ジュエリーを制作するのに様々な道具を使っています。今回はその中でも「ヤスリ」についてピックアップしてご紹介します。
ヤスリの特性を知ってしまえば、今のジュエリー制作が何倍も綺麗に早くすることが出来ます。
あなたに合ったヤスリを見つけてもらうための参考になれば嬉しいです。
ヤスリを使用する場面
ヤスリは主に地金を削り出して好きな形にしたり、整えたりする時に使用します。
ヤスリには必ず粗さの種類が決まっていて、用途に合わせて選びます。
粗いものから細かいものへの順番でかけていくのが基本です。
ヤスリの種類
ヤスリと一言で言っても、とにかく沢山の種類があります。
ジュエリー制作でよく使われるものを使用用途と一緒に解説していきます。
紙ヤスリ(ペーパーヤスリ・サンドペーパー)
≪使用用途≫
- 平らな面を出したいとき
- 棒ヤスリなどに合わせて切って両面テープで紙ヤスリを貼り、細かい部分などを整える
スポンジヤスリ
≪使用用途≫
- 銀粘土やロストワックスなどに主に使用する場面が多い
- 曲面が多い作品など
ダイヤモンドヤスリ
様々な形状のものにダイヤモンド砥粒を塗布したもの。
鉄工ヤスリでは削ることが困難な金属に使用する(超硬金属や一部のステンレスなど)
≪使用用途≫
- 道具の加工
鉄鋼ヤスリ(全ヤスリ)
鋼などに目立て(ヤスリで削る部分)をしたもの。ジュエリー制作においてメインで使用するのがこの種類のヤスリ。
4種類の粗さがあり
荒(粗)目(あらめ) → 中目(ちゅうめ) → 細目(さいめ)→ 油目(あぶらめ)
の順番で細かくなっていきます。
荒(粗)目
中目
油目
鉄工ヤスリについて
鉄工ヤスリにも実は色々な種類があります。まず大きく分けて3種類に分けます。
インチヤスリ
組ヤスリ
…鉄工ヤスリのなかで一番使われるのがこの組ヤスリです。この「組」というのは「セット」という意味ではなく、大きさを表すものものです。
- 5本組 215mm
- 8本組 200mm
- 10本組 185mm
- 12本組 170mm
決まった量の鋼から何本のヤスリを作れるのかというのが指標となっています。1つの鋼から10本作れば10本組となります。なので、組数が大きくなるとヤスリの大きさは小さくなるのです。
もちろんこの組はセットという意味では無いので、単品でも購入出来ます。
精密ヤスリ
…組ヤスリよりもヤスリ目が細かくて薄いです。
番手の表記も変わります。
#0 → #3 → #6 といったような数字表記になります。
数字が大きくなると細かくなるため、精密ヤスリも組ヤスリと同じく組で大きさが分かれています。
極細ヤスリ
…その名の通り小さくて細いヤスリです。
目の表記はインチヤスリや組ヤスリと一緒です。
細かい隙間などに用いられることが多いです。
ヤスリの形状
ヤスリには様々な形状があり用途に合わせて選びます。まず形状の種類からご紹介します。
この表のように組数が増えれば増えるほど形状の種類も増えていきます。
用途に合わせて形状を選ぶのはもちろんですが、その中でも自分の使いやすいもの・自分に合ったものを探すのも楽しみの一つです。
ヤスリ目の種類
ヤスリには粗さの他に目の種類というのが存在します。特徴を知って間違ったものなどを購入しないようにしましょう。
単目
仕上げ面が綺麗になる反面ヤスリ掛けの時に横滑りする特徴があり扱いが少し難しいです。削るというより鉋(かんな)で削いでいるような感覚が特徴でもあります。
複目
ジュエリー制作で最もよく使用されている目の種類がこの複目です。丈夫で万能な目なので、この目のヤスリを購入するのがオススメです。
波目
直線の目ではなく円弧状の目が入っています。金属に対しての食い込みは甘いですが目詰まりしずらい。主にアルミニウムなどの軟金属を削るのに適しています。
鬼目
大根おろしみたいに1つ1つが山になっている目です。削る量は多いのですが摩耗も早いので木材や石膏などの軟らかい素材に適しています。仕上げ面はかなり粗いです。
ヤスリの選択
ヤスリを選ぶ際の基本的なポイントをご紹介します。
① ×
地金に対して赤いライン部分が多いとヤスリが左右にブレてしまってまっすぐに削れないのでNG
② ×
地金に対して赤いライン部分が余ってしまうと数回に分けて削らないといけないのでNG
③ ◎
地金に対してヤスリの大きさが少し大きいくらいがBESTです!
削りたいものの形状に合わせて選びましょう。
アールの内側を削るときは平ヤスリだと角が当たってしまって思うように削れないので、丸い形状(丸・半丸・腹丸・両甲丸・ハマグリ)を選ぶと綺麗に削れます。
お手入れ
ヤスリを使用したら必ずお手入れもしましょう!
ヤスリには必ず目というものがあります。その目と目の間に地金のカスが詰まってしまいます。カスが詰まったままだと切削力が半減してしまいます。切削力が半減してしまうと作業効率が落ちてしまいますので、使用前や使用後は必ずお手入れをしましょう。
・真鍮ブラシなどを使ってカスを取る。
目の向きに沿って歯磨きをするようにカスを取り除きましょう。
ブラシでも取れない場合はヤスリ目に沿ってカッターや針などで地金カスを一列ずつ取りましょう。
※しばらくヤスリを使用しない場合は、ヤスリは水分を含むと錆びてしまうので、長期間使用しない場合はサビ止めや油を塗布しておきましょう!
まとめ
今回はヤスリについてご紹介してきました。
ポイントを押さえて自分に合ったヤスリを見つけて作業効率を上げてジュエリー制作をもっと楽しくしてもらえれば幸いです。
- ヤスリの種類 … どんなものを削りたいのか(金属なのかWAXなのか)
- ヤスリの大きさ … 商品の大きさ、削りたい面の大きさに合わせる。
- ヤスリの形状 … どんな形に削りたいのか・削りたいものにフィットしているか。
- ヤスリの粗さ … たくさん削りたいのか・鏡面に近づけたいのか。
ヤスリは押したときにしか削れません。引いた時には削れず道具を痛めるので注意!
お手入れも忘れずに!目が詰まってしまうと切削力が半減。=作業効率半減。
以上のポイントを理解できればあなたもヤスリマスター!
技術だけではなく、道具を正しく使えれば一段上のクオリティーを目指すことが出来るので頑張って勉強してみてください!