結構最初から頼まれがちな依頼の一つ。
形を崩さず、正確にサイズを合わせる。
ブランドを立ち上げたり、商品に携わるようになったら必ず修理やサイズ直しは通る道の一つ。
特にブライダルジュエリーを扱うのであれば、必ず身に着けておきたい技術です。
正しい順序や、細かく気を付けていくべきポイントを押さえてサイズ直しをマスターしていきましょう。
責任は重大。
でも、やったことがあればそんなに怖くない。
大切な指輪を長く使い続けてもらうために
0から作り出すことはもちろん、既に完成しているものを修復することが出来て初めて彫金技術は誰かの役に立つスキルとなります。
あなたがブランドを持ち始めてブライダルを受けるのであれば、必ず必要となるのが「サイズ直し等のメンテナンス技術」です。
オーダーを受けてお渡ししてから5年後、お子さんを出産された後や主婦業をしていく中で女性は指のサイズが変動しやすいものです。
オーダーしたあなたのもとに、サイズ直しの相談はいずれ来ることでしょう。
長く大切にしていってほしいものだからこそ、きちんとメンテナンスしてあげられることがブランドとしての信頼感に繋がります。
このレッスンでは、サイズ直しの糸鋸の入れ方や、ロウ材の正しい置き方・その理由まで細かいポイントをきちんと押さえられるようになるカリキュラムです。
いきなり本番ではなく、ここでしっかり練習して学んでおくと怖いものが一つ減らせますね。
サイズ直しをした時に形が崩れない事
新しく地金を足したり、サイズダウンの際は地金を切り落とす為、本来の形が崩れやすい。
【よくあるミス例】
・サイズ直しした箇所の細さがいびつ。
・糸鋸の刃を入れたときにすり合わせが上手くいかず、狙ったサイズに着地出来ない。
・指輪の腕が左右でズレてしまう。
サイズ直しをするときに、正しいノコ刃の入れ方やカットする順番、継ぐ地金の大きさに気を付けないと、上記のようなミスをしがちです。
このレッスンでは、正しいサイズ直しの順番を実践で行いながら、こちらが指定したサイズへ着地していけるように反復で身に着けていきます。
POINT1 サイズ直しのカットは2箇所交互に
サイズ直しをするときに、指輪のカットを一か所ずつ切り落としていませんか?
そうすると、指輪が空いた状態で隣のカットを始めてしまうと指輪の腕がズレやすく、カット面もまっすぐ切りにくくなってしまいます。
カットする際は、両側同時進行で同じくらいずつノコ刃を入れていきます。
最後、どちらも後一押しで切り落とすことが出来るような状態で進めていきましょう。
また、糸鋸は「押し切り」でセットすることで曲がりにくく作業しやすいです。
POINT2 サイズアップの際は大きめの地金の継材を用意する
カットし終わった後、足りない分を足していくときに指輪の幅と厚みピッタリの地金を継いでしまうと、ズレたり磨いたりしたときにその箇所だけ細くなったり腕がズレてロウ付けされてしまいます。
必ず継ぐ金属は一回り大きい金属を用意しましょう。
POINT3 ロウ材の配置の仕方
サイズ直しのアップの時、挟んだ地金をロウ付けする前に、ロウ付けの原理を理解しましょう。
指輪の腕と継材に立てかけるようにロウを置くことで、出来た隙間に熱がこもりロウ材の真ん中から溶け始めます。普通に配置するよりも熱がこもりやすく、早く溶けてくれると同時に、溶ける瞬間が確認しやすいです。
その後、毛細管現象でロウが埋まってほしい隙間に流れやすくなります。
Lesson 2で学べる内容と手順
STEP1 (サイズダウン)切る場所を決めてケガキ線を引く
カットする中心を決め、押し切りで2.3回ノコ刃を入れます。
そこからノギスかケガキコンパスでカットする長さを両方向に引いていきましょう。
STEP2 地金のカット
カットで起こるねじれが出ないように、両側を少しずつ交互に押し切りで刃を入れていきます。
作業に合わせて固定しやすい「押し切り」というテクニックを習得していきましょう。
STEP3 ロウ付け・整形
指輪のサイズダウンは、この後は普通にロウ付けとサイズ出し・正円出しを行い磨いて終了です。
STEP4 サイズアップ
指輪のサイズアップをする際は、ノコを入れた後に磨きシロも考慮して希望より少し手前の位置にセットしましょう。
STEP5 隙間に地金を挟み込む
このとき、挟む地金は指輪の腕よりも一回り大きいものを挟みましょう。
指輪の腕とサイズピッタリだと、磨きで減ってしまったり、ロウ付けがズレてしまいがちです。
しっかりと隙間が開きすぎなように、すり合わせが必要な場合は細めのノコ刃でしっかり合わせておきましょう。
STEP6 ロウ材を立てかけてのロウ付け
ここで効果的なロウ材の配置の仕方を学びます。
基本的なロウ付けの原理を応用し、スムーズなロウ付けを習得しましょう。
原理が分かればロウ付けへの苦手意識は解消されるはずです。
STEP7 余分な箇所を削り落として整形
余分な地金を削り落とします。
まずは内側から削り落として正円を出してから外側を削り、サイズを整えます。
ここでやすりを入れる方向や理由をしっかり学んで行きましょう。
クオリティスキルアップコース 他のレッスン一覧
LESSON1
複雑な面の研磨技術
スタッズなどの複雑な面を磨き残すことなく完璧に磨くノウハウを学びます。
LESSON2
サイズ直し
完成した指輪のサイズアップ・サイズダウンの手法を学びます。
LESSON3
溶解
地金を溶かして再利用していく手法を学びます。
LESSON4
細かい曲線の研磨技術
唐草などの複雑な形状を隅々まで磨ききるテクニックを学びます。
LESSON5
3種類の地金の加工
Pt・K18YG・K18PGの3種類の加工方法を学びます。
LESSON6
形を絶対崩さない磨き方
磨きにくい箇所のアプローチ法を学びます。
LESSON7
爪はり
細かな爪のロウ付け技法を学びます。
LESSON8
オーダージュエリー
指示書を読み解いて、その通りに作れる応用力を鍛えます。