
そこから、ラヴァーグを初めて知った日のことは覚えていますか?
あの日は、友人と恵比寿で食事をした帰りで、道を歩いていたら「ハワイアンジュエリーPua ally(プアアリ)」って書いてある立て看板を見かけたんです。

当時、ハワイアンジュエリーってものを知らなくて、どんなジュエリーなんだろう?って興味を持ったので、プアアリのお店に足を運んだのがきっかけでした。

まだ今みたいに路面店じゃなくビルの2Fに登って行って、入口で入っていいのか迷っていたら、店長のアキさんが明るく話しかけてくれて、お店を案内してくれたんです。
最初はプアアリのお店だったんですね!
アキさんが、凄く丁寧に色々とハワイアンジュエリーのことを説明してくれた際に、上の工房で制作していることを教えてくれて「良かったら、実際に彫ってるところを見に行ってみます?」って案内してくれたんです。

そこで、岡野先生が実際に顕微鏡を覗きながら彫っているところを見学させてもらいました。
商品を見てからの工房見学はグッとくるものがあったのでは?
商品ももちろん綺麗でしたが、飛び込みで見学させてもらった時に、マイクロスコープ(顕微鏡)で彫ってるものも見せてもらったときの彫りの美しさは衝撃的で。

そのまま岡野先生にハワイアンジュエリーが作れるようになるコースの案内をしてもらって、自分にもこんな彫りが出来るようになったら…って考える中で、もうやることはほぼ決まった感じでした。
その場でほぼ即決に近かったのですね!
そうですね。あまり悩まなかったです。
それに、この技術は簡単には習得できないだろうとは思いましたが、この先のサラリーマン人生であと20年・25年過ぎた後に、何も残らないのってすごくつまらないなと思って。

漠然と色々な意味で、今から習得できれば将来第二の人生でこの道に進んだら楽しくなるかなと思い、やるなら今からだなと思って決めました。
確かに、この日の偶然の出会いって「昨日までの自分には想定していなかった人生の選択肢」が広がりましたよね。
そうですね。やってみる価値あるなと思って、飛び込みで見学させてもらってから1週間しないうちに改めてお申込みに来ました。
岡野先生には、田村さんみたいに飛び込みで来て入学する人ほとんどいないって言われました(笑)
そうですね(笑)看板出しててよかったです(笑)

第2章 本格的にハワイアンジュエリーコースを学んでみて

そんな運命的な出会いを経て、実際に学んでみてどうでした?
実際やり始めた頃はそれなりに覚悟はしていたつもりでしたが本当に難しくて、まともに彫れるようになるのは何年先だろうかとよく思っていました。5年、10年。そのくらいかけていって、何とか身につくものかな?とある時期までは思い続けていましたね。
でも、金属を金属で彫る感覚と、たまたま上手く彫れた時の輝きが印象的でもっともっときれいに彫りたいという気持ちが日増しに大きくなっていったと思います。
印象的だったのは、ある日話していたエピソードで、電車の中の広告に添えられていた唐草模様を見て「これはどんな手順で彫ったらいいだろう?」って日常でもふと考えてしまっていると。
かなりのめり込んでいる様子が伺えました。
ありましたね(笑)
「難しい。」だからこそ、途中で時間を空けたりすると身につかないだろうから、継続的に続けていくことが大事なんだろうなって。
たしか岡野先生からもそういったアドバイスをもらったから、毎週末来ていましたね。 やらないとうまくならないし。

でも続けていたら少しずつ、10回に1回しか彫れなかった綺麗な彫りが、5回に1回・3回に1回彫れるようになってくると、「綺麗に彫りたい」という欲求が出てくるし、そういう意味で言うと憑りつかれてたくらい。 他や周りがあまり見えていなかったかもしれないですね(笑)
(笑) それだけ熱中できるものがそこにあったのですね。
ハワイアンジュエリーコースのカリキュラムの組み立てはいかがでした?
そうですね、正直カリキュラムをただやり終えただけでは「彫れるようになった」と実感するのは難しいと思いますが、上達するのに必要な知識はちゃんと教えてもらえて、得られると思います。
あとはひたすらに自分自身が練習する時間を確保して、やり続ける事が重要だと思いますね。

ただ教えてもらったら出来る。ではなく、その先が大事なんだろうなって感じていましたね。
確かに、ハワイアンジュエリーコースはそうですね。
彫れるようになるための過程はしっかりお伝えして、あとは己の技術力を磨き上げていくことを楽しんでいく奥深いコースですね。
とはいえ、全く成長の実感がなかったという訳ではないですよね?
僕、始めたときに絶対に途中で投げ出したくなくて。
一人でやっていたら飽きてやめてしまうかもしれないからFacebookに「ハワイアンジュエリー日記」ってつけて、最初のときからどんなにへたくそなモノでも何日目・何日目って写真と一緒に投稿していたんですよね。

それで最後の課題の時に、最初の頃と見比べて「あ、上達しているな」という実感はありましたが、本当に「彫れるようになってきたな」と思えるようになったのはもっと先でしたね。急に実感というのはなかったかな。

↑当時のハワイアンジュエリー日記

なるほど。一つ一つの積み重ねで、前よりは彫れているけど、もっと先の美しさへと追及していくものだから、一長一短でとはいかないですよね。
そうですね。
あ、でも、なかなか上手くならないな~と悩んでるときに校長先生に「彫れない時はどこでも時間を見つけて、ハワイアンの模様をいっぱい描くといいよ」とアドバイスをもらってから、暇さえあれば紙に鉛筆でハワイアンのモチーフを描くようにしていたんです。

そうしたら自分でもびっくりするほど上達が早くなったと思います。 だから、自分より後に入ってきてる若い後輩の方たちには、自分がもらったアドバイスを実感と共にお伝えしてますね。
自分がもらった校長先生からのアドバイスを後輩の方々にも伝えてくださっているんですね!有難いです。
校長先生は、たまにふらっと来て的確で端的にアドバイスをくれるんですが、それが今欲しい技術にピンポイントで。
今、自分の彫りの特徴の一つでもある技も校長先生がヒントをくれたのがきっかけでしたね。
一瞬で的確に読み取って解決方法を伝えてくれる校長先生は流石ですね。
授業をメインで教わっていたのは岡野先生や結城先生でしたが、授業の様子はいかがでした?
スクールの雰囲気はすごくアットホームな感じで、きっちりとした時間割とかなくて自由に時間を決められるのは自分に合っていたと思います。

僕の師匠は岡野先生と結城先生で、主に教えてくれたのですが、二人ともとても丁寧に教えてくださり、尚かつ褒めて伸ばすタイプだと思うので、僕にはそれが良かったんだと思います。
田村さんってハワイアン総合コースをどのくらいで修了されてたんですっけ?
3か月でしたね。
はやい(笑)
でも、一通り学ぶべきことを一気にガッと学んで、そこから積み重ね続けているのですね。

第3章 広がる世界と先輩たちとの出会い。

田村さんは、同じように彫りを追及されている日本中のベテランの方々との交流も多いですよね。 どのタイミングから、外へ視野を広げていったのですか?
あ、それこそ最初のきっかけで大きかったのは、ラヴァーグが開催してくれたハワイ研修ツアーでしたよ。
懐かしい!生徒さん達数名と私と校長先生でハワイに行きましたね。
まだプアアリのハワイアンジュエリーの彫りしか知らない頃、校長先生の先輩でハワイの老舗ブランドで彫職人をしている方の工房へ見学しに行ったときに、同じハワイアンジュエリーでも、彫る人の技法やブランドによって、こんなにも違うのかって衝撃的で。

でも、最初の頃は違うっていうのはわかるんだけど、何が違うのかが分からない状態で、よくよく見たり、実際に話を聞いてみると違う理由が言語化されて理解が出来たり。

そこから、いろんな彫りをしている方々の作品を生で観て、お話を聞きたい。そういう行動をしなくてはダメだと思うようになりましたね。
ただの楽しい旅行で終わらせずに、ちゃんと未来に繋がる気づきや学びを持ち帰って実践しているのですね。
ハワイでは色んな楽しい思い出もありましたが、一番衝撃を受けたのはそれでしたね。

そこから、インスタグラムで見かけた美しい彫りの作品を作られている方をフォローさせていただいたり、展示会を開催していたら見に行ったり、話を聞いてみたりと。 皆さん、親切に色々教えてくださったり、アドバイスをくださって、勉強になっています。

そうやって輪を広げていく中で、自分の活動も発信していると、海外で活躍しているエングレーバーの方たちもフォローやコメントしてくださるようになって、自然と広がっていきました。
「彫り」という一つの主軸を持っていることで、SNSで知る情報と、実際に観に行きたい・聞きに行きたいという興味からの行動で広がる輪ということですね。
あと、コロナ前まで定期的に開催されていた宝飾業界の異業種交流会にも参加していたことで、色々な出会いや関係性を作る機会があって、彫り以外のことで沢山助けてくださったりと、横の繋がりの大切さを感じていますね。
ありましたね。私もあの交流会のおかげで繋がった方たちに、いまだに色々な場面で助けていただいてますね。
あとは、ラヴァーグ自体もそういったコンセプトというか。

一つの部屋の中で、彫りのブースがあったり、彫金やワックスや、フロアは違うけど同じ建物の中にジュエリーCADのお部屋があったりと、色々な技法がすぐ近くにあって触れられるというのは、とても有意義なモデルだと思いますよ。
隣の席では全く違うコースの方たちが作業していますもんね。
実際に、他のコースの生徒さんとの情報交換で彫り以外の部分はすごく助けられたこともありますし、そういった環境が凄く有難いです。

サラリーマン引退後に、実際にブランドとして活動していくのか、どこかで教える講師になるのかはわかりませんが、ここで出来た人脈は今でも続いていることが多いから、本当に有難いですよ。
田村さんがコース修了してから9年もラヴァーグに通い続けている理由は、そういったところにあるのですか?
そうですね。 2つの側面があるのですが、まずは設備が凄く充実していること。

僕の場合は彫る機械が家にあるので彫りは来なくても出来るのですが、土台を作るために火を使ったり作業するのに、自由に予約が取れるコストパフォーマンスも使い勝手も良い工房という面がひとつ。

もう一つはここに来れば誰かしらお仲間がいるから、仕事で疲れたり煮詰まっているときでも、ここにきて1日過ごすと楽しくリフレッシュできる場所でもありますね。
嬉しい限りです!きっと、他のハワイアンの生徒さん達も田村さんに色々聞けるのも有難いし、私たちスタッフも長年在籍してくださっている田村さんが来てくれると嬉しくなりますもん。

第4章 手応えを感じた発表の場

田村さんが作家活動をスタートしたきっかけって、ラヴァーグで開催している合同展示会が初めてでしたっけ?
はい。入学した年でまだまだ全然彫れなかったのですが、結城先生に絶対参加した方が良いと背中を押してもらって、思い切って参加したのが最初でした。
その時に初めて、Simbolic Jem(シンボリックジェム)の長尾さんの作品と出会って衝撃を受けました。
あ、そこが初めての出会いだったのですか。
生徒(当時すでに卒業してたと思いますが)でこんなに綺麗に彫れる人がいるんだ〜と衝撃を受けたのはよく覚えています。それから帰りの電車でDMを送って、これは会わなきゃだめだと思って。

自分よりも若く、ハワイアンを始めて既に4~5年目の長尾さんとの交流が始まったのですが、何とか彼の技術に追いつきたいな〜と。それからは展示会出店が1年に1回長尾さんに挑戦する会みたいになってました。

自分も4~5年頑張れば、このぐらい綺麗に彫れるようになるのかって色々いい刺激をもらったのは間違いなかったですね。
目標であり、良きライバルとの出会いって感じでした?
ライバルというか、敵視するとかではなく(笑)
展示会でお客様が良かった作家・ブランドさんへ投票する制度で、票数は気にしていましたね。常に自分よりもちょっと上に長尾さんがいて。 3回目の出店の時に彼が6位で一票差で僕が7位で。あの時は頑張って抜けるかな?と思ったけど抜けなかったですね(笑)

一歩先にいる先輩で、頑張れば届くか届かないかで切磋琢磨しながら、彼も同じ時間でもっともっと上手くなっていくから、追いかけては引き上げられているような。本当に感謝している存在です。
田村佳之
スポーツでも、やっぱり自分の壁を越えていくには自分よりも少し先で競える相手がいることだったりしますからね。
本当に良いタイミングで出会えたのは、同じ時代に同じ環境にいた巡り合わせですね。
そうですね。今でも別のグループ展に参加するときも、長尾さんが観に来てくれたり、僕も観に行ったりしてます。リスペクトしていますよ。
そんな中、遂に今回4回目の展示会では104名の参加者の中で人気投票が堂々の1位に…!本当におめでとうございます!!
率直に素直に嬉しかったです。
コロナでしばらく開催が中止されていて、その間ももちろん成長されていた結果と思うのですが、今回久しぶりの出店では何か変化はありましたか?
そうですね。さっきもお話しした内容ですが、色々な彫りをインプットしたことを、どんどん作品で挑戦したい欲求が増えていて。
そうすると、色々な人に見てもらいたい気持ちが強くなっていきました。

彫りをやっている人がどう感じるのか。
全く彫りに興味のない人も、見てくれた時にどんなふうに思うのかとか。

遠目からも、近距離からも一彫り一彫りをじっくり見ていただきたくて、ルーペ(拡大レンズ)を用意して細部まで見てもらえるようにしていました。 タガネ(彫り用の彫刻刀)の抜け方とか、入り方とか、全部見ていただきたかった。

↑展示会で出品した作品

ルーペで見せていくって、なかなか出来ることじゃないですね…!それだけ、自信やリアクションへの興味が強かったのでしょうね。
嬉しかったのは、協賛で来場してくださっていた宝石博士ちゃんに「あなたの彫りは変態的です」って言ってもらえたことでした。(笑)
(笑笑笑)最上級の誉め言葉ですね!(笑)
他にも会期中に印象的だったことはありましたか?
印象的と言うか有難かったのは、お隣が同じようにエングレーバーとして活動してる方で、SNSでの発信とかも積極的で集客力も優れている方だったので、その方のファンの方やお客さんが僕の作品も一緒に見てくれて結果大勢の方に見てもらえてには有り難かったです。
この記事の前に、そのお隣の方にもインタビューしたときに、田村さんに色々と彫りのことを親身に教えていただけて本当に有難かったとお話しされていましたよ!
お互い相乗効果で、沢山の方に観ていただけた展示会だったのですね。
そうなんですよ。 結果として、色々な人に観ていただけて、この4回目は今までやった中で手応えはありました。

あと、やっぱりエングレービングを全然知らない人が観てくれた時、それこそ僕がここで初めてハワイアンジュエリーを知った日のように驚きを持ってみてくれて、それが「あぁ!」って言葉に出てきちゃったみたいな瞬間に立ち会えた時に「やったぞ!」と嬉しさを感じました。

そういったシーンがあったことも結果に繋がったのかなと。 でも正直、万人受けするものではないだろうと思っていた中での一位だったから驚きではありましたね。
なるほど。ここまでの積み重ねてきたものをしっかりとお披露目出来た展示会だったのですね。
そうですね。
自分にとっての完成形は全然見えないけど、なんだろう、多少のこの先やっていこうとしている方向性が出せたのかなってぐらい。だからより観てもらいたいと感じたのかもしれません。

まだまだ全然めちゃくちゃで、これからなんですが。 この方向性で本当に合っているのかをずーっと自問自答を繰り返し続けています。
それなら、来年もまた今回見え始めた方向性を基に、更に進化した作品を発表していく場になりそうですね!

第5章 教えてもらい、伝えていくサイクルと、これから目指していくもの。

展示会のときもそう感じたのですが、田村さんって惜しみなく自分の経験や上達の仕方を後輩の方たちに伝えてくださっていますよね。
はい。おせっかいかもしれないのですが、せっかく興味を持ってくれたんだから、もっと興味を持ってもらいたいというか。

欧米や海外だと、エングレービングってもっとポピュラーで、僕みたいにプロじゃなくても趣味というか、手芸のような感覚と言ったら違うかもしれないけど、人口が多いんですよね。

だから、エングレービングの楽しさや美しさみたいなものを、日本でももっと広げていきたいという気持ちもあります。
素晴らしいですね!
あと、これから始める人や僕も経験した上達するのに苦労している人には、経験したアドバイスは伝えてあげたいですね。

僕自身、押しかけて話を聞かせていただいた先輩方達が快く迎えてくれて、アドバイスをしてくれたから、今の自分があるので、同じように自分が伝えることで助けてあげられるのなら、そういう意味でも価値があるのかなって思います。
だから田村さんは、先輩・後輩どちらからも慕われて、信頼されているのでしょうね。
仲間が増えた方が楽しいですからね。

エングレービングの研究・制作した作品達

ここで改めて伺いますが、田村さんにとっての「彫り」の魅力とは?
ハワイアンの彫りの美しさに魅せられて始めましたが、この世界に入ってから知ったエングレービングから、洋彫りやブライトカットや日本の和彫りなどを知っていく中で、特にグレーバーマシンを使っていくものは奥深いです。

グレーバーマシーンは100年前にはなかったもので、もしかしたらまだまだ未知数の可能性があるものだと思っています。
ハワイアンの彫りを更に美しく追及したい人もいれば、マシーンに頼らず伝統的な技法を守っていきたい人もいます。

自分の中に様々な価値観や技法など沢山いれて、誰も観たことのないような新しいものをまだ作れる分野なんじゃないかなって感じたりするので、そこはすごく大きい魅力の一つですね。 まだまだのめり込めると思っています。
一生かけて追及できることに出会えたのは、幸せなことですね!
いやーもうね、これは単純に人生が豊かになりましたよ。

おそらくラヴァーグに通わなければ、こんなにも魅力的で面白いエングレービングと言う物にも出会えなかったし、一緒に何かを作り上げると言った共通の目標を持った仲間にも出逢えなかったはずです。

そう考えると何も知らずそれまで通りのコミュニティの中で生きる事を考えれば全く違う業界を知れて、新たな人間関係を築けてもう一つ全く違うコミュニティを持てた事はとても自分の人生を豊かにしてくれたと思います。
ラヴァーグを見つけてくれた田村さんに、こちらこそ感謝ですよ!
田村さんは今後活動としてはどのような形式で考えられているのですか?
僕は彫り職人になるつもりは今のところはなくて、アートとして彫りの素晴らしさを少しでも広めていけたらと思っています。

もう人生は、そうは言ったって時間は決まっていて、永遠ではないのでやれることができるうちは、できる限りは追求したい。
僕が得た知識や技術が誰かの役に立つんだったら教えたい。それはありますね。

どっちも。 だからそうですね、アドバイスを求められれば、応えられるだけのことは応えたいし。 でも、自分がまだ自分も見たことないようなものを見てみたいっていうか、その追求はずっと続くんだと思います。
そしていつか巨匠になっていそうです。
そんなことないですよ(笑)
何かを生み出す・生み出したいって言っているとなんか格好いいけど、面白いマンガ読んでいたら、続きが気になるし読みたい。そんな感じの感覚です。
主人公の田村さんが、これから歩む未来の展開は、周りの私たちにとっても楽しみですよ!

第6章 これからの人たちへ。

最後の締めくくりですが、これからハワイアンジュエリーを学びたい人・学んでいる最中の人たちへメッセージをお願いします!
そうですね。一言で言うのであれば、決して諦めないでほしいって言葉ですかね。
諦めない。
そう、決して諦めずに続けていれば、今日より明日が下手になることはないから。 上達しかないから。
成長まで壁があるのは間違えないし、僕も実際壁にぶつかってきたし。
壁にぶつかるのは当然で、簡単に投げ出さないでってことですね。
そう。最初の頃はなかなか思うように行かないけど、だんだん思い通りに彫れるようになってきたら、グーーーーンって上手になる。
成長曲線が急劇に伸びていく感覚です?
そうですね。間違えなく二次関数的なグラフだと思うよ。
そこに行けるかどうかが一つの壁だから、諦めないでほしい。

エングレービングに才能は必要無いので絶対に諦めない強い気持ちを持って毎日を大事にすれば必ず思い描いた物が彫れるようになるので頑張って下さい。
きっと、現在進行形で壁にぶつかっている人には勇気が出る言葉をありがとうございます!
これから始めてみたい人へのメッセージもお願いします!
折角興味があるのなら、やった方がいいですよ。
今、これを読んでいる方の年齢は分かりませんが、 僕がスタートしたのは39歳からだけど、でも結果的にはやってよかった。

それが29歳の時に出会えてたらもっと良かったかもしれないけど。
何かやり始めるのに、年齢は関係ないですものね。
そうですね。情熱をもって好きなことを。
会社の往復だけになるんじゃなくて、自分の世界を持つというか。 会社以外の自分のコミュニティーを持つことって大切で。
単純に心が豊かになりますね。
今日は、貴重な経験談と沢山の素敵な言葉やメッセージを本当にありがとうございました!!
これを読んでくださって、未来のエングレーバー仲間が増えていくきっかけになってくれたら嬉しいですね!

田村さんが受講したコース

ハワイアンジュエリー総合コース

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