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ジュエリー用語「ロウ付け」

金属と金属をロウと呼ばれる合金を接着剤として溶接する(くっつける)工程をジュエリー加工ではロウ付けと呼びます

金属と金属をロウと呼ばれる合金を接着剤として溶接する(くっつける)工程をジュエリー加工ではロウ付けと呼びます。
地金によってバーナーを使い分けたりします。ジュエリーで主に使われている2つを紹介すると

①ブローパイプ(一般的)
都市ガスorプロパン + 空気(コンプレッサー使用)
=主にシルバーやゴールドに使用されることが多い

②酸素バーナー
都市ガスorプロパン + 酸素
=主にプラチナや地金の溶解に用いられる。

ロウ付けの仕組み

金属とロウ材の融点(物が溶ける温度)の違いを利用して溶接していきます。

例えばシルバー925の場合
シルバー925の融点が約915℃ぐらいで
銀ロウ(銀、銅、亜鉛を主成分とする合金)の融点が
約820℃~約620℃になります。
※温度に幅があるのは銀ロウの種類によって違うので慣れてきたらここも意識すると加工がスムーズにいきます。

この温度差を利用する為、シルバー925を温めていれば自然と銀ロウが先に溶け、くっつけることが出来ます。

ロウ付けの大敵「酸化」

シルバーやゴールドは火を当てると酸化していく性質があります。
「酸化皮膜」「酸化膜」とも言います。


酸化した金属はロウ付けが難しいです。油と水を混ぜるみたいなものです。
溶けたロウ材が金属組織の隙間に流れようとするのですが酸化膜が邪魔してくっついてくれなくなります。


火を当てながら酸化膜を除去する必要があり、それを助けてくれるのが「フラックス」と呼ばれるペーストです。
これをロウ付けする部分に塗ると金属の酸化を防いでくれます。

実際のロウ付け風景

リングに縦に切れ目があり、そこをロウ付けしていきます。

リングに縦に切れ目があり、そこをロウ付けしていきます。

ロウ付けをする部分にフラックスを塗ります。

ロウ付けをする部分にフラックスを塗ります。

この小さいチップがロウ材になります。だいたい1mm角ぐらいの大きさです。

この小さいチップがロウ材になります。だいたい1mm角ぐらいの大きさです。

銀ロウをくっつけたい部分の上に置きます。

銀ロウをくっつけたい部分の上に置きます。

火を当ててロウ材を溶かします。

火を当ててロウ材を溶かします。

溶けるとこんな感じに周りは酸化して黒っぽくなり、ロウ付け箇所は白っぽくなります。

溶けるとこんな感じに周りは酸化して黒っぽくなり、ロウ付け箇所は白っぽくなります。

薬品に漬けて酸化膜を落とします。ここから磨いてピカピカにしたら完成です。

薬品に漬けて酸化膜を落とします。ここから磨いてピカピカにしたら完成です。

ロウの量とは

接合面の広さと物と物の隙間具合によって変わります。

●狭すぎてもロウが解けて流れる隙間がなく、流れない
●広すぎてもロウが多くなって脆くなる。

Bestはリングのロウ付けでいうと髪の毛1本分くらい。


下の図の赤い面の部分がロウで満たされる量であればOK!

それぞれ面積が違うので、ロウ材の大きさも変わります。それを想像してロウの大きさを決めていきます。
かと言って、小さすぎて目視できなければ意味が無いので、ある程度肉眼で確認できる大きさにしましょう。

実はあまり知られていない!?フラックスの役割

まず、大きく3つの役割があります。

フラックスの3段階の変化を掴む

スクールで使用している一般的なペーストタイプを例にします。

ペーストを塗る→火を当てる→①ブクブク膨らむ→②粘性がある状態(ドロドロ)→③サラサラ状態(重要)

③を見極めることが重要です。
ポイントはシルバーで例えると、火を当てると黒く酸化した状態から③の状態になると地金が白っぽくなる。

「濡れ状態をキープする」がここからスタートします。

③を超えると乾いた状態になってしまい、これもロウが流れません。

固定方法

特に決まり事は無いのですが2つほど重要なポイントがあります。

●ロウ材が解けたところがしっかり確認できる。
●接合部を境にAとB均等な温度にしやすい。(火を当てられる向き)

この向きだとAの方が温度が高くなりがち。
この向きだとA・B均等に温めることが出来る。

ロウ付けの火の大きさ

上記の①②③の範囲が狭くなったことで①の部分だけ当たり続け、高温になり、結果溶けてしまうことが多いです

まずはこれを理解!!

●火の大きさのコントロール●

ガスと空気をコントロールできれば、小さいもののロウ付けも怖くありません。
よくやりがちなのが、ロウ付けするものが小さいからと言って火を細くしてしまって、結果溶けてしまう。。。
原因は火を小さくしたことによって上記の①②③の範囲が狭くなったことで①の部分だけ当たり続け、高温になり、結果溶けてしまうことが多いです。

そうならない為には、ま火の大きさのコントロールを意識してみましょう!

ガス → 火全体の大きさ

空気 → 火の細さ

ガス多い  →大きくなる。
ガス少ない →小さくなる。

空気多い  →火を細く出来る。
空気少ない →火を太く出来る。(ゆらゆらの火)

このコントロールが出来る =  ①②③の距離感を変える

温度コントロール

火の大きさ(コントロール)を理解したら、次は温度コントロールです。
なぜ温度コントロールスキルが必要かと言うとロウ材は熱い方へ流れる特徴があります。

温度コントロールがうまくいかないと…

左が高温になってしまうと極端な例ですがこうなってしまう・・・

だから、接合面にキレイに流すためには温度コントロールが重要。
合わせて理解したいのが 毛細管現象を利用する。

毛細管現象とは

液体は細い方向へ流れる習性がある。

木が地中の水分を吸い上げ、一本一本の枝に届けたり、ティッシュが水分を吸うことも同じ。どちらも重力に逆らうことが出来る。

温度コントロールと毛細管減少を理解できれば好きな位置に好きなようにロウを流すことが出来ます。

地金特性を理解しておくというのも大事なポイント。
熱伝導率というのがそれぞれ金属によって違うことを知っておきましょう。

例)シルバーであれば熱伝導率は高い。つまり、「熱しやすく冷めやすい」

温度コントロールと毛細管減少を理解できれば好きな位置に好きなようにロウを流すことが出来ます

これをロウ付けでいうと、熱くなるのが早いのはいいが、冷めやすくもあるため、冷たいものに触れている部分から熱を奪われてリング全体が温まらない。

これを考えないとうまく温度コントロール出来ない。=ロウを的確な場所に流せない。

●よくあるシチュエーション

よくあるシチュエーション ①まずピンセットでリングを掴んでいることで熱を奪われるので、B側を中心に始めてしっかり温める。  ②そのあとA側とB側を均等に火をあてる。

①まずピンセットでリングを掴んでいることで熱を奪われるので、B側を中心に始めてしっかり温める。

②そのあとA側とB側を均等に火をあてる。

AとBを同じくらいの温度にしてあげると自然とロウは溶けて毛細管現象も相まって綺麗に流すことが出来る。

●温度コントロールのイメージ

温度コントロールのイメージ ロウが溶けるポイント(ロウの融点)に差し掛かるまでにAとBを同じ温度にしないと先ほど説明した片一方の方向にロウが流れてしまう。

ロウが溶けるポイント(ロウの融点)に差し掛かるまでにAとBを同じ温度にしないと先ほど説明した片一方の方向にロウが流れてしまう。

●結論ポイント●

・温度コントロール   (火の大きさ)(AとBどちらが温まりづらいか)
・フラックスの3段変化 (ヌレ状態のキープ)
・ロウを置く位置    (毛細管現象を活かすため)
・ロウの量       (接合面積イメージ)
・固定方法       (AとB均等に火を当てられるか)

以上のポイントを気を付けられれば、ロウ付けマスターもすぐそこ!
皆さん頑張ってくださいね!

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