ある生徒の話。
僕はとてもかっこいいなと感心しました。
その生徒はラヴァーグ以外でも何年もジュエリーメイキングを学び続け、最終的にラヴァーグにたどりついた。
そんな1人です。
普段はサラリーマン。
ジュエリーは趣味というより、将来の自分の大好きな事として、田舎に帰ってたずさわっていく夢として頑張っています。
本当に頑張っています。
そんな彼も人懐っこい人柄のせいか、御徒町界隈でもいろいろな友人ができはじめています。
ある日、ある加工業者から彼のスキルを認めてもらい、ある仕事を依頼されました。
それは、ある意味御徒町では一般的な加工料金だったかもしれません。(でも、違うな・・・)
しかし、普段サラリーマンの彼からしてみれば、自分のスキルを認めてもらい仕事を依頼された事は嬉しかったはずです。(たぶんね・・・)
彼は断りました。
その理由は、自分自身がその技術を身につける為にかけてきた時間と努力にプライドを持っていたからです。
そして、彼のもう一つの目的は将来田舎でジュエリースクールを開校したいという夢があったからです。
どういう事かと言うと・・・(ここはじっくり話を聞かせてもらいました。)
「僕が、そんな金額で仕事を請けてしまっては、そのあとに続いてくる生徒達が誰もいなくなってしまうから。」
「努力をして、技術を身につけても浮かばれないような事を後からくる人達の為にしたくなかった。」
この業界で現在働いているわけでもなく、仕事帰りにラヴァーグに作りに来ているいち生徒がそんな事を考えてその仕事を断った。
僕は感動しました。
すごいな・・・
この人は・・・
年は僕よりも上ですが、僕達がいる宝飾業界で活躍する事を目的にして今は頑張っています。
目先の千円を拾いたくなる気持ちもわかります。
仕事を断る怖さもわかります。
しかし、自分自身が積み重ねてきた努力と時間の結晶にプライドを持っていく事は、僕は大切な事だと常日頃から思っています。
安くする努力よりも、高くする努力をしていく事の方が難しいです。
意味がない高さはぼったくりですが、価値のある高さは積み重ねていくものだからです。
平山郁夫という日本画家の話をその生徒から聞きました。
この人の生き方に心をうたれて、自分自身にプライドを持っていく事の大切さを忘れないようにしているとの事でした。
この平山さん。
はがき一枚のサイズに絵を描いてもらうのに、一枚いくらだと思いますか?と僕は聞かれました。
わかりません。と僕。
850万円だそうです。
そのあとにつづく人達は100万円ぐらいなのに、平山さんは850万円。
この平山さんは、自分自身よりも絵の上手い人はいる。だけど自分の世界を守り続けた結果が自分自身をつくりあげたという理解をしていたそうです。
そうなんです。
まわりがいくらだから・・・
他がこうだから・・・
ではなく、自分の努力やキャリアにプライドを持って仕事をしていく事が大切なんだ。
という話です。
そこをつらぬけた人が、自分自身の世界を持つ事ができるんだなという事です。
安くする努力よりも、安くならない努力を僕も続けていきたいと思います。
もっと詳しく聞きたい方は、いつもいるあの人なので、ラヴァーグで話を聞いてみてください。
僕も、こんなプライドを持っている人から、ジュエリーを学べたらいいなと思う、ある日の出来事でした。