まぁ、いっぱいプロになれる学校が世の中にはある。
いろいろなキャッチコピーがあふれているので、心が惹かれます。
人生もいろいろ。
仕事もいろいろ。
目指す所もいろいろです。
だから、あえてもう一度、何の為に学校に通うのか考えてもらいたいと思う出来事があったので、今日は少し踏み込んでみようと思います。
そもそも、日本の宝飾産業の現状について考えてもらいたいです。
実は、大きく変わらないといけない現状があるのです。
たとえば、もうそんな言葉すらかすんできてしまいましたが・・・バブルの数年間の業界の売り上げは3兆円前後。でも今は、ざっくり9千億円。3分の1以下です。
当然ですが、売り上げが3分の1という事は、必要な生産力は3分の1です。
という事は、ピークと比べると必要な宝飾に関わる企業の数は3分の1ですんでしまう可能性があります。
僕は、昔本気のプロを育てる学校をつくる。というモチベーションになった時期がありました。
当時、ジュエリーをCADでつくる事を教えてくれる学校はなく、僕自身もお金と時間と気合をかけてCADを学び、それを教える環境を整えてスタートしたのが、日本で初めてCADを教える専門学校を作ろう!という事で、出来上がったのがラヴァーグジュエリースクールでした。
当時、ライノセラスの日本の総代理店であるアプリクラフトの斉藤先生とライノセラスを本気で教える学校を作っていく為の話もいろいろと重ね、まだ宝飾業界では誰も取得していなかった公認トレーナーの資格を取得し、基礎からカリキュラムを積み重ねていきました。
すると、宝飾業界では大手といわれている会社のデザイナーやクリエイターの人達がラヴァーグの門をたたいてくれて、まだまだ駆け出しだった僕は、こんな大きな会社の人達に選んでもらえるなんて・・・と。
すこし勘違いしてしまった事を覚えています。
本気のプロが通うジュエリースクールにしていこう!。と・・・。
玄人に選ばれている事を宣伝して生徒集めをすれば、素人の人も集まってくるのでは・・・。とも思っていました。
だから、まずは玄人を・・・
しかし、これに待ったをかけてくれた人が現れたのです。
本気のプロは日本に何人必要なんですか?と聞かれたのです。
それは、これから、日本に宝飾の会社は増えていくのか、減っていくのかの質問でもありました。
既にバブルは崩壊してジュエリー業界の売り上げも1兆2千億円ぐらいまで下がっていた時期でもありました。
既存の形式の企業は少なくなっていく事は確信できたというか、いくつもの会社が変化を試みていたり、変化の難しさに会社をあきらめた人達が増えていた事も実感していました。
実は、宝飾業界の多くの経営者の人達の話を聞いて歩きました。
どんな人材がこれからの時代は必要なのか。
どんな人材を採用したいのか。
会社をどんな方向にむけて行きたいのか。
僕はどちらかというと、販売サイドと生産サイドに分けた時に、生産サイドだったので、ほとんどの経営者が似たような事を言っていました。
生産サイドの経営者は・・・
これからは、今まで見たいに下請けで作っているだけでは駄目で、直接販売をしていかなくてはいけない。
つくれる人間はたくさん抱えているけど、卸しかやってこなかったので、小売のしかたはわからない・・・
インターネットでネットショップをつくれば売れるというが、そんなに簡単ではない・・・。
いろいろと作れるけど、何を作っていけばいいか分からない・・・。
などなどの問題がある事を聞かせてもらいました。
僕は、なるほど・・・
技術はトップクラスの人達が集まっている会社でも販売についてはほとんど分からない・・・
気持ちがすごくわかりました。
なぜなら、僕も当時は販売のことはほとんど分からずに苦労をしていたからです。
お互い認識していたのです。
技術を持っているだけでは駄目だという事を。
実はその時はまだ、販売のノウハウなんてなかったです。
何度も書きましたが、月の売り上げが20万円しかないようなお店がスタート2ヵ月めでした。
それまでは技術の取得だけを信じて頑張ってきた結果が毎月200万円ぐらいの赤字になってしまうお店を作ってしまった結果でした。
赤字じゃなくなるのに2年の歳月がかかりました。
安定した成長をするようになるのに、そこから3年ぐらいかかりました。
だけど、このあわせて5年間の経験が僕達の学校の宝物になった事も事実です。
技術がある人が立ち向かわなくてはいけない問題を乗り越えるのにかかった時間が5年間という時間で学ぶ事ができたからです。
通用する人材とはどういう人材なのか・・・
会社はどんな人材を大切にしていきたいと考えているのか・・・
これからの日本という仕組みの中には、どんな会社が増えて、どんな会社が減っていくのか・・・
どんな知識や技術がこれからの時代は必要なのか・・・
そして、最後にどんなプロになれるのか・・・
そんな事を考えながら、大切な時間とお金を自分の成長につなげていってもらいたいと思います。
そして、そもそも学校という場所は、生徒達の未来を切り開いていくちからを教えていく場でありたいと僕は考えています。
ただし・・・
全部の学校がそうある必要もないとも思ったりもします。人生には何か打ち込めるものや、趣味といわれるものがある事は、楽しい人生には必ず必要だから、全員が仕事にしよう!なんてモチベーションを持つ必要もないのかもしれません。
暖かい、人間関係が気持ちよくて、学ぶ事ができる学校もこれからの日本には必要だとも思っています。