LaVagueロゴ  東京の彫金教室・Lavague Jewelryスクール【東京・渋谷区・恵比寿】

Lesson6 エンゲージリングを完璧に磨く

これが出来たらやっと一人前。

細かい隙間の磨き。 ここを楽しめてこそ、一人前

シンプルなものほど難しい。

さて、このレッスンは磨きの技術を学ぶ最終課題となります。
今までレッスン1・3で面の磨き方・複雑な曲線・曲面の磨き方を学んできました。

この最後のレッスンでは、エンゲージリングでよく見かける石座が中空になっていて、隙間が細かく手が届きにくい箇所をしっかり磨き上げていくための手法を学んでいきます。

この技術をきちんと押さえることで、完成のクオリティはハイブランドと並べてもおかしくないレベルまで到達できます。

細かい隙間の磨き。
ここを楽しめてこそ、一人前。

職人の技が自分のものに

キャスト(鋳造)から上がりたての商品には、「鋳肌(いはだ)」と呼ばれる表面の荒れがあります。

薄皮を剥がすように、表面の鋳肌を削り落としていく際に左右対称のデザインの場合、形が崩れてしまいがちだったり、普段使用している工具が届かないような小さな隙間の鋳肌の取り除きに苦労しますよね。

そんな痒い所にまで手を届かせていくための手法や、今までの応用も含め、こちらで用意したサンプルを実践で完璧に磨き上げていくまでのプロセスを学んでいただきます。

特にエンゲージリングなどの高額商品のオーダーを受けた際、詰めが甘いイマイチなクオリティーでお渡しするわけにはいきません。

今まで自信が無くて外注に出していたのなら、これからは外注に出したのと同じくらいのクオリティを自分で磨き上げることが出来るようになるのです。

細かい隙間まできちんと磨き上げられるようになったとき、今までと学んだ後でのクオリティーの違いを実感できるでしょう。

細かい隙間の磨き。 ここを楽しめてこそ、一人前
細かい隙間の磨き。 ここを楽しめてこそ、一人前
細かい隙間の磨き。 ここを楽しめてこそ、一人前

中空の裏側をどう磨いていくか。

さて、ここまで「広い複雑な面」・「華奢で磨きにくい複雑な曲面」の作品を磨くための技術を習得してきました。
このレッスンが磨きの最終形態であり、気を付けなくてはならない重要な点が3つほどあります。
この3つのポイントをしっかり習得出来れば、どんな複雑な形のジュエリーを作っても完璧に磨きこなすことが出来るようになります。

【よくあるミス例】
・磨き最中に左右対称じゃなくなってしまった。
・先端工具が届かない場所を諦めてしまっている。
・鋳肌取りの際に削りすぎてしまった。

今回、練習課題で用意したリングは、エンゲージリングとしてオーソドックスな形のリングとなります。
オーソドックスでシンプルが故、細かく気を付けないと簡単に形の崩れや、磨き残しが目立ってしまう形状です。
先生とマンツーマンで最初から最後まで進めてゆき、正しい順序とチェックの仕方・磨き方のテクニックを一つ一つ確認しながら、磨きの工程を身に着けてゆきましょう。

中空の裏側をどう磨いていくか

POINT1 形を変えない鋳肌の取り方

鋳造後(キャスト後)の表面のザラザラを取り除く際、ロールサンダーで表面を一皮剥くように削りだしていきます。
しかし、いつものようにそのまま削ってしまうと簡単に形が崩れてしまいやすいのが今回のデザイン。
そんな時はロールサンダーを新しい面にするために切り取った切り口を、あえて少し浮かせた状態で回転させることで、浮いた一枚のヤスリ目だけが金属にあたります。
押し当てない事によって削りすぎをカバーしてくれるため、鋳肌の表面だけを削り取ってくれます。
このテクニックを使用するだけで、今まで慎重にしていた分の作業時間がぐっと短縮されます。

形を変えない鋳肌の取り方
形を変えない鋳肌の取り方

POINT2 届かないと諦めていた箇所の磨き方

ヘラ(極細)や針で際の溝をごしごしと擦り、光らせます。
腕同士の繋がり目の溝や爪と石座の接着面・石座の裏等の際の処理が本当に大切で、ここで商品のクオリティーが左右されると言っても過言ではありません。

届かないと諦めていた箇所の磨き方
届かないと諦めていた箇所の磨き方

POINT3 リューターの回転方向を意識する

リューターを使用する際、順回転・逆回転と回転方向を選ぶことが出来ます。
順回転しか使ったことが無い人が多いのではないかと思いますが、この回転の向きによって同じ場所を磨いているつもりでも、厳密には当たる場所が変わってきます。
一番磨きたいところ・削りたいところを狙っていくためにはこの回転方向を意識することが大きなポイントになります。
ここを習得すると、形崩れの問題が解消されます。

回転方向による当たり方の違い
リューターの回転方向を意識する

Lesson 6で学べる内容と手順

STEP1 下準備

まずはいつもの作業。
湯口取り・サイズ、真円出し・鋳肌取りで整形していきます。

湯口取り・サイズ、真円出し・鋳肌取りで整形していきます

STEP2 際の部分を先に光らせておく

周りが光ってしまっている状態だと見落としがちになってしまうため、最初に細かい際を整えておきます。極細ヘラや針を使って、手の感覚で滑らかになるまでゴシゴシとしっかり擦って鋳肌を潰していきましょう。

際の部分を先に光らせておく

STEP3 ボール盤を使用して細かい石座周りを磨いていく

レッスン1.4で使用したボール盤を小さく加工して、石座周りを綺麗に整えていきます。
磨きながら注意して見る角度や確認方法を意識して、形を崩さず少ない手数で磨いていくテクニックを習得していきましょう。

ボール盤を使用して細かい石座周りを磨いていく

STEP4 リューターポイントが入らない狭い隙間の磨き方

小さな三角地帯の隙間を磨くとき、リューターポイントが入らない事がよくあると思います。
そんな時は、リボンに研磨剤を付着させて擦っていくことで、中仕上げ~鏡面仕上げまで一気に磨き上げられる優秀道具です。
効率的なリボンの使い方を学んでいきます。

中空の裏側をどう磨いていくか

STEP5 回転方向を意識して磨き、全体を馴染ませる

純回転・逆回転の使い分けをしっかり学び、部分部分での回転の変更に慣れていきましょう。
なぜここは純回転なのか。なぜここは逆回転がいいのか。
そういったことを考えながら磨いていくことで、形の崩れとはサヨナラ出来ます。慣れれば考えずに瞬時に判断できるようになるので、数をこなしていきましょう。

形を変えない鋳肌の取り方

STEP6 回転スピードの使い分けで照り出し

最終仕上げの段階です。
ここで革バフで磨く際の回転スピードの強弱の使い分けを、理論的に理解していきましょう。
高速でやるべき場所・少しスピードを緩めるところ・研磨剤に合わせた速度の調整を理解することで、磨きで出てしまうヨレや爪が短くなってしまうなどのミスを抑えていきます。
STEP4で習得した回転方向と合わせて磨いていけるように訓練していきましょう。

形を変えない鋳肌の取り方

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