小さな会社の悩みも、大きな会社の悩みも、個人商店の悩みも根っこの所では大きく変わらない。
これは、宝飾業界だけに限っての話ではない。
結局、お仕事というのは、何かしらのサービスやモノを変わりに提供しているという事だからだ。
ご飯を自分で作る代わりにに、飲食店があったり、自分で指輪を作る代わりにに、加工してくれる工場があったり、自分で選ぶ代わりによくジュエリーの事を知っている販売員の人が選んでくれる為に小売店があったりするからだ。
先日、ジュエリーCADはもう勉強しましたという人がラヴァーグに足を運んでくれた。
職人として独立してジュエリーCADも勉強してチャレンジしているとの事だった。
相談の中身は今もっている本業の下請けの仕事が先細っている。
この業界で仕事を続けていきたい。
その中でいろいろと考えて自分でエンドユーザーに商品を提供していきたい。
話の論点はその3点に絞られてきていた。
僕はジュエリーメイキングのスキルを身につけて、仕事にしていくには選択肢は2つしかないと思っている。
“売る”か“教える”かだ。
この2つに絞ってこれから売り上げをどう構成していくかを考えていかなくていけないという話をよくする。
最初にスタートしやすいのは、教えるという方だ。
既に、この業界で仕事をしているのであれば、ある程度の知識の積み重ねはあるし、設備も揃っている。
ジュエリーCADに関して言えば、パソコンと机があれば、教えるという事はできる。
しかし、簡単にできるとは言っても、売り上げがたつかどうかは別問題でもある。
なぜなら、参入障壁が低いというだけで、お客が集まるかどうかは別問題だから。
お店は開いたけれど、お客が来ない。
ネットショップは開いたけれど、お客が来ない。
お客が来てくれたけど、買ってはくれない、選んではくれない。
そんな事が起こっている所はいっぱいある。
なぜなら、お客は必ず比べるからだ。
というか、比べられるという事を前提に準備をしなくてはいけないからだ。
だから、教えるという環境を整えるのと、売るという環境を整えるのでは、コスト的にも教えるという環境を整えるほうが低いから、その点では教えるというビジネスの方が少ない資本では参入しやすいという事だ。
ラヴァーグでスキルやスクール経営の考え方を学び、スクールを各地で開校し始めている人もいるし、狙っている人もいる。
ラヴァーグとしても、将来の学校経営を考えている人には、僕達が経験してきた事を惜しみなく伝えていきたいとも思っている。
随分昔に話した事があるが、駅前留学的にジュエリースクールがそこらじゅうにある時代がやってきてもいいなとおもっているからだ。
次に、売るという事は、これは僕自身も未経験からスタートした思い出があるから、とても大変だという事を覚えている。
しかし、順序さえ知っていれば、順序さえ教えてくれる人がいれば、余計なコストを省いて時間を短縮していく事は可能だ。
限られた時間。
限られたお金。
この限られたお金が個人レベルでも、順序が大切なのである。
個人レベルだからこそ、順序が大切なのだ。
絶対に削ってはいけない所。
いっけん大切そうだけれど、後回しにして良い事。
外注にだしていい仕事。
自分自身でこなしていかなくてはいけない仕事。
もちろん、出来ることなら全部自分ひとりでできればいい。
だけど、そんなスーパーマンになるには時間がかかる。
時間さえ気にしなければそれが出来るようになってからビジネスをはじめればいい。
しかし・・・
ラヴァーグに訪れる人達は、ある程度の時間の限度がある。
ビジネスをスタートさせる為には、スタート地点にひとりで立つには、モノ作り以外の準備もとても重要になってくる。
それは、スキルがあって、キャリアがあっても、廃業してしまう人達に足りなかったものだと思う。
だって、全ての会社がつぶれてしまっているわけではないからね。
ここ十年で成長して、小さな工房だったところが、大きなブランドに成長している所もある。
たまたまじゃない。
その成長には多くの場合原因がある。
スキルが身につけられた後の事を考えてから、今ある時間とお金を上手に使っていってもらいたいと思う。
目的をしっかりさせる事もとても大切です。