ゴールドのジュエリーはK18やK14といった純度だけでなく、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドなど、地金の色を選ぶことも楽しみのひとつです。
あまり知られていませんが、ゴールドには他にもレッド、グリーン、グレーなど、さまざまな色が存在します。
なぜゴールドの純度や色には、たくさんの種類があるのでしょうか?また、日本人に似合うゴールドの色は、どれなのでしょうか?金種について詳しく知ることで、これらの疑問を解消しましょう。
ゴールドの純度の計算方法
ゴールドを選ぶ際、まず気になるのがK18やK14といった金の純度ではないかと思います。
金の純度は金比率と呼ばれ、24を100%とする24分率で計算します。
つまりK18は「18 ÷ 24」なので金比率75%、K14は「14 ÷ 24」なので金比率58%ということです。
また、K24は純金を表します。
割り金(ワリガネ)とは
ゴールドは純金のままだと柔らか過ぎるため、他の金属を混ぜて金合金にすることで扱いやすくしています。
ゴールドに混ぜる他の金属のことを割り金といいます。
割り金には、ゴールドの使用量を押さえて価格を調整したり、ゴールドに色を付けたりする役割もあります。
カラーゴールドの定義と種類
ゴールドの色は、割り金として使用する金属の種類や比率によって変わります。カラーゴールドというのは、この割り金による色の変化を生かしたものです。
一般社団法人 日本ジュエリー協会では「ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定2017(平成29)年度改訂版」において、カラーゴールドを「地金本体が色相を持つ金合金」と定義しています。めっきやコーティングなどで表面だけが色付けされたゴールドは、定義上カラーゴールドとは呼べません。
また同規定では、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、レッドゴールド、グリーンゴールド、グレーゴールドの6種のみ、色の基準値や色名、色調を表す記号の表記方法を定義しています。
他の色調の金合金は「その他のカラーゴールド」に分類され、細かい定義が無いことから、色の基準値や表記方法は各ブランドによって異なります。
これらのポイントを踏まえて、カラーゴールドの色や特徴について解説していきます。
イエローゴールド
色調を表す記号:YG
主な成分:金、銀、銅
イエローゴールドは一般的に「金色」と呼ばれるような黄色みがかった金合金で、金比率が高くなるほど黄色が強くなります。割り金に使う銀と銅の比率は6:4~4:6ですが、銀が多いほど黄緑色に近くなり、銅が多いほどオレンジ色に近くなります。
ゴールドは化学変化を起こしにくく、食品添加物としても使うことができるほど安全性の高い物質です。そのため金比率の高いK18以上のイエローゴールドは、劣化や変色、金属アレルギーの心配がほとんどありません。
イエローゴールドに苦手意識がある人は、黄色みが控えめなK14やK10、あるいは華奢なデザインのものを選ぶと、しっくりくるかもしれません。
シャンパンゴールド
色調を表す記号:なし
主な成分:金、銀、亜鉛、パラジウム
シャンパンゴールドはゴールド75%に、銀、亜鉛、パラジウムなどの白色系金属を25%添加した、わずかに黄色みのある金合金です。
上品で肌なじみのいい色であることから、ジュエリーではピンクゴールドと並んで人気が高まってきています。
グリーンゴールド
色調を表す記号:GRG
主な成分:金、銀
グリーンゴールドは割り金にシルバーのみを使用し、やや青みを帯びた緑色をしています。日本では青割り、青金とも呼ばれています。
グリーンゴールドは非常に柔らかいのが特徴です。硬さを表すビッカーズ硬度でいうと、K18イエローゴールドが140Hv程度なのに対し、グリーンゴールドは40Hv程度と1/3以下の柔らかさです。
そのため、ジュエリーの地金として使われることは珍しいのですが、グリーンゴールドの指輪やアクセサリーは、個性やこだわりを求める人たちから人気があります。
ピンクゴールド
色調を表す記号:PG
主な成分:金、銀、銅、パラジウム
ピンクゴールドは海外ではローズゴールドとも呼ばれ、割り金に使われている銅の色により、やや赤みがかった色調をしています。銅の比率が高いと濃いピンク色になり、低いと薄いピンク色になります。
若い女性向けという印象もあるピンクゴールドですが、色調に幅があるため、薄いピンク色のものを選べば年齢や性別に関係なく馴染みます。
銅を多く含むピンクゴールドには、硬く割れやすい、化学変化を起こしやすいといった欠点もあります。そのため、結婚指輪や婚約指輪などにピンクゴールドを使用する際は、サイズ直しが難しいことや、年月や生活環境などにより変色しやすいことも考慮しなくてはいけません。
レッドゴールド
色調を表す記号:RDG
主な成分:金、銅
レッドゴールドは割り金に銅のみを使用した、赤みの強い金合金です。日本では赤割り、赤金ともばれています。
ピンクゴールドよりも銅の比率が高いことから、硬くて加工が難しく、ジュエリーとして使われることはほとんどありません。
ホワイトゴールド
色調を表す記号:WG
主な成分:(ニッケル系)金、ニッケル、亜鉛、銅/(パラジウム系)金、銀、パラジウム
ホワイトゴールドはプラチナやシルバーと並んで人気がある白色系の貴金属ですが、本来は、わずかに黄色みがかった色をしています。
一般的には、脱色用の金属(漂白材)としてニッケルを使用するものはハードホワイトゴールド。
パラジウムを使用するものはソフトホワイトゴールドと呼ばれることがあります。
ハードホワイトゴールドは鮮明な白色ですが硬くて加工がしにくく、ソフトホワイトゴールドは白さはハードに比べて若干劣りますが、柔らかく加工しやすい特徴があります。
ヨーロッパではニッケルが金属アレルギーの原因となるため、「ニッケルに関するヨーロッパ指令」により一定以下に規制されています。
日本国内では特にニッケル含有貴金属についての規制はありませんが、ヨーロッパから輸入されるホワイトゴールドジュエリーはこのヨーロッパ指令をクリアしたもので、ほぼ5〜7パーセントの含有率となります。
ただし、ニッケル系ホワイトゴールドのジュエリーもアンティークやヴィンテージとして流通していることがあるので、金属アレルギーを持つ人は注意が必要です。
ちなみに、ホワイトゴールドの漢字表記は白色金です。似たような表記ですが、白金はプラチナのことで、ホワイトゴールドとは別物です。
グレーゴールド
色調を表す記号:GG
主な成分:金、鉄
グレーゴールドは割り金に鉄のみを使用し、黒みがかった白色をしています。
ロジウム等でめっきをしたり表面を酸化させたりして、ブラックゴールドという色名で販売されていることがありますが、これらは表面的な色付けになるためカラーゴールドの定義には当てはまりません。
その他のカラーゴールド
ここまで紹介した以外にも、ゴールドにはインジウムやガリウムを添加したブルーゴールドや、アルミニウムを添加したパープルゴールドなど、さまざまな色が存在します。
これらは現時点では珍しい色の金合金ですが、技術の進歩により、今後ジュエリーの地金として当たり前になる可能性もゼロではありません。
日本人に似合うゴールドの色って?
ゴールドの色を選んでいる際、「日本人にはピンクゴールドが似合う」といった話を聞いたことはありませんか?一方で「イエローベースが多い日本人にはイエローゴールドが似合う」や、「日本人でもブルーベースの人にはホワイトゴールドが似合う」といった意見もあり、どれが正しいのか悩んだ人も少なくないと思います。
結論としては、日本人なら誰でも似合うゴールドの色というのはありません。なぜなら似合う色、似合わない色というのは、肌の色だけでなく年齢や顔立ち、ファッションのテイストなど、さまざまな要素が関係するからです。
また、ゴールドは純度と色の組み合わせにより、数多くの種類が存在します。その中から自分にぴったりの金種を選ぶには、色だけでなく耐久性や金属アレルギーなどについても考えなくてはいけません。
ブランドによっては、ここで紹介した以外の割り金が地金に含まれていることもあります。ショップスタッフや問い合わせ窓口に確認するなど、ぜひ自分自身でもよく確かめ、似合うゴールドの色を見つけていきましょう。