ジュエリーの撮影で大事なこと
「ジュエリー写真専門撮影講座」講師の一人、田澤千晶さんにインタビューしました。 田澤先生は、ハワイアンジュエリーブランド「プアアリ」の商品やイメージ写真の撮影、 Webサイトの作成に現役で携わっています。 商品の魅力を伝えるのに欠かせない「写真」ですが、ネットショップの商品紹介だけでなく、 ブランドのイメージを伝えるのにも非常に重要ですよね。 この講座で、カメラの基本的な使い方から理想的な写真を撮るためのステップまでを 教えてくれる田澤先生が、日頃どんなことを考えながらどのように生徒さんへ伝えているのか、 お話をうかがいました。
Interview
「私にできるかな・・・」から「私にもできる!」へ
いいえ、実は全くの未経験でした。プアアリで働きはじめてからカメラの扱い方や、 撮影スキルを1から覚えたんです。初めは色々と失敗もすることもありましたよ!
楽しかったって言ってくれる生徒さんが多い、というかほとんどです!
カメラって元々苦手意識がある生徒さんが結構いて、講座を受ける前は、使えるか 心配で・・・と、一眼レフを持っている生徒さんでも 不安そうだったりします。 でも、「今日講座を受けて使えるようになれたことが嬉しい」っていう感想を もらうととても充実感があります。
そもそもこの講座が、まずは「自宅でもできる」綺麗な写真撮影のコツを 掴んでもらうことを目的としています。撮影っていうと大掛かりなイメージを しがちですが、特別な機材や、長年培ったテクニックがなくても、基本さえ 理解すれば雰囲気のある、魅せる写真が撮れる、ってことは、このシンプルな セッティングを見てもらえればわかると思います。
カメラの機能を正しく理解して 使えば、大掛かりな設備がなくてもきちんとした写真が撮れるなんて、初心者には 想像つかないかもしれません。 一眼レフカメラを全く使ったことのない生徒さんでも、講座の内容にはついていける ものなのでしょうか。
カメラの扱い方、ボタンの位置、操作の基礎から教えているので、全く触ったことがなく 何もできない状態でも、問題ないです!このことは、講座の予約を取ってもらう時に 伝えるようにしています。 ますます苦手意識をつのらせてしまうのもよくないので! テキストも何度か改善していて、かなり充実した内容になっています。 あとは、その生徒さんがカメラを持っていればそれを使って教えるようにしています。
もちろんカメラを持っていない生徒さんは、スクールでレンタルできるカメラがあるので、それを使って講座を受けていただくことができます。他に生徒さんが受講前に準備してくることはありますか?
生徒さん一人一人、撮影したい雰囲気は違うため、ざっくりでも自分の目指すイメージの 参考写真をピックアップしてきていただいています。 あとはスキル面では予習など必要ないので、むしろ先入観がないフラットな状態で 受講してもらうのがいいと思っています。
はい。その、理想のイメージをもってもらうのが大事というのが、基礎の先にある、 写真撮影の本当の難しさにつながってくるんです。
田澤先生も経験した、ジュエリーの撮影で苦労する点
私の中では、基本的なことではありますが、「構図・アングル・カット」がポイントであり、 難しい点だと思っています。
写真における構図は 、1 枚の中に配置する商品の大きさや、逆にどれだけ画面の中に 余白を残すか、ということで、カットは、同じ構図でも光の入り方や絞り (=背景のボカシ具合)、それぞれカメラの機能の値を変えて、1 カット、 2 カット、3 カット というふうに撮影していきます。
はい。例えば、プアアリのネットショップで言うと、真っ白な背景に商品だけが真ん中に あるのが定番で、それはカメラの基本機能と素材の特性を理解すれば、ある程度の基準を クリアした写真を撮るのは難しくありません。 でも、インスタ等によく載せるイメージ画像みたいな のは、一瞬を切り抜いた感じの 雰囲気が伝わる写真を載せていたりするので、工夫が必要です。
そうです。あとは、 その商品の顔になる部分だったり、雰囲気、世界観や 見せたいポイントが本当に商品ごとにそれぞれ違うので、そこを伝えられる写真にしたい。 プアアリのイメージ撮影でも、ベースである構図やアングル等が 決まらないと、カットをいくら工夫しても良いと思える写真にはならないので、結構潔く 撮影をやめてしまいます。
はい。気持ちというか、その時のマインドもあります。焦りなんかも結構写真に現れたり するので。 逆に調子の良いときは何時間でも撮影をしています。構図やアングルがバチっと決まり やすい日って不思議とあるんですよね。 このことは生徒さんにも言ってます。 ずっとうまくいかない、嫌な気持ちのまま写真を撮っても、その写真に対する愛が全然 ないので、もし「今日はダメ」と思ったらやめくださいって伝えてます。 そういうこともあるから、全然気にしなくていいんですからね、って。
そういうところまでアドバイスしてくださるのは、実践経験豊富な田澤先生 ならではですね。
このことは、全ての被写体に通じるような、撮影への向き合い方だと思うんですけど、ジュエリーならではの苦労だったり、失敗しやすいポイントは、ご自身が経験してきたことでありますか?
ホワイトバランスや、明るさの加減、色味等が、私も何回も撮った瞬間に 思ってた感じと違ったことで苦労しました。後でパソコンに取り込んで 画像加工をするときに、色味が実物と離れていたり、白飛びしてしまっているのに 気がついたり。その経験を踏まえて、できるだけうまくいくような設定の 仕方などを生徒さんにアドバイスするようにしています。
石は何も知らないとかなり難しいと思います。 石のカットなんかを見せるには、ただ光が当たってればいいというもの じゃないんですよね。 全部のカットを見せようとするとベタっとしてしまったり。透明感のある石は、 奥行き感を見せるのもライティングにコツが必要です。
プアアリの写真撮影を通して学んだこと
ーー雰囲気とか世界観とかをイメージしておかないと、大事な要素の 「構図・アングル・カット」が決まらないので、納得いく写真になりにくい、 ということはプアアリの写真撮影を通して学び、生徒さんに伝えてきている ことだと思うのですが、ご自身で今はどう感じていますか?
私以外に撮影するスタッフもそこが 1 番難しいところだって言っています。 やっている内に、パターンが決まってマンネリ化してきちゃうんですよね。 そこがみんな 1 番悩んでます。
ーーある程度のところまでいくと、皆さん悩まれるんですね。それをどうやって 解消してきたんでしょうか。
普段からとにかく色々な写真を見ることです。常にイメージに合う、理想とする写真 を探し求めながらやっていってます。ネットの画像だけでなく、ハイブランドの 紙パンフレットを参考にしたり。
ーー現役で携わっているからこそ、必然的にそういった情報をキャッチしているんですね。 生徒さんにもこの講座で実践してもらって、それに基づいてアドバイス されているというのは、説得力があります。 そういうことをリアルに丁寧に伝えているのがこの講座のいいところなのかなって いう風に、お話聞いててすごく思いました。
これからは・・・ 一眼レフとスマホ ECサイトとSNS
ーー写真撮影について、新たに取り組んでいることはありますか
スマホの今風の撮り方みたいなのをもう一度改めて勉強しようと思ってます。
ーー今はスマホのスペックもかなり高いと思うのですが、一眼レフとの違いは どう感じてらっしゃいますか。
本当に「今だっ !」て瞬間はスマホでしか撮れませんし、スマホの写真の方が 、 一般的に馴染みがある写真が撮れると思っています。 こういう一眼って写真が綺麗すぎて逆にリアルじゃないので、着用写真など、 リアル感を伝えたい時はスマホで、と使い分けをしています。
ーー自分がつけた時、こんな感じかな?みたいな想像できるような、親しみ感 ということでしょうか。
そうです、イメージしやすい。
スマホと SNS ってやっぱり相性がいいですよね。インスタのストーリーズなんか特に、 しっかり作り込んだっていうよりも リアルタイムのお知らせだったりとか、臨場感 みたいなのを伝えていくっていう 役割があると思うので。 でも、オフィシャルホームページや、特にネットショップは、その商品を購入して もらう場所なので、ちゃんといいカメラで撮った方がいいです。
ーー購入するかどうかを判断するのに、物をしっかり見る場、っていうことだからですね。
そうですね。さらに拡大して見られることを想定して、一眼でしっかり撮影する必要が あります。なので、スマホのスペックがどんなに高くても、特にネットで商品を 販売するならなおさら、一眼レフで撮影した、ピントがしっかり合って細部がわかる、 研ぎ澄まされた写真は必須と言えると思います。
ーー田澤先生、今回は貴重なお話をありがとうございました!! 真剣に生徒さんに寄り添う田澤先生のお人柄と、初心者からブランドの撮影を任される までになった努力家な一面を知ることができました!
お客様に商品やブランドのことを伝える為に欠かせない「写真」。 情報が溢れている今、より一層「質」と「工夫」が求められるようになっています。 その本質を知っているのと知っていないのでは大きな差がついてくるのではないでしょうか。 経験者、しかも現役で活躍中の講師から学べるこの撮影講座。 撮影の基本テクニックはもちろん、それぞれのブランドの表現したいイメージに沿った アドバイスをしています。 ネットや本の知識だけでは得られない、マンツーマンならではのサポートが、多くの生徒さん に支持されているのもうなずけます。