僕たちがいる業界では家電という誰が買っても分かりやすい説明書や情報が用意されている機械よりも、工業系の工作機械のように、使っていって理解を深めていくような機械のほうが多いような気がする。
しかしながら、費用がかかる設備になると、買うほうもすぐに活用できる事をのぞんだり、トラブルが起きたりした時の対応についてとても気にする。
だからよくこんな話を多くの人が耳にすると思う。
あそこはサポートが良い。あそこはサポートが悪い。
とても詳しく各工具屋さんのサポートレベルを知っていて、それを多くの人に一生懸命教えようとしている人達がいる。
自分自身が体験した話もあれば、人づてに聞いた話もある。
そんな話をふと聞いていたときに、ある事を質問された。
教育機関もそれぞれサポートを打ち出しているけど、かく教育機関で言っていることは違いますよね・・・
確かに、就職を斡旋する。とか・・・
何かあったら相談に乗る。とか・・・
様々な事をそれぞれの教育機関が一生懸命作り上げている。
僕達が考えているサポートとは少し違うけれども、生徒を集める為にそれぞれの特色をだしている。
そんな話の中、工具屋さんのサポートと教育機関のサポートを比べて考えてみた。
比べてみると、打ち出しているサポートの意味と求められているサポートの意味が大きく違うことに気が付く。
工具屋さんの場合。売るものは“工具や機械”。
サポートとは“使いこなし方を教えたりトラブルが起きた時の修理など”。
この使いこなし方やトラブルが起きた時の対応は、現場のプロレベルの使いこなし方を販売店の営業マンに求めてしまうケースも多い。
また、開発元のメーカーのエンジニアレベルの対応を求められる場合もある。
本来工具屋さんは世界中を回り、いろいろなメーカーが開発した機械を選別し日本のマーケットにあった道工具を見つけてくる役割を持っている。
そして、いろいろな国のメーカーとの橋渡しをするのが工具屋さんの仕事でもある。
しかしながら開発元も全ての国の文化や言語を熟知したサポート体制を構築することは難しいので、各国に販売代理店をようし、サポートを依頼する。
そんな仕組みであったりする。
だから、国内総代理店と代理店では実は大きな違いがあったりする。
話はそれてしまったが・・・
教育機関の場合。
売るものは“ジュエリーの作り方”。
サポートは工具屋さんの例に当てはめてみると・・・
ジュエリーがつくれるようになってから、“その技術を使ってどうやって社会で活躍できるようになれるか”が使い方の部分にあてはまるはずだ。
しかし、“就職”を打ち出している大きな専門学校もある。
僕の学校にもCADの求人案件が来る。
だけど、就職した人達が本当に幸せになり活躍ができるかどうかは、その会社の運営方針や成長性に大きく関わる。
未来があり、成長性がある会社に就職させる。
ということであれば、納得がいく。
だけど、面接を紹介する。
業績が苦しくて、あまり未来がない会社に就職させてしまい、幸せな生活を送ることができない会社に就職してしまう場合もある。
なんでもかんでも就職させれば良い時代ではない。
就職して活躍できる人材を育て、その人材が採用される事により会社の業績自体が上がるような能力がある人材を育てていれば、業績が苦しい会社に就職をさせても、その人材のおかげで会社が上っていくことは考えられる。
ようは、就職は“ジュエリーの作り方”を売った教育機関の“サポート”というには、少し乱暴な時代になってきている気がする。
なぜなら、ジュエリーの作り方を高い技術で知っている人達が多くいるような会社でも倒産や業績の悪化という現象がおきているからだ。
ジュエリーの作り方。手作りでもCADでもどちらでも良い。
作り方を教えるだけでは、企業の業績をあげる人材を育てている事にはならない。
教育機関の新しい正しいサポートとは・・・
“就職したり独立してからの具体的な運営に関するアドバイスや戦略を一緒に作り上げる”という事なんだと思う。
その為には、そこで教える先生達に求められるスキルはもうジュエリーの作り方を教えるという事だけでは足りなくなってくる時代がやってくるのだとも思う。
ここ最近のスタッフ研修ではよくそのような話をする。
就職したけど、仕事を待ってしまうような人間をつくってはいけない。
厳しい会社や業界の状況を具体的に打破していく人間を育てていかなくてはいけない。
その為には、ラヴァーグのスタッフがまずは、そのような人材にならなくてはいけない。
つくりを教えるだけで止まらない努力をしなくてはいけない。
こういう話をすると、モノづくりのレベルを上げる事を追求してきた、ラヴァーグのスタッフの中にも苦しそうな顔をする人もいる。
その気持ちは分かる。
技術を積み上げる事に努力をしてきたのも分かる。
それはそのまま積み上げていってもらいたい。
だけど、新しいチャレンジをしていってもらわなくてはいけないという事をスタッフには理解してもらいたいと思う。
僕も、頑張らなくてはいけない。