紳士の誇りであったシグネットリング その歴史と愛されてきた理由

紳士の誇りであったシグネットリング
その歴史と愛されてきた理由

5000年以上の歴史を持つシグネットリング
近年、シグネットリングの人気が高まっています。
台形型のシンプルなデザインは「男女問わず身につけられる」としてユニセックスジュエリーの代表的存在になっています。

シグネットリングとは?その知られざる歴史

今ではファッションジュエリーとして現代のスタイリングに定着したシグネットリングですが、実は5000年以上の歴史持つ由緒正しいジュエリーなのです。

シグネットリング「Signet Ring」は、別名カレッジリング、インタリオリングと呼ばれています。
日本では印台リングとも呼ばれ、刻印があるデザインと無刻印のデザインがあります。

シグネットリングの”シグネット”は「公式目的で使用される小さな印」を表していて、その昔は王族や貴族が自分の権威を表すために使われていました。

なぜ、権威の象徴なのか?
そして貴族だけではなく王族もシグネットリングを利用していたのか?

次項ではシグネットリングがどのような経緯で身につけられ、ジュエリーとして発展したのか、その歴史的背景を紐解いてみましょう。

紀元前3500年 メソポタミア文明に始まったシグネットリング

シグネットリングの始まりは、紀元前 3500年頃、メソポタミア文明の時代だと言われています。
この頃はまだ指輪ではなく、ローリングシーリングといわれる筒状のものでした。
筒の表面に絵柄を彫り、粘土の上で転がしてスタンプのように使っていたようです。

 

このローリングシーリングは、現代の判子の役割を果たしていてメソポタミアの人々にとって書類や商品の有効性を表す大切な印でした。
遠くの国に物品を運ぶときにも、この印を押していたそうです。

筒状のローリングシーリングがリング状に変化したのが古代エジプト時代と言われています。当時の指輪はファイアンスリングと呼ばれています。リング状になったことで「これは自らが認めた印である」という意味合いが強まりました。それによりファラオや貴族、宗教的指導者が自らの権威を表すために身につけるようになります。

 

その後中世に入り、14世紀のイングランドの国王エドワード2世が全ての公式文書に国王のシグネットリングで署名すること定めました。
これにより、シグネットリングは上流階級には欠かせないものとなったのです。初めは絵柄が彫ってあったシグネットリングですが、この頃には家紋やイニシャルなどが彫られるようになり、手紙や重要な書類に頻繁に用いられるようになりました。
当時は溶かしたシーリングワックスにシグネットリングを押し込むという方法で印を押しており、シグネットリングのワックスは多くの歴史的文書から見つかっています。

 

当時のシグネットリングの効力は絶大で、シグネットリングの持ち主が亡くなった後は死後に文章の偽造をされないように破壊していたほどでした。
しかし代替わりのたびにオーダーメイドするには莫大な費用がかかるため、徐々に父から息子へと代々受け継がれるようになります。王族や宗教的指導者など、本当に裕福な階層だけが一代限りの専用シグネットリングを持っていました。

紀元前3500年 メソポタミア文明に始まったシグネットリング

その後時代が進むと、シグネットリングは「証明」という役割から、身につけることで地位や身分を表すジュエリーへと変貌していきます。
当時の紳士はジュエリーを身につける習慣がありませんでした。紳士が忌み嫌ったものが「軽薄さ」と「気まぐれ」であり、そのため身なりについても、派手な装飾品をつけることは許されていなかったのです。
真の紳士は控えめで、実用性のあるものだけを身にけることが習慣となっていました。
そのためネックレスやブレスレットはもちろんのこと、紳士は結婚指輪さえもつけていなかったのです。
女性は身なりが美しく華やかであることが重視され、男性は身なりが実用的で控えめであることが重視されていたのです。
そんな紳士が身につけることを唯一許されたジュエリーがシグネットリングだったのです。

 

シグネットリングの柄は家紋やイニシャルといった紋章から次第に宝石をつけるという風潮に変わっていきました。
シグネットリングで身分を表すという実用性ではなく、宝石をつけることで財産としての価値が重視されるように変化していったのです。
そうして現代のファッションジュエリーとしてのシグネットリングが誕生します。

 

現代のシグネットリングは権威を表すという意味合いはもうありませんが、今でも多くの紳士から愛されています 
現代の紳士として知られるチャールズ皇太子もシグネットリングをつけていることで有名です。

現代でもシグネットリングが愛されている理由

・デザインがシンプルで品がある

シグネットリングのデザインはイニシャルなどの刻印があるものと、無刻印のデザインに分かれます。どちらにしてもデザインはシンプルなものが多く、身につけることで上品な印象を与えます。

・男性と女性、どちらも楽しめる

元々は紳士のジュエリーであったシグネットリングですが、現在は女性でも使えるファッションジュエリーとして愛されています。恋人同士でお互いのシグネットリングを交換して使ったり、ユニセックスジュエリーとして楽しめることが人気になっています。

・カジュアルファッションに合う

シンプルでどんなファッションにも合わせやすいのもシグネットリングの特徴です。とくに今流行のカジュアルファッションはシグネットリングとの相性が良いです。甘すぎず、ゴツゴツ感も少ないシグネットリングはファッションでもちょうど良いアクセントになります。

シグネットリングを楽しむ

・左手の小指につける

中世の紳士達は決まってシグネットリングを左手の小指につけていました。
左手の小指につけていた理由は諸説がありますが、小指には宗教的意味がなかったためといわれており、利き手の反対の手につける風習から左手の小指になったそうです。
もちろん、現代のファッションジュエリーには小指用だけでなく、様々なシグネットリングが出ています。

・こだわりのデザインにする

シグネットリングはもともと、家紋やイニシャルをスタンプする印鑑のような役割でした。シグネットリングを押すことで、「私が確かに確認しました」という意味があり、自分の意志を表明するためのリングだったのです。
現代では無刻印のシグネットリングもたくさんありますが、
中世の紳士は自分のイニシャルが彫刻されたシグネットリングを好んで身に着け、誇りに感じていたそうです。

 

 

シグネットリングまとめ

約5000年以上前のメソポタミア文明から現代まで、人々に愛され続けるシグネットリング。今ではそのシンプルで上品なデザインに男女問わず人気のジュエリーとなり、多くのジュエリーブランドから展開され、トレンドとなっています。

 

しかし、元々のシグネットリングは、ただの装身具ではなく、重要な役割を担うアイテムとして大切にされてきました。

 

中世の紳士にとって、シグネットリングは唯一身につけることを許された指輪であったこと。
エドワード2世の代で全ての公式文書にシグネットリングの署名が必要になってからは、公式な自己証明としてシグネットリングが欠かせないものになったこと。

 

家紋やイニシャルの彫られたシグネットリングを身につけることが、紳士の誇りでありステータスを証明するものであったこと。

 

シグネットリングとは、紳士が誇りを持って身に着けていた「メンズリングの起源」とも呼べる歴史のあるアイテムだったのです。

 

 

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