

Takahiro Oikawa Interview
ラヴァーグには様々な状況、バックボーンを持つ生徒さん達が通っています。
入学前の個別見学会ではコースカウンセリングだけでなく、時にはその方の状況やこれからジュエリーを始めた先にどうなっていきたいかなどをお聞きして、入学後の道筋の設定のお手伝いをする事もあります。
今回お話を聞かせていただいた及川嵩弘さんは、木工家具制作を家業にしている一家で育ちました。
木工とは別ジャンルの会社員をしながら、未経験の宝飾加工の道への転職を視野に入れた入学だったこと、その状態での入学からちょうど1年後に初出展したジュエリーの展示販売イベントで来場者からの人気投票で4位入賞に輝いた活躍に惹かれてお話を聞かせていただきました。
入学前の個別見学会ではコースカウンセリングだけでなく、時にはその方の状況やこれからジュエリーを始めた先にどうなっていきたいかなどをお聞きして、入学後の道筋の設定のお手伝いをする事もあります。
今回お話を聞かせていただいた及川嵩弘さんは、木工家具制作を家業にしている一家で育ちました。
木工とは別ジャンルの会社員をしながら、未経験の宝飾加工の道への転職を視野に入れた入学だったこと、その状態での入学からちょうど1年後に初出展したジュエリーの展示販売イベントで来場者からの人気投票で4位入賞に輝いた活躍に惹かれてお話を聞かせていただきました。

Takahiro Oikawa デザイナー 及川嵩弘プロフィール
彫金コース在学中
東北(岩手)の伝統工芸である箪笥を製作する職人の家系に生まれる。
幼い頃から工房にて祖父、叔父、父の仕事を間近で見て育ち、いつか自分も伝統工芸士になりたいと思い高校、大学とモノづくりの道に進む。
大学がデザイン系だったこともあり、現在は家具や自動車内装材に使用する革関係のデザインで働いている。
在学中に家業が廃業したが夢が忘れられず、まずは金属に慣れ親しもうとシルバーリング製作体験をした際に初めてジュエリーに触れ、生業にしたいと強く感じる。
1年半ほど自宅近くの彫金工房に通っていたが本格的に学びたくなり、ラヴァーグへ学校見学。スクール案内を担当したスタッフ岡野に相談し、ここでなら夢に近づけると思い彫金コースへの入学を決めた。
幼い頃から工房にて祖父、叔父、父の仕事を間近で見て育ち、いつか自分も伝統工芸士になりたいと思い高校、大学とモノづくりの道に進む。
大学がデザイン系だったこともあり、現在は家具や自動車内装材に使用する革関係のデザインで働いている。
在学中に家業が廃業したが夢が忘れられず、まずは金属に慣れ親しもうとシルバーリング製作体験をした際に初めてジュエリーに触れ、生業にしたいと強く感じる。
1年半ほど自宅近くの彫金工房に通っていたが本格的に学びたくなり、ラヴァーグへ学校見学。スクール案内を担当したスタッフ岡野に相談し、ここでなら夢に近づけると思い彫金コースへの入学を決めた。


取材した講師:岡野 匠吾
ハワイアンジュエリーPuaallyメインエングレーバー兼ラヴァーグジュエリースクール講師
高校生の頃に趣味として彫金を始め、ジュエリーの専門学校で学ぶ。 卒業後すぐに宝飾の世界に入らず、アルバイトを掛け持ちしヨーロッパ留学、帰国後に飛び込み営業の仕事をするなど、20代は思うままに生活し、30歳を過ぎてからインターンとしてラヴァーグで働き始める。
現在はプアアリ専属彫り師として全てのブライダル商品の彫り入れや新作開発を手がける。
高校生の頃に趣味として彫金を始め、ジュエリーの専門学校で学ぶ。 卒業後すぐに宝飾の世界に入らず、アルバイトを掛け持ちしヨーロッパ留学、帰国後に飛び込み営業の仕事をするなど、20代は思うままに生活し、30歳を過ぎてからインターンとしてラヴァーグで働き始める。
現在はプアアリ専属彫り師として全てのブライダル商品の彫り入れや新作開発を手がける。
及川さんのものつくりのルーツ
ーー及川さん、覚えてますか?
入学前のスクール見学の時に、あのタンスの装飾を見ながら話したでしょ?
及川さんについてはあの時のことが印象に残っていました。
彫金技術を習得してご実家の家業を継いだら箪笥の金属装飾などに活かしてもらえるだろうな、と思って話した事を覚えています。
及川さんはご実家が金工だったり木工の職人一家というルーツがあり、ゆくゆくは跡を継いでいきたいという大きな目標がありますが、初めから伝統工芸の継承というゴールに向かって動き始めた人ってなかなかいないので、今日話を聞かせてもらうのを楽しみにしていました!
入学前のスクール見学の時に、あのタンスの装飾を見ながら話したでしょ?
及川さんについてはあの時のことが印象に残っていました。
彫金技術を習得してご実家の家業を継いだら箪笥の金属装飾などに活かしてもらえるだろうな、と思って話した事を覚えています。
及川さんはご実家が金工だったり木工の職人一家というルーツがあり、ゆくゆくは跡を継いでいきたいという大きな目標がありますが、初めから伝統工芸の継承というゴールに向かって動き始めた人ってなかなかいないので、今日話を聞かせてもらうのを楽しみにしていました!

そうでしたね!僕もあの日に次のステップに進もうと思った事を覚えています。
僕の地元の岩手には「岩谷堂箪笥」という伝統工芸品があって、木部加工部門、塗装部門(漆塗り)、金具彫金部門それぞれに伝統工芸士資格があります。
及川家では祖父(木部加工、金具)、叔父(木部加工、塗装)、父(金具)という感じで役割分担されていて、及川家だけでなく、その他の伝統工芸資格を持った職人も在籍していました。
また、箪笥装飾の金具についても「手打ち金具」 というものがあって、下絵→タガネによる彫り→裏から打ち出すことで立体的に仕上げる伝統技法があるんです。
僕の地元の岩手には「岩谷堂箪笥」という伝統工芸品があって、木部加工部門、塗装部門(漆塗り)、金具彫金部門それぞれに伝統工芸士資格があります。
及川家では祖父(木部加工、金具)、叔父(木部加工、塗装)、父(金具)という感じで役割分担されていて、及川家だけでなく、その他の伝統工芸資格を持った職人も在籍していました。
また、箪笥装飾の金具についても「手打ち金具」 というものがあって、下絵→タガネによる彫り→裏から打ち出すことで立体的に仕上げる伝統技法があるんです。

実家の作業場に行くと、こういうのが(画像の龍の手打ち金具)転がってるじゃないですけど、父親と祖父がこれの職人さんなんで、幼少の頃から見慣れていました。
これは大きい鉄板から打ち出して、表から模様を彫って、裏から立体的に打ち出しして盛り上げるという作り方をしてるんですけど。
こういった地元の伝統的な技術の継承もしていきたいなって思ってます。 徐々にですけど、ラヴァーグに入って彫金を始めてから、それがより確固たるものになったっていう感じがあります。
これは大きい鉄板から打ち出して、表から模様を彫って、裏から立体的に打ち出しして盛り上げるという作り方をしてるんですけど。
こういった地元の伝統的な技術の継承もしていきたいなって思ってます。 徐々にですけど、ラヴァーグに入って彫金を始めてから、それがより確固たるものになったっていう感じがあります。

ーーめちゃくちゃかっこいい!
これは全ての男の子のロマンをくすぐる手仕事ですね。
では今後目指す最終的な姿としては、地元に戻って木工も習得して自分でやる。 それで木工と彫金と組み合わせて対応できる職人になるということ?
これは全ての男の子のロマンをくすぐる手仕事ですね。
では今後目指す最終的な姿としては、地元に戻って木工も習得して自分でやる。 それで木工と彫金と組み合わせて対応できる職人になるということ?
いえ、木工の全部をひと通り自分でやるには、ちょっと僕のキャパシティが足らないと思っています。
装飾箪笥の制作工程の中には、家具本体である生地の木の部分、生地の部分と彫金装飾の部分と塗りの部分があるんですけど、一番優先度が高いのはやはり彫金。
だから彫金の伝統工芸士になりたいなっていうのがまず1つあります。
装飾箪笥の制作工程の中には、家具本体である生地の木の部分、生地の部分と彫金装飾の部分と塗りの部分があるんですけど、一番優先度が高いのはやはり彫金。
だから彫金の伝統工芸士になりたいなっていうのがまず1つあります。

伝統模様を彫金で装飾できるようにしてから、塗りとか生地も取り入れつつやっていきたいなと思っています。
伝統文様っていうのは、まだ実家に本、というかそういうストックが保管されているんです。
いわゆる秘伝の巻き物じゃないですけど、相当年季の入った色の紙に筆で書かれた龍のイラストが書いてあったりするようなのが実家の蔵に貯蔵してあるんですよ。
もうそれを人生かけて形にしていくだけでもワクワクする!
あと、自分でもなにか描いてみたい気持ちもあるし、立体的な彫金作品なども作っていきたいんです。
そういった地元に残っている伝統的な技術であったり考え方を装身具に活かしていきたいし、逆にジュエリーの世界の技術や表現を地元の伝統工芸に持っていきたいとも考えています。
そうなると一番リンクしやすいのは彫金かな、と思ったんです。
伝統文様っていうのは、まだ実家に本、というかそういうストックが保管されているんです。
いわゆる秘伝の巻き物じゃないですけど、相当年季の入った色の紙に筆で書かれた龍のイラストが書いてあったりするようなのが実家の蔵に貯蔵してあるんですよ。
もうそれを人生かけて形にしていくだけでもワクワクする!
あと、自分でもなにか描いてみたい気持ちもあるし、立体的な彫金作品なども作っていきたいんです。
そういった地元に残っている伝統的な技術であったり考え方を装身具に活かしていきたいし、逆にジュエリーの世界の技術や表現を地元の伝統工芸に持っていきたいとも考えています。
そうなると一番リンクしやすいのは彫金かな、と思ったんです。
はじめてのジュエリー展示会出展
ーーまずは率直に、展示会「デザイナーズフェスタ2025」に初出展された感想を聞かせてください。
会社員をしながら週1回受講のペースで彫金コースに通い始めて約1年。
今回初めての展示会出展で商品点数もそんなに多いわけでもない。なので思い切ってチャレンジ!っていう感じでした。
今回初めての展示会出展で商品点数もそんなに多いわけでもない。なので思い切ってチャレンジ!っていう感じでした。

ーーですよね!
デザイナーズフェスタ自体5年振りだったので前回を見てたわけでもないし。どんなものかも分からない状態だったと思います。
だから今回出した人のほとんどが展示会どころかデザイナーズフェスタも経験した事がない。
もちろんジュエリーの展示会ということは分かっているけど、イベントの規模感とか、出展者のディスプレイとか、客層とかも想像ついてないけど、とりあえず一歩踏み出して自分のできることをやってみようという事でチャレンジした、という人がやっぱり多かったです。
デザイナーズフェスタ自体5年振りだったので前回を見てたわけでもないし。どんなものかも分からない状態だったと思います。
だから今回出した人のほとんどが展示会どころかデザイナーズフェスタも経験した事がない。
もちろんジュエリーの展示会ということは分かっているけど、イベントの規模感とか、出展者のディスプレイとか、客層とかも想像ついてないけど、とりあえず一歩踏み出して自分のできることをやってみようという事でチャレンジした、という人がやっぱり多かったです。
はい、僕もまさにその通りの状態でしたね。
でも、実際出して接客までしてみて、めちゃめちゃ楽しかったっていうのが1番の感想です。
皆さんの熱量をすごく感じましたね。 特に僕のブースの両サイドかな。
周囲の人たちも自分の世界観があって、既にブランドを持って運営していたり、展示販売イベントへの出展経験がある方もいたのでとても刺激になりました。
でも、実際出して接客までしてみて、めちゃめちゃ楽しかったっていうのが1番の感想です。
皆さんの熱量をすごく感じましたね。 特に僕のブースの両サイドかな。
周囲の人たちも自分の世界観があって、既にブランドを持って運営していたり、展示販売イベントへの出展経験がある方もいたのでとても刺激になりました。
ーーそれは良かった!
そもそも、初出展を決めた理由は?
そもそも、初出展を決めた理由は?
これもまた地元での話になります。
幼なじみがいるんですけど、2〜3年前から付き合いが再開して、その幼なじみも僕もいずれ独立したいという夢があって。
彼はもともとパティシエやってたんです。 そこから去年、地元に帰ってパン屋さん始めたんですけど、独立前あたりから、定期的に現状報告し合うような感じになったんです。
彼から「今度またポップアップ出すんだ!」とかっていう報告があったり。
それを聞いていて、年も育った環境も近い存在の活動に刺激を受けて、僕もいずれ人前に商品を出したい!とか、今年中に展示販売会に絶対出す!とかっていうのをその場で口にするようになりました。
そうした中でどういったものに出展しようかなって、本当にちょっと探さないとなぁっていうタイミングで、動き始めた矢先にデザイナーズフェスタ開催の連絡が来た。
これはもう出すしかないって感じでした。
幼なじみがいるんですけど、2〜3年前から付き合いが再開して、その幼なじみも僕もいずれ独立したいという夢があって。
彼はもともとパティシエやってたんです。 そこから去年、地元に帰ってパン屋さん始めたんですけど、独立前あたりから、定期的に現状報告し合うような感じになったんです。
彼から「今度またポップアップ出すんだ!」とかっていう報告があったり。
それを聞いていて、年も育った環境も近い存在の活動に刺激を受けて、僕もいずれ人前に商品を出したい!とか、今年中に展示販売会に絶対出す!とかっていうのをその場で口にするようになりました。
そうした中でどういったものに出展しようかなって、本当にちょっと探さないとなぁっていうタイミングで、動き始めた矢先にデザイナーズフェスタ開催の連絡が来た。
これはもう出すしかないって感じでした。
ーー展示会出展の場を探してたところにちょうどいいタイミングのリリースだったんですね。
そして、幼馴染といい関係!
そして、幼馴染といい関係!
実際に将来的に宝飾業界に転職するとか、ジュエリーブランドを立ち上げて独立する、という事を考えたときに、絶対に対面販売の場数を踏むべきだろうっていう気持ちもあったので、出そうと思っていました。
ただ、そこでブランドブース(独立した区画を借りてディスプレイから当日の接客まで全て自分で完結する出展方法)で出すのか、セレクトブース(セレクトショップ陳列のように他のブランドの商品と横並びで展示する出展方法)で参加するのか、商品点数があまりなかったので結構悩んでましたね。
ただ、そこでブランドブース(独立した区画を借りてディスプレイから当日の接客まで全て自分で完結する出展方法)で出すのか、セレクトブース(セレクトショップ陳列のように他のブランドの商品と横並びで展示する出展方法)で参加するのか、商品点数があまりなかったので結構悩んでましたね。
ーーそうだったんですね。
結果及川さんはブランドブース出展で3日間自分で接客する展示方を選ばれました。
だから実感したかと思うけど、どちらの出展方法も人目に触れるという意味では同じでも、お客様の反応を見たり足を止めてもらうための声がけや直接ブランドのご案内ができたりすることは同じ展示会への出展でもやっぱり得られる経験が全然違ったと思います。
結果及川さんはブランドブース出展で3日間自分で接客する展示方を選ばれました。
だから実感したかと思うけど、どちらの出展方法も人目に触れるという意味では同じでも、お客様の反応を見たり足を止めてもらうための声がけや直接ブランドのご案内ができたりすることは同じ展示会への出展でもやっぱり得られる経験が全然違ったと思います。
本当にそうでしたね。
事前に教室で高橋先生から「対面接客しないと分からないことがあるよ。」みたいな話をしてもらって、「じゃあブランドブースでやります。」ってその場で決めた記憶があります。
事前に教室で高橋先生から「対面接客しないと分からないことがあるよ。」みたいな話をしてもらって、「じゃあブランドブースでやります。」ってその場で決めた記憶があります。

ーーTakahiro Oikawaはどんなブランド?
実は自分のブランドの軸・意義を模索する中で、自分らしさって何だろうっていうところで一回壁にぶつかりました。
自分がやるジュエリーブランドの意義ってなんだろう?
自分らしさって何だろう?っていうふうに思った時に、どこかに手作業とか手仕事が分かるものがいいなっていうところに落ち着きました。
僕の地元の岩手の彫金金具は金属を叩いて立体的に仕上げるのが特徴です。
叩いてできた跡が金属の表情に変わっていくのを間近で見てきて、ランダムに叩いた痕跡が残るデザインになじみがあるのでその感覚を活かしたい。
「実用性+面白み」みたいなものが感じられる装身具にしたいと思ったときにリバーシブルみたいな使い方ができて、なおかつ手仕事の跡が分かるようなブランドにしようと思いました。
自分がやるジュエリーブランドの意義ってなんだろう?
自分らしさって何だろう?っていうふうに思った時に、どこかに手作業とか手仕事が分かるものがいいなっていうところに落ち着きました。
僕の地元の岩手の彫金金具は金属を叩いて立体的に仕上げるのが特徴です。
叩いてできた跡が金属の表情に変わっていくのを間近で見てきて、ランダムに叩いた痕跡が残るデザインになじみがあるのでその感覚を活かしたい。
「実用性+面白み」みたいなものが感じられる装身具にしたいと思ったときにリバーシブルみたいな使い方ができて、なおかつ手仕事の跡が分かるようなブランドにしようと思いました。
展示会来場者からの人気投票で4位入賞
自分にもやれる!という手応えをつかんだ瞬間
ーー展示会出展して印象に残っている場面はありましたか?
逆に印象に残っている場面しかないんです。
初日は一番初めに買ってくれた方がちょっと年配の方だったんですけど、フラッといらっしゃってお孫さんのプレゼントにしたいって。
初めて買っていただくジュエリーが、自分の為じゃなくて、大切な人へのプレゼントっていうのでもうツーステップぐらい自分の中で進んじゃって。
見に来てくれた方が気に入って自分用に買う。というくらいしか想定していなかったところに、選んでいただいたものがプレゼントとしてふさわしいって思ってくれたんだなっていうのがすごい嬉しかったですね。
もうひと方、プレゼントに買ってくれた方がいて、女性の方だったんですけど、彼氏の誕生日プレゼントに買ってくれた。
その人はすごい即決で、2分ぐらいでパパッと買って行かれたんですけど。 「彼氏のプレゼントどうしようかなって思って展示会に来たんだけど、これいいわ!これ着けさす。」って言われて。
印象的なパーソナリティの方で、「着けさす」って言って買ってくれた(笑)
その方の大切な方への贈り物として選んでくれた。光栄だなって思いました。
初日は一番初めに買ってくれた方がちょっと年配の方だったんですけど、フラッといらっしゃってお孫さんのプレゼントにしたいって。
初めて買っていただくジュエリーが、自分の為じゃなくて、大切な人へのプレゼントっていうのでもうツーステップぐらい自分の中で進んじゃって。
見に来てくれた方が気に入って自分用に買う。というくらいしか想定していなかったところに、選んでいただいたものがプレゼントとしてふさわしいって思ってくれたんだなっていうのがすごい嬉しかったですね。
もうひと方、プレゼントに買ってくれた方がいて、女性の方だったんですけど、彼氏の誕生日プレゼントに買ってくれた。
その人はすごい即決で、2分ぐらいでパパッと買って行かれたんですけど。 「彼氏のプレゼントどうしようかなって思って展示会に来たんだけど、これいいわ!これ着けさす。」って言われて。
印象的なパーソナリティの方で、「着けさす」って言って買ってくれた(笑)
その方の大切な方への贈り物として選んでくれた。光栄だなって思いました。
ーー(笑)プレゼント用は自分用に買うよりハードルが高いよね!
自分用だったら、まあ自分が相当気に入ったから即購入!もあり得るけど、プレゼントだともらう側の視点、贈る側の選択のセンスとかそういうのも乗っかるから。
その上で「パートナーもこれなら喜ぶはず!」って太鼓判押してもらった感じで嬉しくなります。
その上で「パートナーもこれなら喜ぶはず!」って太鼓判押してもらった感じで嬉しくなります。
はい! ちょっと扉が開けた感じがありました。


展示会での接客について
ーーまず自分のブースの前でお客様に足を止めてもらうために心掛けた事はありますか?
そうですね。
特徴を分かりやすくする為に自分をキャラクター化しようと思って振る舞いを意識しました。
ブースの場所が入り口から見て奥の方のど真ん中で、目に入りやすい位置だと思ったので、毎日サスペンダーして、視覚的に「なんとなく奥の方に目立つ人いるな。」みたいな。一番ドーンと立っておこう、っていう。 そうしておいて、あとは順番に通ってきてくれた方にシンプルに、「叩いて曲げて全て手作業で作ってます!」みたいな端的にイメージしやすい言葉をバーンって言いってました。
そうすると、「そ〜なんですね〜」って言いながら通り過ぎていく人もいますし、「なになに?どこが?」って足を止めて聞いてくれる方もいたので、そういう試みは大事だなっていうのは思いました。
特徴を分かりやすくする為に自分をキャラクター化しようと思って振る舞いを意識しました。
ブースの場所が入り口から見て奥の方のど真ん中で、目に入りやすい位置だと思ったので、毎日サスペンダーして、視覚的に「なんとなく奥の方に目立つ人いるな。」みたいな。一番ドーンと立っておこう、っていう。 そうしておいて、あとは順番に通ってきてくれた方にシンプルに、「叩いて曲げて全て手作業で作ってます!」みたいな端的にイメージしやすい言葉をバーンって言いってました。
そうすると、「そ〜なんですね〜」って言いながら通り過ぎていく人もいますし、「なになに?どこが?」って足を止めて聞いてくれる方もいたので、そういう試みは大事だなっていうのは思いました。
ーーへ~!興味深いアプローチ!
普段の会社員としての仕事で接客する機会とかあるんでしたっけ?
普段の会社員としての仕事で接客する機会とかあるんでしたっけ?
ないです。
でも、デザインコンペでクライアントにプレゼンテーションをするので、自分のデザインを端的に伝えないといけないっていうのはありますね。
だからまず聞く状態になってもらう為に冒頭で何を言おうとか、そういう事を組み立てて仕事はしています。
職場の上司の教えで「3分ぐらいでデザインを説明しなさい。」という事をすごい言われて、それ以上だと余計な情報が増えるので聞く人からしたら、最終的になんだか分からなくなる。という話をもらったので、そこら辺は日頃から気を付けるようにしてますね。
でも、デザインコンペでクライアントにプレゼンテーションをするので、自分のデザインを端的に伝えないといけないっていうのはありますね。
だからまず聞く状態になってもらう為に冒頭で何を言おうとか、そういう事を組み立てて仕事はしています。
職場の上司の教えで「3分ぐらいでデザインを説明しなさい。」という事をすごい言われて、それ以上だと余計な情報が増えるので聞く人からしたら、最終的になんだか分からなくなる。という話をもらったので、そこら辺は日頃から気を付けるようにしてますね。

ーー確かに短く端的な方が特徴が印象に残りやすいですよね。
ジュエリーやアパレルの展示会だと色々と見比べた上でどれにしようかなって、お客さんが思ったときにパッて思い出せる。
気に入ったかどうかは次の段階だとして、まず印象に残す。
気に入ったかどうかは次の段階だとして、まず印象に残す。
「早い、安い、うまい」ってすごい残るじゃないですか。
なんかサスペンダーのお兄ちゃんのブランドは叩いて曲げて、全部1つ1つ手作業で作ってる、っていうのだけ残るかなっていうのはありますね。
あとは僕が単純に人としゃべるのが好きなので。 はじめましての方に、楽しんでもいってもらいたいっていうのと同時に僕もこの場を楽しみたい思いがあるので、人と話したいなっていうのがありますね、根底に。
なんかサスペンダーのお兄ちゃんのブランドは叩いて曲げて、全部1つ1つ手作業で作ってる、っていうのだけ残るかなっていうのはありますね。
あとは僕が単純に人としゃべるのが好きなので。 はじめましての方に、楽しんでもいってもらいたいっていうのと同時に僕もこの場を楽しみたい思いがあるので、人と話したいなっていうのがありますね、根底に。



ーージュエリーの展示販売会への出展前と出展後で変わった事は?
大きな事のひとつは検品基準です。
やっぱり下手なもの出せないなって気持ちは強くなってましたね。 この出来上がりだとお客さんにどう見えるかな?っていうふうに、もちろん元々思ってはいたんですけど、それがより現実感を伴うものになった。
例えば石留めに関してとかでも、 ちょっと伏せが甘いかなとか、爪位置がちょっとずれたな、みたいなのも「まぁまぁ、今はこれくらいで。」となっていたところが、人前に出して買っていただく事を想像するのでより細部まで意識するように変わりました。
やっぱりいいクオリティーにしなければ、と基準が引き上がった。
大学時代の教授に「細部に神が宿る」と、やたらに言う人がいたんですけど、こういうことかって実感しました。
そこがいい意味で気になるようになりました。
あ、やんなきゃなっていうのが、自分の技術に対してメンタル的に成長できたところです。
あとは、やっぱり展示会という場ではじめてお客さんと自分の作ったジュエリーを介して直接話が出来た事で、この仕事は自分に合ってるなって確認出来た。
やっぱりこの世界に飛び込みたいなっていう思いが強くなりましたね。
自分で完成させたものを接客したり納品したりできるので、反応がダイレクトに返ってくるとモチベーションになります。
やっぱり長持ちするものじゃないですか?ジュエリーって。 おばあちゃんのものをリメイクしてお孫さんが今使ってますっていうような話を聞いたりもする。
実家の家業である家具も、同じように直しながら代々永く使っていく物なので、人の手元に残り続けるものとして、やっぱり手に入れてよかったなって思ってもらいたいという思いが強くなりました。
やっぱり下手なもの出せないなって気持ちは強くなってましたね。 この出来上がりだとお客さんにどう見えるかな?っていうふうに、もちろん元々思ってはいたんですけど、それがより現実感を伴うものになった。
例えば石留めに関してとかでも、 ちょっと伏せが甘いかなとか、爪位置がちょっとずれたな、みたいなのも「まぁまぁ、今はこれくらいで。」となっていたところが、人前に出して買っていただく事を想像するのでより細部まで意識するように変わりました。
やっぱりいいクオリティーにしなければ、と基準が引き上がった。
大学時代の教授に「細部に神が宿る」と、やたらに言う人がいたんですけど、こういうことかって実感しました。
そこがいい意味で気になるようになりました。
あ、やんなきゃなっていうのが、自分の技術に対してメンタル的に成長できたところです。
あとは、やっぱり展示会という場ではじめてお客さんと自分の作ったジュエリーを介して直接話が出来た事で、この仕事は自分に合ってるなって確認出来た。
やっぱりこの世界に飛び込みたいなっていう思いが強くなりましたね。
自分で完成させたものを接客したり納品したりできるので、反応がダイレクトに返ってくるとモチベーションになります。
やっぱり長持ちするものじゃないですか?ジュエリーって。 おばあちゃんのものをリメイクしてお孫さんが今使ってますっていうような話を聞いたりもする。
実家の家業である家具も、同じように直しながら代々永く使っていく物なので、人の手元に残り続けるものとして、やっぱり手に入れてよかったなって思ってもらいたいという思いが強くなりました。
展示販売会に出展して明確になった「自分の目標」
はじめてのジュエリー展示販売会を終わった今振り返ると、“自分でこんなものを作れるようになりました!“っていう、ある種自己満足のお披露目の場にしちゃったなって思う部分も正直あるんです。
でも、これから独立して、ジュエリーを作って売っていく中で、やっぱり一番大切なのは買ってくれたお客さんの満足度。
ジュエリーを手にした事でテンションが上がったり、ポジティブな気持ちになってもらえたのが分かるとこちらも嬉しくなる事を実感しました。
それが今回の対面接客で一番強く残った印象かもしれない。
だから、ジュエリーでも家具装飾でも、いかに自分の中にある選択肢で良いものを作って、お客さんの満足を引き出せるかが一番重要だなって確認する事が出来た展示会でした。
その経験を軸に考えると、こちらから提示している商品であれば、刺さる人には刺さるデザインっていうスタンスで勝負するのも良いのですけど、例えば今後フルオーダーを受けるって事になったら、それだけでは通用しない。
その人が一番欲しいものを作らないといけなくなるので。
どっちも正解ではあるんですけども、自分の中の考えを使い分けないといけないんだなって思いました。
そして要望に幅広く対応できる自分でいたいなって思いました。知識的にも技術的にも。
“接客できる職人さん“っていうのが、自分の目指すところなんだっていう事が明確になりました。
でも、これから独立して、ジュエリーを作って売っていく中で、やっぱり一番大切なのは買ってくれたお客さんの満足度。
ジュエリーを手にした事でテンションが上がったり、ポジティブな気持ちになってもらえたのが分かるとこちらも嬉しくなる事を実感しました。
それが今回の対面接客で一番強く残った印象かもしれない。
だから、ジュエリーでも家具装飾でも、いかに自分の中にある選択肢で良いものを作って、お客さんの満足を引き出せるかが一番重要だなって確認する事が出来た展示会でした。
その経験を軸に考えると、こちらから提示している商品であれば、刺さる人には刺さるデザインっていうスタンスで勝負するのも良いのですけど、例えば今後フルオーダーを受けるって事になったら、それだけでは通用しない。
その人が一番欲しいものを作らないといけなくなるので。
どっちも正解ではあるんですけども、自分の中の考えを使い分けないといけないんだなって思いました。
そして要望に幅広く対応できる自分でいたいなって思いました。知識的にも技術的にも。
“接客できる職人さん“っていうのが、自分の目指すところなんだっていう事が明確になりました。


インタビューを終えて
展示会閉会後に出展者の感想アンケートに目を通していると、「お客様の足をどうやって止めてもらおうか考え続けた」という声が多く寄せられていました。
うまく足を止めてもらった後でも、キャッチーな商品があるブランドは「これ可愛い!」とか。「このデザイン面白い!」とかで話が回り始めてコミュニケーションが始まる、でもそこから本命の商品に興味を持ってもらうまでに至らない。
どう繋げたらいいんだろう?って、3日間試行錯誤していたり、こちらが言いたいことを言おうとするあまりうまく誘導できなかった、という反省の声も。
商品の特徴はちゃんと理解してもらって、魅力も感じてもらっている。 でもあと一歩購入してもらうところまでいかない。
購入を後押しする“この場で買う理由“も考えて、購入に繋がるまでの必勝パターンが見えてきたり、こんな販促物を用意した方がいいなとか、そういう具体的な修正点や気づきを得られる機会になったという声が多く見受けられました。
ブランドによって課題のポイントは違えど、それぞれに「実際に出展しないと見えないもの」が得られたデザイナーズフェスタになったようです。
接客に関して及川さんの話を聞いていて感じたのは、多くの場合、出展者側が説明したいことを主体に、どの順番でどのカードを切っていくかとか、どういう話の流れを作るかなど、営業トークの構築をする事が多いところを、及川さんは全然アプローチが違ったということでした。
普段の仕事でのプレゼン経験やコミュニケーションを活かして“お客さんを楽しませる“。“自分も楽しみたい”。というベースで考えたり、お客さんにとって全てを分かりやすくする意識でいた事が、おのずとお客さんにとって気持ちの良い買い物の場にする事ができた要因だったのかもしれません。
だから3日間という短期の展示期間でも結果が出るまでが早かったんだろうなという気がしました。
人好きのするキャラクターと確かな加工技術を持った伝統工芸士の誕生が今から楽しみになるインタビューでした。
うまく足を止めてもらった後でも、キャッチーな商品があるブランドは「これ可愛い!」とか。「このデザイン面白い!」とかで話が回り始めてコミュニケーションが始まる、でもそこから本命の商品に興味を持ってもらうまでに至らない。
どう繋げたらいいんだろう?って、3日間試行錯誤していたり、こちらが言いたいことを言おうとするあまりうまく誘導できなかった、という反省の声も。
商品の特徴はちゃんと理解してもらって、魅力も感じてもらっている。 でもあと一歩購入してもらうところまでいかない。
購入を後押しする“この場で買う理由“も考えて、購入に繋がるまでの必勝パターンが見えてきたり、こんな販促物を用意した方がいいなとか、そういう具体的な修正点や気づきを得られる機会になったという声が多く見受けられました。
ブランドによって課題のポイントは違えど、それぞれに「実際に出展しないと見えないもの」が得られたデザイナーズフェスタになったようです。
接客に関して及川さんの話を聞いていて感じたのは、多くの場合、出展者側が説明したいことを主体に、どの順番でどのカードを切っていくかとか、どういう話の流れを作るかなど、営業トークの構築をする事が多いところを、及川さんは全然アプローチが違ったということでした。
普段の仕事でのプレゼン経験やコミュニケーションを活かして“お客さんを楽しませる“。“自分も楽しみたい”。というベースで考えたり、お客さんにとって全てを分かりやすくする意識でいた事が、おのずとお客さんにとって気持ちの良い買い物の場にする事ができた要因だったのかもしれません。
だから3日間という短期の展示期間でも結果が出るまでが早かったんだろうなという気がしました。
人好きのするキャラクターと確かな加工技術を持った伝統工芸士の誕生が今から楽しみになるインタビューでした。
