nuihere

真屋亮平
ショップオープンストーリー



真屋 亮平
ブランドオーナー/ ジュエリーデザイナー

北海道出身。20歳の時ミュージシャンを目指し上京。数年の音楽活動後、ハンドメイドの指輪をオーダーしたことをきっかけに、彫金に興味を持つ。タヒチへ行く機会があり、タヒチやハワイなどポリネシア文化圏の国を多数回訪れる中で魅かれていったポリネシアに関するジュエリーを作りたいと思い、彫金学校ラヴァーグジュエリースクールに入学。2014年に自身のジュエリーブランド「Polynesian Jewelry NUIHERE」を立ち上げ、アパレルのセレクトショップなどでの販売をスタート。2016年4月に工房兼ショップをオープン。
 
Polynesian Jewelry NUIHERE(ポリネシアンジュエリー ヌイヘレ)オフィシャルサイト
https://nuihere.com/


入口

2016年4月。東京都多摩地域八王子。
中心街を少し外れると大きな川や美しい山の稜線に囲まれた長閑な環境でベットタウンとして栄えるこの土地に、ポリネシアンジュエリーブランド「NUIHERE(ヌイヘレ)」の工房兼ショップがオープンした。
 
ハワイアンジュエリーの彫りの技術を習得した後、金属を溶かし、彫り上げ、最終工程までご自分の手作業のみで完成させる事を特長としたブランドの立ち上げから現在を取材させていただいた。
 
JR八王子駅から沿線特有の活気ある商店街を抜けた先にある熱帯植物で彩られた清々しい工房。
 
店先から店内を覗くと作業映えしそうな職人的風貌と、一目で気さくな人柄が伝わってくる微笑をたたえたデザイナーの真屋亮平さんが出迎えてくださった。
 
コンクリート打ちっぱなしのシンプルな内装にタヒチやポリネシア圏内で自ら買い付けてきた調度品や家具を配置した店内でお話をうかがった。

ハワイアンジュエリーとの出会い
 
「彫金でジュエリーを手作りし始めるきっかけみたいなものは何かあったんですか?」
 
「指輪は作るもの。なんていう考えは最初は全くなくて、知識もなく普通のお客さんとしてなんとなく良いイメージを持っていたお店に指輪をオーダーしに行ったんです。それがたまたまハワイアンジュエリーのお店だった。
 
後日お店に受け取りに行ってその場ですぐ着けてみたんですけど、なんだか想像を超えてうれしくて。衝撃的といってもいいくらいでした。
 
自分専用にぴったりで、オーダーメイドなので当たり前なんですけど。
一点一点手彫りされている重みが感じられたり、これはひと彫りづつ丁寧に積み重ねた結果の装飾なんだなぁって。
 
自分でも作ってみたい。それが始まりでした。」

真屋亮平

制作スペース

いつかはあの時受けた嬉しさを与える側になりたい。
 
「そしてまず彫金の技術を身に付けたわけですね。」
  
「まずジュエリーってどうやって作るんだろう?というところからのスタートでした。
元々タヒチなどのポリネシア文化圏の国々が大好きで、タヒチアンパールを使ったジュエリーや模様の一つ一つに込められた意味など、知れば知るほどその文化やプロダクトに惹かれていきました。
リングをオーダーしたことをきっかけに本格的に手彫りのハワイアンジュエリーが学べないか探したところ、ラヴァーグジュエリースクールを見つけました。
目指すところは量産できない手彫りの一点物ジュエリーだったのですけど、彫りの工程の前にリングやペンダント自体を作る必要があります。
調べていくとジュエリーCADであったりWAXで原型を作って量産したりというやり方が効率的で主流なのは分かったんですが、そこの土台作りも含めて完全に一から手作業で作りたかったんです。
溶かして叩いて成形して、彫りだけでなくベースとなるリングやペンダント自体にも個性があるような。そう考えると彫りと共に身につけるべきは彫金の技術でした。」

はじめてオーダージュエリーを受け取ったあの時の嬉しさがずっと残っている。
だから全ての工程を手仕事で完結させたい。
 
「ラヴァーグでもハワイアンジュエリーを学ぶ生徒さんの多くが彫りだけでなくベースとなるジュエリー作りの技術習得の為に彫金コースも併せて受講しますが、その後より自由に、精度の高い原型作りの為に次のステップとしてジュエリーCADを学び始める事が多いです。
しかしNUIHEREのジュエリーはCADシステムやWAXでの原型制作をせず型取りもしない、オーダーが入るたびに一点一点地金を溶かし、叩き、彫り上げるといった地金そのものが持つ特性と対峙する伝統的な技法で作ることを特徴としていますが、手間と時間をかけてまでその技法を守り続けている理由や想いはどんなところにあるのですか?」
 
「機械化が進む世の中で、やはり手作りによる温かさや、昔ながらの職人さんが築いてきた伝統など、機械では出せない魅力があると思っています。
 簡単な製法によって作るのには大量生産や思い通りの形、など、良い点もあるかもしれませんが、手作業で作り上げた作品の質感は、手間暇かけ、しっかり作りこむ分、必ず良いものができます。
大量生産はできないし、とても時間がかかる作業ですが、カジュアルなアクセサリーから、一生ものの思い出のブライダルリングまで手がけるブランドを立ち上げる上で、自分の手によって心を込めて作った、納得のいく作品を身に着けて欲しい、という思いが強くあるからです。
それは僕自身が初めてオーダージュエリーを受け取った時の感動に起因しているのだと思いますね。」

応援してくれる人を増やしていく。そのひとつひとつに誠実に、丁寧に応えていく。
 
「その後お仕事をしながらラヴァーグの工房に通いブランド立ち上げの為に技術力に磨きをかけていった事は私も見ていたので知っていますが、工房や職場にいる以外の時間、ジュエリー制作をビジネスに昇華していく為にどんな動きをしていたのですか?」
 
「まずは自分がジュエリー作りを本気で始めた事を友人知人家族など周りの人に認知してもらうことからはじめ、ありがたい事に少しづつオーダーをいただくようになりました。
 
制作工程を自分一人で完全手作業のみでやっているとやはり商品点数を大量に作ることは難しいこともあってネットショップや展示会での直接販売という形はとらず、セレクトショップにサンプルを置いてもらい受注生産したりWEBサイトからのオーダーメイドを中心にスタートしました。

あとはNUIHERE立ち上げにあたって必要な情報や什器や技術などを収集する為に色々と動き回る中で応援してくれる方との出会いがありました。
 
役得でもありますが今まではたまにプライベートで行っていたタヒチへの旅行も今では大切なライフワークとして現地研修・視察を兼ねて少なくても年に1回は足を運んでいるのですが、のんびりした風土の中生活する人々は心が大らかで、決して裕福でなくとも、忙しい都会の日本人に比べ心が豊かだと感じます。
 
向こうでは主に現地コミュニティとの交流を目的に動いているのですが、知り合うタヒチアン達は皆一様に外国人である僕が彼らの自国の文化や伝統に興味を持ってビジネスに繋げている事を喜び、応援してくれます。
 
タヒチアンパールや調度品などについて現地の職人や関係者から学校では到底学べないような活きた技術や情報を教えてもらったり、NUIHEREの広告を現地雑誌に掲載してくれたりと常にかけがえのない時間を過ごさせてもらっています。
 

ショーケース

 
日本でも、今目の前にあるこのショーケースに一目惚れしたんですけど、どうしても予算が足りなくて。。
インテリアショップに何度も何度も通って話を聞いてもらっていたらお店のお父さんが熱意に共感してくれたみたいで、譲っていただくことができました。
 
しかもそのお父さん、ショップオープン初日にお祝いに来て下さっただけでなくジュエリーのオーダーまでしていってくれたんです!
 
そういう、人との繋がりが広がっていく事は本当に嬉しいし一生懸命やって喜んでもらおうと思いますね。」
 
「聞いているこちらも嬉しくなる様なエピソードですね!」

ショーケース

好きなことと接する時間を作る。
 
自分の好きなものは自分の周りに集めておいたり、自分と関連付けておきたくなる気持ちって誰にでもありますよね。
 
好きな事をライフワークとして続けるにはそういう気持ちに素直になってまずは一歩踏み出すという事はすごく大切だと思います。
 
その国や文化や、プロダクトでもいいんですけど、繋がっておく為に接点を作る、というか。
 
スクールにもビジネスとして考えているわけではなくハワイと自分の接点としてハワイアンジュエリーを学びに来ている方もいます。
 
同じようにフラダンスであったりロミロミやハワイスタイルのヨガを習ったりするのも、ただリラックスしたいとか、人や自分を癒したいだけでなくセルフブランディングの一つという意味あいを含めているから時間とお金をかけているんですよね。

例えば「ハワイ好き」な人だったらただハワイに関する知識が豊富だという事にとどまらず、能動的にハワイの文化を吸収している事を周りにうまく伝えられている人が周囲から「ハワイアン○○といえばこの人!」という目線で見られます。
 
そういう人のところに関連情報や人脈や相談は集まりやすく、その中にはビジネスに繋がるような話や依頼が含まれている事もあります。
 
そういう循環ができてくると好きなものと関わったりそれが仕事になったりという環境に身を置くことに近づきますよね。
 
真屋さんの場合もNUIHEREスタートアップ時のそうした繋がりの一つ一つに丁寧に応えていく事が実績になり、やがて信頼へと変わり工房兼ショップを持てるまでになったのですね!

最後に、今後のNUIHEREのめざすところについて教えて下さい。
 
「日本にとどまらず、海外にも進出出来るようなブランドにしていきたいです。
まずは、地道にコツコツと、いい作品を作りながら、認知を増やしていけるように頑張るのみです。」
 
今までもこれからも変わらない”人との直接的な繋がり作り”というNUIHEREのアプローチは日本やタヒチに限らず世界へと広がっていくようだ。
 
実際、この取材のひと月後、NUIHEREジュエリーWEBサイトのお取り扱い店舗の欄にはパリのセレクトショップの名前が追加されていた。


SHOP INFORMATION

NUIHERE 本店
TEL:042-634-8290
東京都八王子市横山町17-8ソエダビル1F
Open 11:00 / Close 19:00
月曜、第3日曜日定休

 

 
Polynesian Jewelry NUIHERE(ポリネシアンジュエリー ヌイヘレ)オフィシャルサイト
https://nuihere.com/


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