前回の続き
当時の僕が自分なりに宝飾業界に参入する為に、足りない事が見えてきたというところで前回は終わりましたが、続きです
当時の僕は、働きながら、学校や職人さんの所に足を運ばせていただかせていました。
そこで驚いたのは、学校で習った事と現場で実践されている事の違いに驚きました。
職人さんの所に行って僕は、「学校ではそう習いませんでした」と・・・何度も言った思い出があります。
なぜ、こんな事が起きてしまうのでしょうか?
もともと宝飾業界は“教える”という事に後ろ向きな業界です。(おしかりの言葉をうけてしまうかもしれませんが・・・)
技術は学ぶモノではなく、盗めと言われるような業界です。
気持ちはわかります。
技術で生計をたてているのが職人です。そう簡単に他人に教えてしまうと自分自身の付加価値が下がってしまうからです。
ジュエリーを学び始めた頃、書籍をよく本屋に探しに行った事を覚えています。
特に、宝飾関連はテキストというものがほとんどありませんでした。あるのは、いったいいつの頃のテキストだろうという白黒の古い教本ぐらいでした。
当然、その教本を僕は買いました。
大変為になり、今でも大切な蔵書としてとってある本でもあります。
でも・・・
あまりにも古いのです。
技術的な事は実は今でも結構アナログで、切る、つなぐ、磨く、留める、宝飾制作は基本はいつの時代も変わりません。
その古い教本は技術を学ぶ事において今でも通用する内容ですし、これ以上のものをつくる必要がないぐらいの充実度です。
しかし、その中で紹介されているジュエリーのひとつひとつのデザインはあまりにも古く、とても今では恥ずかしくて身につける事をためらってしまうようなものが多いと感じてしまいました(みんながそう言っているのではなく、僕の主観ですが・・・)
技術をつける為に僕はがんばって課題をこなしました。しかし、どうしても身につけたいモノにはなりませんでした。
なぜ、新しいデザインの教本がでないのだろう・・・
その為、道具や技術の進歩が激しい中、宝飾業界の技術のスタンダードというものが薄れ、それぞれの職人が独自に開発した技術がそれぞれの現場で活用されているという現象が起きている・・・
当然、とってもいい事です・・・
僕は、自分の知識や習った事がベストではないという事を確信しました。自分を否定する事や習った事をうたがう事は不安でもありましたが、同じ境遇の人達はたくさんいるはずだと信じ僕の第一歩が踏み出されました。
技術のスタンダードを探す旅にでかけよう・・・
つづく