ルースを自分でジュエリーに加工してみた!
天然石・鉱物好きのみなさん こんにちは。
ミネラルショーや石屋さんのイベントなどで手に入れたお気に入りのルースや原石たちを目を細くして眺めるのもいいのですが、そろそろたくさん集まって来たしどうすればいいかな?なんて考えている方も少なくないのではないでしょうか?
今回の記事ではまず初めに原石から研磨機を使ってルースを作るところを解説し、その次にはその研磨した石を使ってジュエリーとして自分で加工をするやり方をお伝えします。
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ルースの魅力
ルースとは、裸石(はだかいし)といって、ジュエリーになっていない”石だけ”の状態のことです。
そもそも、みなさんの好きな宝石とはどういう石を指すのかご存じですか?
宝石と呼ばれるには約5000種ある鉱物の中からいくつかの条件をクリアした30~120種の鉱物がその候補に上がります。
鉱物は数万年・数十億年という途方もない時間をかけて、地球の地下深くで起こる地殻変動の力や、マグマや海水による温度変化といった過酷な地球の環境変化によって奇跡的に作り出されたものです。
その中でも自然界で作られた石は全てを”天然石”と言えますが、さらに美しさ・耐久性・希少性などの条件を満たしたのものが宝石と呼ばれています。
ルースに加工する方法
原石からカットをするにはファセッターという機械を使ってカットをするのですが、その前に、
大事なのは原石をよく観察してからどこを宝石の”顔”にするのかを決める事です。
”顔”とは、
宝石が一番初めに見られる場所となり、研磨する人にとっては一番見せたい場所になります。原石をぐるぐると回して色々な角度から眺めてみて、自分がどんな形を作りたいのか想像して決めていきましょう。
ここで基準となってくるのは形をイメージすることも大事なのですが、その石の特性を理解することです。
石の中には特殊効果を持っているものもあります。
シャトヤンシー(猫目)、スター(アステリズム)、プレイオブカラー(浮遊)、シラー、カラチェンジー(変色)、多色性といった効果を持っている石ではこういった魅力が伝わるようにして、カットしていくと良いでしょう。
例えば、タイガーアイやクリソベリルはキャッツアイ効果、プレイオブカラーはオパール、タンザナイトは多色性といった石があります。
モース硬度・劈開方向・インクルージョンの有無やその石が持つ特有の性質などから判断しましょう。
モース硬度とは
1から10までの硬さの基準となり、2つの石をこすり合わせた時に傷がついた方が柔らいという事になり、数字が小さく表されます。
世界で最も硬いダイヤモンドはモース硬度が10というのは有名な話ですね。
ちなみに、このモースという言葉は1812年にドイツの地質学者・鉱物学者のフリードリッヒ・モースによって開発され200年以上たった現代でも使い続けれらています。
宝石以外の硬さの基準としてもつかわれているこのモース硬度も、ルースの硬さがわかる事で使用できる工具を選ぶ事が出来ます。
鋼鉄で作られているヤスリの硬度が7.5となりますので、8以上あるものは金属で傷をつけることが出来なくなっています。
モース硬度が8以上の宝石は、トパーズ(8)、コランダム(9)、ダイヤモンド(10)があげられます。
ちなみに、人間の歯の硬度は7あるようです。結構硬いですね。
劈開方向(へきかいほうこう)とは
割れやすい方向になります。
モース硬度が10のダイヤモンドでもこの劈開方向を理解する事で加工が出来ます。
その方向も石によって1方向しかない石、4方向ある石、また劈開方向がない石もあります。
劈開方向がない石には水晶があげられます。
水晶はアメシスト、シトリン、スモーキークオーツ、ローズクォーツなど様々な色があり先程あげたモース硬度も7と程よい硬さがあるので研磨には向いている宝石と言えます。
劈開方向(へきかいほうこう)とは
割れやすい方向になります。
モース硬度が10のダイヤモンドでもこの劈開方向を理解する事で加工が出来ます。
その方向も石によって1方向しかない石、4方向ある石、また劈開方向がない石もあります。
劈開方向がない石には水晶があげられます。
水晶はアメシスト、シトリン、スモーキークオーツ、ローズクォーツなど様々な色があり先程あげたモース硬度も7と程よい硬さがあるので研磨には向いている宝石と言えます。
インクルージョンとは
石の中に入っている様々な内包物のことを呼び、この内包物があると光の透過性が悪くなり、透明度が下がります。ルースはこの透明度が高い方が価値が高いとされています。
しかし最近では、この内包物も一つの個性という認識が広がってきているので、そのインクルージョンを活かしてカットしていく場合もあります。
ルチルクォーツ、デンドリティッククォーツ、モスアゲートなどガーデンクオーツとも呼ばれ、インクルージョンをその景色と見立てて楽しむファンも増えています。
インクォーツ系とも呼ばれ、幻想的な雰囲気を使いジュエリーに仕立てられたものも多く見かけるようになりました。自分で加工するときにはインクルージョンをよく観察し自然の模様を活かして加工していきましょう。
今回はクォーツ(水晶)を使って加工します。
クォーツのモース硬度は7、宝石研磨機でカットして行くには程よい硬さで、劈開方向はなく、クリアなものはどこからでもカットをして行けるでしょう。
しかしクォーツには様々なインクルージョンが入っている場合があります。
宝石研磨機を使ってルースを作ってみよう。
ここからは、地球の奇跡によって産まれた原石を自分の手で研磨をし、最大限に美しく仕上げたルースの作り方からお伝えします。
それではここから実際に宝石研磨機を触っていきたいと思います。 こちらが実際に使う宝石研磨機です。
ターンテーブルのようにクルクルと回転する台と、目盛りが付いた金属の棒があります。基本的にはこの2種類で出来上がっていて非常にシンプルな構造です。 クルクルと回転する台の上には石を削る為の砥石をセットして使います。
また目盛りが付いた部分は“ファセッター”と呼ばれ、棒の先端に石を取り付け角度と高さを設定する事が出来ます。
これがブリリアントカットのような “ファセッットカット”と呼ばれる形状に研磨できる道具です。
今回カットしていく形はローズカットというファセットカットのひとつです。
ローズカットはアンティークジュエリーで使われている事が多いカット方法の1つで、薔薇のつぼみの様な形からその名が付けられたと言われています。
現代のダイヤモンドで主流なブリリアントカットも、このローズカットから派生したカット方法で、最近でもアンティークな雰囲気がある為にダイヤモンド以外でもこの形を施している石を見る事が出来ます。
”ファセット”とは平な面のことを呼びローズカットは3段から構成されていてローズカットは合計で24のファセットがあります。
【STEP1】まずは石の取り付けから
①
オイルランプの火を使いドップワックスというベタベタした蝋の様な材料を使って棒に石を取付けます。
②
石を真っ直ぐに取り付けるところがポイントです。くるくる回しながら中心に持ってくる事が出来たら、今度はしっかりとファセッターに固定します。
③
ファセッターの目盛りを指定された高さと角度に合わせたら、いよいよ削りに入ります!ここまでの設定をしっかりやっていないと後々さらに後悔をする事になるので我慢の時です。
【STEP2】研磨作業
ドップ棒に付けた後は、 トップの中心にある6面の三角形から削ります。ライト画面から見える一番高い面です。
荒削りから磨きまでおこない、続いて2段目は角度を変え1段目に接する6面を作ります。
毎回荒削りから仕上げまで1面1面作っていきます。そして最後の3段目のファセットは2段目に接する12面をそれぞれ研磨し完成となります。
まずは実際に見ていきましょう。
④
回転台に砥石をセットして1番最初の面を削って行きます。緊張の一瞬。 。
石が砥石に当たった瞬間にカリカリカリッと、削られている感覚が手から伝わって来ます。
石が砥石に当たって削られる独特の音と、一定の振動が程よく手に伝わって来て集中して自分の石と向き合う事が出来ます。
1段目を削り終わった様子がこちらです。 曇っているのでしっかり磨くと、、、
⑤
形がはっきりと見えて輝いてきました。
⑥
続いて2段目を削ります。
1段目の6枚のファセットに接している面が2段目の磨いたファセットになります。 段々と立体的に見えて来ましたね。無心で3段目も磨き続けます。
⑦
全ての面を削って、磨いての、繰り返し繰り返しです。
ローズカットは一面一面輝き出してくると三角形がきれいに見えてきます。
完成しました!
なかなかキレイに出来ましたね!初めてだと4時間ほどかかりますが、慣れてしまえば1時間あれば作れてしまいます。
ローズカットは三角形のみで構成されてるために他のカットと比べると基準が少なくはじめは苦戦しますが、お互いのファセット同士がピタッと合わさった瞬間は静かにガッツポーズがでるくらい嬉しいです。
ラヴァーグジュエリースクールの天然石研磨体験ではファセットカットではなく丸いカボションカットを自分で加工する事が出来ます。
カボションカットとは丸いドーム状のルースでこの体験でも宝石研磨の基礎的な作業のやり方を学べます。
興味のある方はこちらから是非チェックしてみてください。
自分自身の楽しみ方を見つけられた瞬間の喜びは、新しい事を始める原動力な気がします。
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天然の原石から、研磨技術を学んで宝石へと育て上げていく技法を習得するコースです。
初歩的なカットから、ブリリアントカットなどの複雑なカットまで一通りの技法と石の特性知識を身に着けることが出来ます
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彫金の技法を使ってジュエリーに加工してみよう
さて続いては研磨したルースをジュエリーにする為のベースとなる、枠の加工をします。
彫金とは、金属を加工して商品を作っていく技術のことです。
金属を切ったり火を使って溶接したり磨いたり、この彫金の技術を覚えてしまえばジュエリーとして完成した商品を制作可能になり販売もしやすくなってきます。
研磨した石をどんな風にジュエリーに仕立てようかなぁ?なんて想像するとワクワクして来ませんか?この記事を読んでいるあなたにも是非この楽しさを味わって頂きたいです。
【STEP 1】まずはデザインから
ローズカットにアンティークな雰囲気があるのでその雰囲気に合わせて、ヨーロッパに古くからよく登場する装飾を入れたデザインにしていこうと思います。
装飾として入れるのはミルと呼ばれる形。
ミルとは小さな粒々の装飾のことで正式な名前はミルグレインと呼び、ラテン語で「千の粒」という意味です。
この装飾があることによって石の周りが柔らかく華やかにきらめき、ルースをより引き立ててくれるのでシンプルなデザインでも印象的に仕上げる事が出来ます。
デザインが決まったところでベースとなる枠の制作 です。ここからは彫金の技法を使って石枠の制作をしていきます。
【STEP 2】 石枠の制作
このような真っすぐな板状のシルバーの材料から、2種類のパーツを作ります。
1つはルースが乗るパーツと、もう1つは石を留める(固定されるためのベースの)パーツです。
その2つをくっ付けてこんなパーツになりました。 この石が収まるパーツのことを石枠といいます。
【STEP 3】いよいよ石留めです
彫金技法では基本的に接着剤は使いません。金属の特性を活かし石留めします。
ここで登場するのがミル鏨(たがね)と呼ばれる鉄の棒ですね。
すごく小さいのですが、よーく見ると先端が丸く窪んでいるのでルーペで観察をしながら石枠に押し付ける事でミルの粒々が出来上がってきます。
やり方は、石が固定された周りの壁をミル鏨を使い押しつぶします。そうすることでルースが飛び出ることなく石枠に固定される。
というやり方です。
石枠の周りにすべてミルが入ったら最後に磨きをかけて完成となります。
どうでしょうか、アンティークな雰囲気は出ていますか?
ミルを入れることで石の周りもキラキラと輝いてより華やかな印象になります。
原石からルースを自分で加工し、ジュエリーに仕立てるまでの工程でした。
まとめ
ラヴァーグジュエリースクールでは、いままで工具も持ったことがないという初心者の方でも今回のようなジュエリーが作れるような、しっかりしたテキストを用意しているので安心して制作に取り組むことが出来ます。
天然石研磨コースと彫金コースを同時に受講すると今回のようなジュエリーを自分の手で作ることが出来るようになるので、まずは体験からスクールの雰囲気を感じながらもの作りの楽しさを自分の目と手で感じて下さい。
最後に
最近ではルースと枠を自分で選びジュエリーとして気軽にカスタムオーダーが出来るブランドも多く見られる様になりましたね。
世界五大宝石と言われる、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド、パール以外にも今まではあまり目にする事の少なかったバイカラー(2色)のルースやダブレット・トリプレットと呼ばれる異なるルース同士を貼り合わせた石もジュエリーとして目にするようになり日々宝石の魅力、価値観も変化しているのを感じます。
自分の手でルースから選び加工する事で、一つのジュエリーとして完成させていく楽しさを是非とも体験して頂きたいです。
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